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上衣腫/e-medicineより

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上衣腫/e-medicineより

イントロダクション
省略


臨床

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鑑別診断

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精密検査

画像検査
  1. 頭部のCTスキャン(造影ありと造影なしで)
    1. 本検査は、脳腫瘍の検出において95%以上の感度がある。
    2. CTでは、ほとんどすべての患者に水頭症が認められる。
    3. 腫瘍は、通常、脳室もしくは脳室隣接部から発生する高吸収域で造影剤では均一に強く増強される病変として現れる。
    4. 嚢胞状の領域および石灰化が高頻度に認められる。
  1. 頭部および脊椎のMRI(ガドリニウムの使用のありとなしで)
    1. 本検査は、上衣腫に合致するCTもしくは臨床所見があるすべての患者に対して行わなければならない。髄芽腫および小脳星細胞腫のような他の腫瘍が、CTでは同じように見える可能性がある。MRIは腫瘍の解剖学的発生部位および範囲をよりよく示すことから、そのような例に有用である。MRIでは、上衣腫は、通常、白質に対して、T1 強調画像で等信号から低信号、T2 強調画像で高信号を呈する。上衣腫は、一般的に、ガドリニウム造影剤で増強される。
    2. MRIは、脊髄の病変を検出する最も感度の高い方法でありくも膜下播種が生じる可能性があることから、必ず行うべきである。特に後頭蓋窩で発生する腫瘍からは特にその可能性が高い。
    3. 術後のMRIは、外科的切除範囲の測定および残存腫瘍の検出の両方に必要である。

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手技
  1. 腰椎穿刺
    1. 顕微鏡的な軟髄膜播種の検出には、脳脊髄液の細胞学的検査が有用である。
    2. 水頭症がある場合を除外するために、CTスキャンもしくはMRIを腰椎穿刺(LP)の前に行わなければならない。水頭症がある場合は、腰椎穿刺によって患者が脳ヘルニアのリスクにさらされる可能性がある。通例、手術の結果播種した可能性がある腫瘍細胞を同定することを避けるために、術後2週間まで腰椎穿刺を延期する。

組織学的所見

上衣腫は、脳室の神経上皮層および脊髄中心管に発生する。ほとんどの場合、石灰化、出血、および嚢胞の領域を呈することが多い、境界の明瞭な腫瘍である。

形態学的に、未分化性が認められず多型がほとんどない高分化型(細胞性つまり低悪性度)から、多形性膠芽腫に似て見える可能性がある、顕著な細胞分裂活性、未分化性、および壊死を有する細胞密度の高い病変(未分化つまり高悪性度)まで様々である。

これまでは、細胞性、上皮性、乳頭状、もしくは混合型として分類されてきたが、最近ではこの用語は使用されていない。脊髄円錐および終糸に発生する腫瘍は、その独自の病理組織学的特徴から粘液乳頭状と呼ばれる。

上衣ロゼットは、管腔を放射状に囲む上衣細胞成分で、めったに見られないが上衣腫を診断する際の一つの特徴となっている。より一般的な特徴は偽ロゼットで、血管周囲で細長く伸びる細胞から成る好酸性のhalo(核周辺が淡明な細胞質)である。

先端面の真性ロゼット、微絨毛、および繊毛を明示することで、電子顕微鏡検査が診断に役に立つことがある。免疫組織化学および細胞遺伝学的解析からは、まだ重要な関連性が明らかにされていない。

