2009/04/07号◆特別レポート「HPV テスト単独による子宮頸癌検診で進行癌や死亡率が低下」 | 海外がん医療情報リファレンス

2009/04/07号◆特別レポート「HPV テスト単独による子宮頸癌検診で進行癌や死亡率が低下」

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2009/04/07号◆特別レポート「HPV テスト単独による子宮頸癌検診で進行癌や死亡率が低下」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年4月07日号(Volume 6 / Number 7)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特別レポート

HPVテスト単独による子宮頸癌検診で進行癌や死亡率が低下

New England Journal of Medicine (NEJM)誌 4月2日号に掲載されたインドで実施された8年間にわたる臨床試験によると、単回のヒト・パピローマウイルス(HPV)DNAテストを用いた子宮頸癌の検診は、進行した子宮頸癌および子宮頸癌による死亡を半減させたことが示された。

HPVによる検査は、PAPテストや酢酸での視診によるその他のスクリーニング方法よりはるかに効果的であった。New England Journal of Medicine (NEJM) 誌4月2日号に掲載されたこの研究では、HPV DNAテスト陰性であった場合、8年間の追跡調査後に浸潤性子宮頸癌で死亡した女性はいなかった。

その知見は「即時的および国際的」な影響をもつと、その試験の付随論説の著者で、NCIの癌疫学・遺伝子学研究部門のDr. Mark Schiffman氏およびDr. Sholom Wacholder氏は述べた。「世界中の子宮頸癌予防の専門家は、HPVテストの広範囲な適応を今すぐ実施すべきです」と、同氏らは付け加え、地域によっては、HPV陽性女性の治療に対するインフラ整備などのさらなる研究と取組みが必要であると述べている。

試験の筆頭著者であるDr. Rengaswamy Sankaranarayanan氏とフランスの国際癌研究機関(IARC)に所属する共著者らは、「この30年間、インドのような途上国では、臨床的に意義のある子宮頸癌発症率の低下はありませんでした。その結果、毎年世界全体で子宮頸癌と診断される50万人のうち、約80%は医療手段の乏しい国の女性となっています」と述べた。

米国やその他の先進国における子宮頸癌検診プログラムは、癌予防や早期発見において大成功を収めたものの一つである、とアメリカ癌学会の乳癌・婦人科癌のディレクターであるDr. Debbie Saslow氏は説明する。

「検診を行わず、HPVワクチンをほとんど使えない途上国では、これは待ち望んでいたデータです」と同氏は述べた。

試験には、北インドの50以上の村から、30歳から59歳までの130,000人以上の女性が組み込まれた。各村は、単回のHPVテスト、細胞診、視診、または標準ケア、の4つの検査方法「群」の一つに無作為に割り付けられた。インドでは標準ケアには検診が含まれることはほとんどない。実際、試験登録前に何らかの子宮癌検診を受けていた参加者はわずか8人であったが、この試験では、標準ケア群の女性たちは子宮頸癌検査をどこで受けられるかについての情報を与えられた。

8年間の追跡後、HPVテストは、対照群と比較して、進行した子宮頸癌の診断を53%、子宮頸癌による死亡を47%低下させた。これに対してパップスミア(PAPテスト)は、それぞれ25%、11%の低下であった。

「われわれは、HPVテストがすべての子宮頚癌検査のなかで最も客観的で再現性が高く、トレーニングと品質保証の点でより負担が少ないということがわかった」と、試験の著者らは述べた。試験で用いられたHPVテストの費用は医療手段の乏しい地域にとっては高額であったものの、公衆衛生目的に作られ、先ごろ同等の有効性が示されているかなり安価なHPV DNAテストがこうした地域で利用できるようになってきている。結果として、HPV DNAテストは実現可能で適切な「30歳以上の女性に対する医療手段の乏しい地域での初期スクリーニング・アプローチ」となりうる、と著者らは述べた。

性的に活発な若年女性ではHPV感染が非常に多いが通常は自然に消失するため、HPV DNAテストを用いた検診は早期に開始すべきではないと今までの試験では示されてきた。しかしながら、30歳までにHPVテスト陽性であった場合、すべての子宮頸癌の70%の原因となる16型および18型含め、子宮頚癌を誘発する変化をもたらす型のHPVへの持続感染である可能性が高くなる。

Schiffman氏とWacholder氏は、いくつかの注意点について強調する。たとえば今回の試験に限っては、検査を受けた女性の10%のみがHPV陽性であったため、検診プログラムはうまく機能した。しかし、理由は明らかではないが、米国立癌研究所(NCI)やIARCなどが調査しているいくつかの医療手段の乏しい地域においてHPV感染率が20%以上となっています。この感染率では、より特異的な検査をしなければスクリーニング・プログラムの実施により、トリアージまたは治療を受けなければならない女性があまりに多くなってしまい、現実的ではありません」と同氏は述べている。

「たとえそうであっても、こういった障害は、克服できます」と科学的見地からSaslow氏は述べた。予測が困難で、もっと大きな問題は、政治的、経済的、および文化的要因である、と同氏は強調する。

「安全な飲料水も乏しい、[HPV]テストが一回1ドル程度であったとしても払えないような国も多くあります。結局は優先されるものは何かということになってしまいます。女性の健康問題であれば、男性の健康問題より優先順位が低くなる国もあります」と同氏は述べた。

今回の試験で用いられたHPVテストのHybrid Capture 2や、さらに新しい低価格のcareHPVを開発したDigene社は、2007年に標本と検査技術の企業であるQiagen社に買収された。CareHPVテストは、医療手段の乏しい国における使用に対してはビル&メリンダ・ゲイツ財団からの資金提供を受けるとともに、世界的規模の健康機関であるProgram for Appropriate Technology in Health(健康における適切な技術に関するプログラム)からも一部援助を受けて開発された。この検査は、独自の水供給を備えており、ポータブル機器でバッテリー稼働、3時間以内に検査結果が提供される。

Qiagen社は、今後5年間こうした医療手段の乏しい国での検診プログラムに対し、100万セットのHPVテストを寄付することを4月1日に発表した

— Carmen Phillips

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湖月 みき 訳

平 栄(放射線腫瘍医/武蔵村山病院)監修

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