2009/04/07号◆特集記事「癌サバイバーと担当医がケアに抱く期待の相違」 | 海外がん医療情報リファレンス

2009/04/07号◆特集記事「癌サバイバーと担当医がケアに抱く期待の相違」

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2009/04/07号◆特集記事「癌サバイバーと担当医がケアに抱く期待の相違」

同号原文 

NCI Cancer Bulletin2009年4月07日号(Volume 6 / Number 7)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

癌サバイバーと担当医がケアに抱く期待の相違

医学研究所(Institute of Medicine)の最近の調査報告でも大きく取り上げられていたように、米国在住の癌サバイバー(生存者)約1,200万人には、通常のケアや検診の他に、様々な医療ニーズが存在している。

今回、新たな調査が行われ、腫瘍医、プライマリーケア医(米国で、かかりつけの一般医のこと)、および患者との間に、癌サバイバーの医療ニーズに誰が対応すべきかについて、明確な共通認識がないことが明らかとなった。この研究者らによると、長期的な健康管理に関する双方の期待が一致しないために癌サバイバーが受けるケアが混乱してしまう可能性が高いという。

この研究は、Journal of Clinical Oncology誌の電子版3月30日号に掲載された。

カナダのトロントにあるICES (Institute for Clinical Evaluative Sciences:臨床評価学)のDr. Craig Earle氏が行った本研究に参加した患者は、担当の腫瘍医によって、その他の癌の定期検診も含め、癌治療後の癌以外のケアが定期的に行われるものと考えており、患者のほうが腫瘍医よりも大きな期待を抱いていた。対照的に、プライマリーケア医は、患者の初発の癌に対するその後の治療、経過観察といった癌治療後のケアに関与するものとの期待が患者よりも大きかった。

「病院で、患者から『甲状腺薬の量は私に合っていますか?』、『私のコレステロール値はどうでしょうか?』などの質問を受けるうちに、癌治療後のケアへの関心が高まりました。患者はこの種の定期的なケアを私が行うことを期待していたのです。それは、ちょうど私が大腸癌の経過だけを診ていた時期でした」と腫瘍医Earle氏は述べる。「私がこれらのケアを行うことを患者が期待し、私が行わない場合には、必要なケアが抜け落ちてしまうのではと思い巡らしたのです。」

Earle氏らは、マサチューセッツ州ボストン市のダナファーバー/ブリガム・アンド・ウィメンズがんセンターで、癌治療を受けた癌サバイバー431人と、この患者のケアに関与したプライマリーケア医255人、および腫瘍医123人を登録した。

癌治療後に必要なケアを大きく4つ(治療した癌の経過観察、他の癌検診、総合的な予防医学診療、その他合併症の治療)に分け、これらを腫瘍医、プラマリーケア医のいずれがどの程度担当すべきと考えているかに関する質問に患者が回答した。腫瘍医およびプライマリーケア医も、同じ4分野について、自らの役割に関する質問に回答した。

患者と医師の間で期待の一致がみられたのは、腫瘍医と患者間で29~91%、プライマリーケア医と患者との間では35~92%とさまざまであった。腫瘍医とプライマリーケア医との間には不一致が多く、治療した癌の経過観察を誰が担当すべきかについて一致がみられたのは3%、定期的癌検診を誰が担当すべきかについては44%に過ぎなかった。

「医師の役割に関する認識や、癌サバイバーのケア提供を取り巻く不確実性が判明し、それは特に治療した癌の経過観察や、他の癌検診において強いものでした」と研究者らは結論した。「どの医療提供者にケアの責任があるのか明確でない場合、利益が証明されている必要な医療を患者が受けられない可能性があります。」

「何らかの癌治療後ケアプランが早急に必要であることが、この研究で浮き彫りにされています」とEarle氏は語る。「すべてはコミュニケーションなのです。今後の医療行為の責任を誰が果たそうとしているのかを関係者皆がはっきりと知っておくことです。私たちはプライマリーケア医に対し、目の前の患者に実際に役立つ情報を提供することが必要ですし、専門医として専門的な知識や意見を提供することもできます。」

「医学研究所が指摘しているように、ケアプランの開発は重要です」とDr. Noreen Aziz氏(NCI癌制御・人口学部門・癌生存者オフィスのシニア・プログラム責任者)は同じ見解を示した。「このプランでは、どのケアを誰が担当するのか明らかにしておくべきでしょう、このことによって、皆が同じ土俵に立つことができます。こういったケアプランを開発していくことは、素晴らしいアイデアであり、私は腫瘍学の領域が、すでにその方向へ進みつつあると考えています。」

— Sharon Reynolds

癌治療後ケアプランのオンライン資料(以下リンク先は英語です)
ASCO(米国臨床腫瘍学会)癌治療の要約と、癌治療後のケアプラン フォームはダウンロード可能で、役立つ乳癌と大腸癌サバイバーのケアプランが記載。他の癌種についても現在準備中。ASCOでは、医師のための治療記録用の要約フォームも提供している。このフォームは、フォローアップケア(経過観察)にかかわる人皆で共有できる。ランス・アームスロトング財団(Lance Armstrong Foundation)サバイバーシップ・ワークシート 癌患者が、ケアについての情報を整理するのに役立つフォームを掲載。中でもCancer Survivor’s Medical Treatment Summary(PDFファイル – 842KB)には、フォローアップ・ケア例などもあり。サバイバーシップ・ケアプラン このオンラインツールは、患者と医療チームが、患者の受けた癌治療の流れを把握するのに役立つ。このツールでは、患者と医師が観察すべき、治療による可能性があり、かなり後に出現する副作用のリストを作成できる。全米癌サバイバーシップ連合 成功する癌治療後のケアプランの必須事項が記載されている。このサイトのCancer Survival Toolbox® モジュールでは、サバイバーシップの問題などを取り扱った音声による指導プログラムあり。

医学研究所(Institute of Medicine)サバイバーシップケア・データ表癌治療後のケアプランに含まれるべき必要事項を概説。患者が医療機関に尋ねるべき質問も併記されている。

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遠藤 香利 訳

久保田 馨(胸部腫瘍医/国立がんセンター東病院)監修

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