治療

内科的治療
  1. 初期治療は外科手術である。全摘出もしくはほぼ全摘出の患者の生存率は、切除が明らかに不完全な患者と比較して、極めて高くなっている。
  1. 標準的な術後療法は放射線治療である。これによって長期生存率が改善されるかどうかは、依然として意見が分かれている。特に、幼児および腫瘍を完全に切除した患者において、放射線療法の長期的影響のリスクが効果の可能性を上回る可能性がある。
  1. 化学療法の役割はまだ分かっていない。幼児に対するそして亜全摘出腫瘍に対する様々な化学療法剤の有効性を評価する臨床試験が現在行われている。再発性上衣腫における経口エトポシドのサイクル投与では、奏効率83%に達するという期待できる結果が示された。しかしながら、このレジメンの常用による二次性白血病の発症が報告されている。
  1. 浸潤領域への放射線療法
    1. 全摘出―原発腫瘍部位に1-2 cmのマージンをとって、59.4 Gy(テント下腫瘍)および55.8 Gy(テント上腫瘍)
    2. 亜全摘出―原発腫瘍部位に1-2 cmのマージンをとって、テント上およびテント下腫瘍に対して59.4 Gy
    3. 軟髄膜播種には全脳全脊髄の放射線照射が推奨される。
  1. 3歳未満の幼児:術後化学療法を用いることで放射線療法を遅らせるかもしくは省略しようとする研究が現在行われている。
  1. 化学療法
    1. 現在のレジメンでは化学療法の役割は限られているように思われるが、測定可能な反応が報告されている。
    2. 単剤としては、シスプラチンが第Ⅱ相で最も有効であった(奏効率30%)。
    3. カルボプラチンなどの他の白金化合物は有効性に劣るようである。
    4. ある研究では、ビンクリスチンとシクロホスファミドの併用に対してかなりの反応が報告されている。
    5. 幼児および腫瘍を亜全摘出した患者を対象に、白金もしくはアルキル化剤ベースのレジメンを用いて、照射前化学療法の有効性を調べる試験が現在実施されている。

外科的治療
  1. 完全な全摘出もしくはほぼ全摘出を目標とする。
  1. 後頭蓋窩腫瘍に対しては後頭下開頭術を行うが、頭蓋底、第4脳室、もしくは脳幹への浸潤により腫瘍の切除が不完全になる可能性がある。
  1. テント上腫瘍は大きい傾向があり、脳室内、脳室外、もしくはその両方に存在する可能性がある。本腫瘍は、前頭葉、側頭葉、および頭頂葉並びに第3脳室に好発する。切除の方法および程度は、腫瘍のサイズおよび位置によって決まる。
  1. 局所の軟髄膜の転移巢の有無に関する検査を実施しなければならない。
  1. 切除範囲についての外科的判断は当てにならない可能性もある。従って、残存腫瘍に対する術後MRI評価が必要となり、ほとんどの場合、術後炎症との混同を避けるために手術の72時間以内に実施されるべきである。
  1. 後頭蓋窩腫瘍は閉塞性水頭症を伴うことが多く、初回切除で脳脊髄液の流れの回復がうまくいかなければ、脳室腹腔シャントの設置が必要となる可能性がある。

療法指導
  1. 全患者の治療に当たる正規のチームメンバーには以下の専門家が含まれる:
    1. 神経外科医
    2. 放射線腫瘍医
    3. 小児腫瘍医もしくは神経腫瘍医
    4. 神経科医
    5. 神経心理士
    6. 神経内分泌科医
  1. 腫瘍、治療的介入、もしくはその両方の結果、一部の患者ではリハビリのために作業療法士および理学療法士の支援が必要となる可能性がある。

食事療法
  1. 食事に関する特別な制限もしくは必要性はない。
  1. 治療の結果、重度の食欲不振もしくは体重減少が認められる患者(特に幼児)に対しては、一日の必要量を維持する補助栄養が必要となることがある。

活動療法
  1. もとにある神経障害による制約がなければ、活動を制限する必要はない。
  1. 脳室腹腔シャントの患者に対しては、ダイビングなどの衝撃の強いスポーツが制限される可能性がある。

薬物治療

上衣腫の治療における化学療法の役割はまだ確立されていない。

第Ⅱ相試験での単剤による化学療法レジメンにおいて、多くの薬剤が上衣腫に対して活性であると同定された。中でも、最大の活性を示したのは白金成分である(例えば、シスプラチンは奏効率30%で最も有効な単剤である)。

このような試験結果にもかかわらず、上衣腫に対する併用化学療法レジメンでの結果は芳しくない。最も有望なデータは、放射線療法を延期して、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、およびビンクリスチンからなる術後療法を受けている乳児に関する報告である(74%の2年生存率)。

現行の試験では、術後残留腫瘍があるより年長の小児においてこのレジメンの効果を評価している。現時点で、明確な結論は得られていない。

術後残留腫瘍がある3歳以上の小児に対して最近の試験実施計画書で用いられている、照射前化学療法剤の用量および投与の一例を以下に記す。

抗癌剤

本薬剤はDNA複製を妨害し、それによって腫瘍増殖が阻害され腫瘍細胞死が促進される。癌の化学療法は、腫瘍細胞の増殖およびこの増殖に薬剤がどのように影響するかについての理解に基づいている。分裂後、細胞は増殖期(G1期)に入り、DNA合成(S期)、有糸分裂前(G2期)、そして最後に有糸細胞分裂(M期)と続く。

