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2009/05/19号◆特集記事「試験的治療により神経芽細胞腫患者の生存期間が延長」

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2009/05/19号◆特集記事「試験的治療により神経芽細胞腫患者の生存期間が延長」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年05月19日号(Volume 6 / Number 10)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

試験的治療により神経芽細胞腫患者の生存期間が延長

小児腫瘍グループ(COG)の研究者らは、先週、多くの幼児を含む再発リスクの高い神経芽細胞腫患者の試験的治療において、無増悪生存期間が大幅に延長したと報告した。今回の試験責任医師であるカリフォルニア大学サンディエゴ校のDr. Alice Yu 氏は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)主催の記者会見で発表し、試験結果を踏まえてこの治療法(抗体による免疫療法)がハイリスク神経芽細胞腫患者の「新しい標準治療」となるものだと述べた。

試験的治療の対象患者において早い段階でかなりの効果が認められたことから、NCI が支援する試験では無作為化が中止され、すべての登録患者が免疫療法を受けることができるように変更された。「免疫療法の有効性が明らかになった神経芽細胞腫の患児に対してこの治療を利用できるように、努力しているところです」とCOG 神経芽細胞腫委員会の議長でフィラデルルフィア小児病院のDr. John Maris氏は述べた。

神経芽細胞腫は、生後1年以内に診断される最も一般的な癌である。幼児期の交感神経系細胞が形成されるときに発生し、しばしば胸や腹に腫瘍となって現れる。全体で、1歳未満の幼児の5年生存率は90%以上であるが、遠隔転移のある患者についてははるかに低くなっている。

2週間後にオーランドのASCO年次総会でも発表される今回の試験は、再発のリスクを高くする特定の臨床学的および生物学的要因を有する220人以上の患者を対象に実施された。試験の主な目的は、ハイリスク神経芽細胞腫の治療におけるch14.18モノクローナル抗体の役割を明らかにすることである。その抗体は、神経芽細胞腫細胞の表面に存在するGD2として知られる糖脂質(糖質に付着する脂肪分子)と結合することによって腫瘍に対する免疫反応を刺激する。

試験対象者は全員、強化化学療法、手術、および幹細胞移植、そしてその後に放射線療法を行う標準療法に反応していた。半数はその後、13シスレチノイン酸(RA)のみによる標準治療を受けるように無作為に割り付けられ、残りの半数はRA+試験的治療を受けた。試験的治療は、ch14.18モノクローナル抗体+2つの免疫刺激性サイトカイン、GM-CSFIL-2、の交互投与で構成された。

2年後の無増悪生存率は、免疫治療群で66%、標準治療群で46%、また2年後の全生存率は、それぞれ86%と75%であった。免疫療法は、疼痛および血管漏出によって起こる体液貯留を含むいくつかの重大な副作用を伴ったが、Yu 氏によると、それらは「問題なく対処可能で可逆性のもの」であった。

今回の試験では、サイトカイン併用モノクローナル抗体による免疫療法が有効な癌治療法であることを実証した初めての研究であるほか、初めてのことがいくつかある、とYu氏は指摘した。米国国立癌研究所(NCI)癌治療評価事業(CTEP)がch14.18モノクローナル抗体の臨床試験を支援しており、NCIフレデリックのNCI生物製剤開発プログラム(BDP)がその治療薬を製造している。試験で患者の治療に使用されているch14.18の供給をNCIが担っている、とNCI生物製剤資材調達支部主任のDr. Stephen Creekmore 氏は語った。BDPはその製剤の生産を続けており、2010年にはより多くの量が利用できるようになるだろう、と同氏は付け加えた。

NCI は、共同研究開発契約を通してch14.18を継続的に開発するために民間の協力者を求めている。今回の試験結果を踏まえて、数社のバイオ企業は商品化に向けたその抗体のさらなる開発に興味を示している、とCTEP小児腫瘍支部副主任のDr. Malcolm Smith 氏は述べた。

COGの研究は、神経芽細胞腫患児が有効な免疫療法を受けることができるように「オープンラベル(受ける治療が明らかにされる)」試験として継続する。NCIもCOGを介して新たなch14.18臨床試験を支援し、COGはさらなる毒性および安全性データを収集してFDAへのch14.18販売承認申請に一役を買っている。

COGの研究結果は、「進行性神経芽細胞腫の患児に新しい画期的な治療をもたらす、NCIおよびNCIが支援する研究者らによる抗体免疫療法の20年以上に及ぶ研究の重大な一歩です」とSmith氏は強調した。

— Carmen Phillips

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豊 訳

九鬼 貴美(腎臓内科)監修

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