2009/06/02号◆特集記事「卵巣癌再発予防目的の早期化学療法で生存期間の延長はみられず」~米国臨床腫瘍学会(ASCO)報告~ | 海外がん医療情報リファレンス

2009/06/02号◆特集記事「卵巣癌再発予防目的の早期化学療法で生存期間の延長はみられず」~米国臨床腫瘍学会(ASCO)報告~

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2009/06/02号◆特集記事「卵巣癌再発予防目的の早期化学療法で生存期間の延長はみられず」~米国臨床腫瘍学会(ASCO)報告~

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年06月02日号(Volume 6 / Number 11)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

卵巣癌再発予防目的の早期化学療法で生存期間の延長はみられず

治療により寛解が得られた卵巣癌女性のうち、血中タンパク質CA125値に基づき再発予防のための化学療法を開始した患者では、再発の症状が発現後に化学療法を開始した患者と比べ、生存期間の延長はみられなかったことが大規模試験で明らかにされた。

婦人科癌の専門医らは、今回の結果は臨床現場に波紋を投げかけるものであり、臨床医が再発を見つけるため患者をどのように観察し、追加の治療(救済療法)にどう着手すべきかを再検討させられるであろうと述べた。

女性500人以上を対象とした国際多施設共同ランダム化臨床試験において、CA125値に基づき再発予防のための治療を開始した患者と、再発がわかってから治療を開始した患者とを比較したところ、生存期間は同等であった。CA125とは、癌再発の早期指標となり得るマーカーである。

成果は、米国オーランドで開催された2009年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で5月31日発表された。

試験責任医師である英国マウントバーノンがんセンターのDr. Gordon Rustin氏は、進行卵巣癌と診断された大半の患者は初回治療後に再発が認められると語った。したがって、この患者の多くには初回治療後、CA125値の測定のために定期的な血液検査が行われることになる。同氏は、女性の多くがCA125検診の“依存症”になり、それが大きな不安をもたらしていると述べた。

Rustin氏は、今回の試験結果で「化学療法を、再発の徴候や症状がみられるまで延期しても差しつかえない」ことが示されていると強調した。

試験に参加した女性は、進行卵巣癌の初回治療後に完全寛解が認められていた。半数は、CA125値が正常値の上限の2倍を超えた場合に治療を行う群(CA125群)に、もう半数はCA125値を知らせずに再発の臨床症状が認められたとき再発治療を行う群(再発群)に無作為に割り付けられた。

進行癌患者には、多発性再発がみられ、何度も化学療法が行われる傾向がある。今回の試験でも、実際にCA125群では、再発群より化学療法のコース数が平均12コース多く、CA125群30コースに対し症状群18コースであった。CA125群の患者では、再発群よりも二次化学療法の開始が4.8ヵ月早く、三次化学療法の開始は4.6ヵ月早かった。

CA125値のモニタリングが進行卵巣癌の治療法としてあまりにも根強いため、「今回の試験は遂行自体が非常に困難な研究と言えます」と記者発表で話すのはダナファーバー癌研究所・婦人腫瘍科部長Dr. Eric Winer氏で、この試験結果から患者の生活の質(QOL)を改善できる可能性があるとも述べた。

寛解が得られた女性のうち、CA125値の倍増が認められる場合、それが正常範囲内で生じたとしても最長24カ月で癌再発の臨床症状が発現するという前触れを示すものであったと、サミュエル・オースチン総合癌研究所の婦人科腫瘍学部門の責任者のDr. Beth Karlan氏は2009年ASCOのプレナリーセッション(全体会議)の試験結果発表後に話した。

「それが事実でも、化学療法を併用した早期介入が全生存期間を改善せず、それどころか、実際は患者の生活の質を損なっている可能性があるならば、なぜ私たちはそれを行っているのでしょうか」と同氏は話す。

CA125のモニタリングによって、より多くの化学療法が導入されることになるため蓄積毒性の悪化が考えられるとともに、化学療法抵抗性をもたらすのが早まることから、今後の救済治療に対する反応が損なわれることもあり得るとKarlan氏は述べた。

しかしながら、CA125モニタリングは廃止すべきではなく、臨床医と患者が今回の試験結果の知識を身につけることが必要だと指摘している。また、症状を伴わない患者に対するCA125モニタリングの回数を減らすことと、臨床医は臨床症状を伴う再発まで姑息的化学療法を延ばすよう考慮することを勧めている。

— Carmen Phillips

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遠藤 香利 訳

林 正樹(血液・腫瘍医/敬愛会中頭病院)監修

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