細胞分裂の速度は腫瘍によって様々である。最も一般的な癌では、正常組織と比較して非常にゆっくり大きくなり、その速度は腫瘍が大きい場合はさらに低下する可能性がある。この速度差が、正常細胞が悪性細胞よりもずっと早く化学療法から回復することを可能にし、現行のサイクル投与計画の論理的根拠となっている。

抗癌剤は細胞の再生を妨げる。細胞周期に特異的な薬剤もあれば、細胞周期の相に特異的でない薬剤(例えば、アルキル化剤、アントラサイクリン系薬剤、シスプラチン)もある。細胞アポトーシス(プログラムされた細胞死)も、多くの抗癌剤の潜在的なメカニズムの一つである。

ビンクリスチン(Oncovin)、シスプラチン(Platinol)、シクロホスファミド(Cytoxan)
エトポシド(VePesid、VP-16)
詳細省略

解毒剤、シクロホスファミドによる出血性膀胱炎

本薬剤は、シクロホスファミドによる出血性膀胱炎を防止するために用いる解毒剤である。

メスナ(Mesnex)
詳細省略

コロニー刺激因子

本薬剤は、骨髄抑制化学療法を受けている患者において好中球減少症の期間および関連する感染症のリスクを減少し、顆粒球の形成を刺激する造血成長因子として作用する。骨髄抑制癌化学療法を受ける際の好中球減少症を治療もしくは予防するために、また骨髄移植に伴う好中球減少症の期間を短縮するために、本薬剤が用いられる。さらに、骨髄移植用に自己末梢血前駆細胞を動員し、また慢性の好中球減少症を管理する目的でも使用される。

フィルグラスチム(NeupogenG-CSF)
詳細省略

経過観察

その後の入院治療
  1. 試験中の化学療法対象患者のみを入院させる。
  1. 試験中の化学療法によって、発熱、好中球減少症、もしくは感染が疑われるなどの合併症が引き起こされる場合は、入院が必要となる可能性もある。

その後の外来治療
  1. 放射線療法:患者が手術から回復した後に、外来での放射線療法を開始するべきである。ほとんどの場合、約6週間にわたって行う(通常用量は1日に160-180 cGy)。
  1. 身体所見および神経学的検査
    1. 放射線療法期間中は、臨床反応および潜在的な治療関連副作用のモニタリングは、週1回の頻度で行うべきである。試験中の化学療法レジメンを使用する場合、治療中における本検査の実施頻度については、試験実施計画書に指示されている。
    2. 治療完了後は、その後合併症が起こらない限り、ほとんどの場合、初年~18カ月は3カ月ごと、その後2年間は6カ月ごと、それ以降は年に1度の評価を行う。
    3. ベースラインの神経心理学および発達検査は、治療完了時およびその後は年に1度実施するべきである。
  1. 画像検査
    1. 放射線療法完了時そしてその後は、ほとんどの場合、身体所見および神経学的検査スケジュールに合わせて、もしくは臨床症状が認められる場合はそれよりも早く、造影剤を用いた頭部MRIを行うべきである。
      1. 治療に対する反応および再発の両方を評価する治療後画像の至適時期はまだ確定されていないが、治療後、最初の2年間は少なくとも3~6カ月ごと、その後2~3年間は6~12カ月ごとに定期調査を実施するべきである、という意見にほとんどの臨床医は同意している。
      2. その後3~5年ごとのMRI評価は、放射線による二次性腫瘍のような遅発性事象の検出に役立つ可能性がある。試験中の化学療法レジメンも、画像検査スケジュールが規定されていることがある。
    2. 診断時もしくは治療中に軟髄膜播種のエビデンスがない場合は、治療完了時そして治療後最初の2年間は年に1度、脊椎MRIを行うべきである。軟髄膜播種のエビデンスがある場合は、治療に対する反応に応じてかかる検査の頻度を増やす。孤立した中枢神経軸疾患よりも局所再発の方が遙かに発生の可能性が高いことから、治療完了から2年経過以降の定期脊椎評価は実用的ではない可能性がある。
  1. 検査室検査:試験中の化学療法レジメンによる指示もしくは臨床上の必要性がない場合、必要なことは、(造血毒性をモニターするために、また介入を実施して放射線の効果を最大限に生かすためにヘモグロビン値を9 g/dl以上に維持するべきかどうか判断するために)放射線療法期間中に全血球計測を毎週実施することだけである。

