マイクロRNAがより安全な癌治療に貢献―組換えウイルスを安全に利用/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

マイクロRNAがより安全な癌治療に貢献―組換えウイルスを安全に利用/メイヨークリニック

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

マイクロRNAがより安全な癌治療に貢献―組換えウイルスを安全に利用/メイヨークリニック


メイヨークリニック 2008年10月26日

ウイルスは、長い間、単に病原体としかみなされていなかったが、今や癌治療への利用が進んでいる。いわゆる腫瘍溶解性ウイルスは正常組織をも損傷するおそれがあり、その安全性には懸念がある。癌治療法となりうるこのウイルスを制御する方法を、今回メイヨークリニックの研究者らが発見した。彼らはこのウイルスの遺伝子配列を組換え、マイクロRNAを使ってウイルスに制限を与え特定の組織に向かわせた。マイクロRNAはウイルスのゲノムを不安定にし、ウイルスは暴走できなくなる。この発見はNature Medicine誌の最新号に掲載された。[pagebreak]「われわれの所見は分子医学のための新たな手段を明示するものであり、また治療上のデリバリーシステムとしてウイルスを利用することへの懸念を和らげると考えます。」とStephen Russell医学博士、メイヨークリニック内科研究者、本研究の主任著者)は述べている。

マイクロRNAは、遺伝子がコードするヌクレオチドの小片であるがタンパク質を合成しない。様々な細胞内遺伝子を下方制御する役割を果たすことが多い。今回の研究では、特定の細胞のマイクロRNAに反応するようウイルスを操作している。研究者らはこの新たな標的方法を用いて、通常は致死的な筋肉感染症を引き起こすウイルスを操作し、癌細胞のみを認識するようにした。この操作したウイルスを実験用マウスに感染させたところ、定着した腫瘍は治癒し副作用も何らみられなかった。

本研究の重要性
大部分のウイルスは様々な種類の細胞に感染し、その間多くの症状を引き起こす。今ではワクチン、癌治療、あるいは遺伝子療法ベクターとして使用するために操作したウイルスを、疾患に対する追加的な保護手段として、感染させる(あるいはさせない)細胞の種類を限定し再指示したいと研究者らは考えている。本研究で用いられたマイクロRNAの標的配列により、ウイルスは筋肉に損傷を与えることなく癌細胞の中で複製され、マウスのメラノーマを完治させた。

メイヨークリニックの研究者らによれば、マイクロRNAの標的挿入によって癌治療に用いるウイルスの安全性が高められると見込まれ、より安全なワクチンが新たに製造できるようになるだろう、と述べている。

研究チームの他のメンバーは以下のとおりである。Elizabeth Kelly, Elizabeth Hadac and Suzanne Greiner.
本研究はメイヨークリニックが支援している。

******
Chachan 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
******


原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  9. 9ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  10. 10乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害

お勧め出版物

一覧

arrow_upward