入院・外来患者の薬物治療
  1. 患者が試験中の化学療法レジメンに登録していなければ、薬物治療の必要はない。
  1. 腫瘍/治療に伴う炎症反応を抑えるために、デキサメタゾンが必要となる可能性がある。

転送
  1. 適切なMRI画像検査、脳神経外科的介入、および放射線療法を提供することができる小児センターへ患者を転送する。神経腫瘍医による経過観察が必要となる可能性がある。

合併症
  1. 閉塞性水頭症
  1. 神経学的障害
  1. 放射線療法による影響
    1. 神経認知機能低下
    2. 内分泌機能障害
    3. 虚血もしくは梗塞を伴う石灰化による細小血管障害
    4. 中枢神経の二次性悪性腫瘍
    5. 一過性頭痛、倦怠感、悪心、嘔吐、および食欲不振

予後
  1. 腫瘍の切除範囲:切除は最も重要な予後因子である。肉眼的全摘出もしくはほぼ全摘出患者の生存率は51~80%、亜全摘出(腫瘤全体の90%以下を切除、あるいはMRIで見ることができる残存腫瘍)患者の生存率は0~26%と報告されている。
  1. 年齢:若年小児患者(1歳未満)の予後は、放射線治療とは関係なく、著しく悪い(5年生存率は25%)。1~4歳児の5年生存率も、5歳以上の小児と比べて著しく低くなっている(46%対70%以上)。この年齢群では、最近、高用量化学療法の使用および放射線療法を遅らせるかもしくは省略することで、一定の期待できる結果が示されている。
  1. その他の要因:これまでは、未分化であることおよびテント上に位置していることが予後不良の要因とされてきた。最近の報告では、多くの場合、(脊髄腫瘍および馬尾の粘液乳頭状腫瘍で観察される良好な転帰は別として)組織型および腫瘍の位置は重要な予後指標とは見なされていない。転移性疾患はおそらく予後不良因子であると思われるが、結論を下すには患者数が十分ではない。

患者教育
  1. 患者とその家族に心理社会的カウンセリングを勧めるべきである。

その他

法医学上陥りやすい過ち
  1. 上衣腫に伴う頭蓋内圧(ICP)亢進に合致する徴候および症状を見逃す
    1. ICP亢進の徴候および症状は、通常、亜急性的、非特異的、および非局所的であることから、上衣腫が見落とされることが多い。
    2. 診断までに3カ月以上の病歴があることも珍しくない。
    3. ICP上昇を伴う症状は、偏頭痛もしくは緊張性頭痛、感染性胃腸炎、感染後症候群、慢性的倦怠感、または心理的機能障害などの、より一般的な病因と誤診される可能性がある。
  1. 治療(手術、放射線、化学療法)に伴う潜在的なリスクおよび利点について、患者/家族への告知を怠る
  1. 実験的治療を行っている場合、署名入りのインフォームド・コンセント用紙、つまり患者の同意(しかるべき年齢の場合)を得ていない

特有の懸念事項
  1. 小児期の予防接種
    1. 患者が治療計画の一環として骨髄抑制化学療法を受けている場合、治療完了後1年間は予防接種を控えるべきである。
    2. 弱毒生ウィルスの予防接種(麻疹、流行性耳下腺炎、風疹 [MMR];経口ポリオ;水痘)は、活動性疾患を引き起こす可能性がある。
    3. ポリオ予防接種を必要とする家庭内のすべての接触者に対して、注射用不活化ポリオワクチン(IPV)を使用するべきである。
    4. IPV;ヘモフィラス・インフルエンザ菌タイプB(HIB);並びにジフテリア、百日咳、および破傷風(DPT)は、どの時点においても患者に接種して差し支えないが、後天性疾患に対する十分な免疫反応および予防を保証するために、骨髄抑制療法の完了から1年間は控えることが勧告されている。
  1. 水痘暴露:水痘の予防接種を受けていない、実証された免疫保護の力価がないもしくは過去に感染歴がないすべての患者に対して、水痘暴露後72時間以内に水痘帯状疱疹免疫グロブリン(VZIG)を投与するべきである。

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豊 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

原文

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