メイヨークリニック主導による大規模研究:大腸癌の便DNA検査の有望性が示された-依然課題は残る/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

メイヨークリニック主導による大規模研究:大腸癌の便DNA検査の有望性が示された-依然課題は残る/メイヨークリニック

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メイヨークリニック主導による大規模研究:大腸癌の便DNA検査の有望性が示された-依然課題は残る/メイヨークリニック


メイヨークリニック
2008年10月6日

ミネソタ州ロチェスター - 2008年10月7日発行のAnnals of Internal Medicine誌に発表されたメイヨークリニック主導の研究で、早期大腸癌の発見を目的とする便DNA検査の第1世代は限界があると報告された。以前行った多施設共同研究では、大腸癌の検出において便DNA検査は便潜血検査よりもより精度が高いという結果が示されたが、第1世代の検査結果はそれを裏付けるものにはならなかった。[pagebreak]「しかし、便DNA検査に関してわれわれが認識している問題は、すべて解決できるものです。」と22の大学医療センターの4,482人の患者を対象にした本研究の主任研究者であるDavid Ahlquist医師は述べる。研究者らは、便DNA検査が利用者にとって簡便で精度の高いスクリーニングツールであること、そしてそれによりスクリーニングの件数が増加することを期待している。

ビデオでの情報配信:本研究に関するAhlquist医師のインタビューの抜粋など音声や画像による追加情報が、メイヨークリニックのニュース・ブログにて閲覧可能である。

大腸癌は、癌による死亡原因の第2位であるが、米国の成人の半数以上が、大腸癌のスクリーニングを一度も受けていない。現在利用可能なスクリーニングツールは有用であるが、最も有効な検査は、時間、労力、費用を要する。例えば、大腸内視鏡検査を受けるためには、絶食、腸管洗浄、来院、鎮静剤投与、侵襲的処置が必要であり、またそのために仕事を休むことになる。大腸内視鏡検査の受診者が少ないのは、これらのことが原因している。

50~80歳の平均的なリスクを有する患者を対象に、汎用されている2つの便潜血検査法(HemoccultおよびHemoccultSensa)と便DNA検査を比較する盲検研究が2001~2007年に渡り実施された。DNA検査に使用されたのは、最初に商業的に使用された便DNA検査であるPreGenPlusのプロトタイプで、マサチューセッツ州マルボロー所在のEXACT Sciences社に送られた便検体に対して検査が行われた。患者は全員、大腸スクリーニングにおいて現時点で最も基準となる大腸内視鏡検査を受けた。大腸内視鏡検査は、癌および前癌性ポリープを検出するための基準として使用された。

便潜血スクリーニングでは、検査技師たちは、患者らがカードの上に塗抹した便に潜血があるか調べた。血液の存在は大腸癌を示唆する可能性がある。だが、腫瘍は断続的に出血するため、癌の検出に対する検査の精度に限界をもたらす。各患者につき3つの便検体が検査された。これは便潜血スクリーニングにおいて標準的な方法である。

DNA検査では、精巧な検査ツールを使用し、便検体に含まれる癌および前癌性ポリープから脱落した細胞のDNAを同定した。DNAの脱落は継続的に起きていると考えられるため、検体は1つだけで十分である。

2,497人の患者検体の検査を終えた研究の約中間点で、中間解析が行われた。「便検査の結果はすべて最適以下でした。」とAhlquist医師は述べる。「癌および前癌性ポリープの検出率は、便DNA検査では20%、Hemoccult検査では11%、HemoccultSensa検査では20%でした。」

「われわれは、便DNA検査の成績が、途中で検査方法に変更を加えずに継続できるほど、良い成果をあげるとは思っていませんでした」と彼は話す。Ahlquist医師らは、より優れた便DNA抽出法やより精度の高いDNAマーカーのパネルなどの改善を加えた第2世代DNA検査に切り替えた。

これらの変更を加えた結果、便DNA検査は、いずれの便潜血検査よりも有意に良好な結果を示した。「この新たな便DNA検査はすべての癌および大きな ポリープの半数を検出しました」とAhlquist医師は言う。Hemoccult検査では癌および大きなポリープの6分の1を、HemoccultSensa検査では4分の1を検出した。

重要なのは、前癌ポリープの検出率が、Hemoccult検査では10%、HemoccultSensa検査では17%であるのに比べ、第2ジェネレーションのDNA検査では46%であったことである。「前癌性ポリープが検出されなければ、癌は予防できません。従って、この結果は非常に有望です」とAhlquist医師は語る。

米国立癌研究所の出資によるこの研究は、より実用的で、高精度なスクリーニングツールへと改善し得る便DNAスクリーニングの弱点に焦点が当てられたとAhlquist医師は述べた。

検体の劣化:本研究の参加者らには便検体を採取し郵送するためのキットが与えられた。便検体が、採取から2~3日後にメイヨークリニックの研究所に到着した時点では、検体のDNAのほとんどが多くが劣化し検査に使用できる状態ではなかった。「われわれは、検体の採取時に防腐剤を添加し、DNAが分解するのを阻止することで、腫瘍の検出率を更に高めることができることが分かりました」とAhlquist医師は述べる。将来、便DNA検査が普及した際、この手法は患者スクリーニングにおいて重要になるであろう。

DNAマーカー:第1世代DNA検査に使用されたマーカーは、多くのポリープおよび癌を見逃し、それが中間結果における低検出率に反映されている。「より広範囲な分析を実施した第2世代の検査では、結果が向上しました。」とAhlquist医師は述べる。「今後の検査では、より精度の高いマーカーの組み合わせを選択することが出来るでしょう。」

DNA検出:便の中から微量の腫瘍DNAを検出することは非常に困難なことである。便中の全DNAのうち、腫瘍DNAの占める割合は100万分の1未満である。中間結果まで使用されたDNA測定ツールは、常にDNAを検出できるわけではなかった。中間結果以降、メイヨークリニックおよびその他の施設では、DNA増幅法であるデジタル・ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やその他の解析技術を活用し測定ツールの精度を向上させた。

「大腸癌による死亡を防ぐためには、確実に前癌性ポリープを発見できる簡便なツールが必要です。」とAllquist医師は言う。「便DNA検査は急速に発展しているため、近い将来そのニーズが実現されるかもしれません。」

大腸癌検出のための便DNA検査は、今年既に、米国癌学会協会で承認支持されている。その使用に際しての現時点での問題は、この検査が広く普及されていないこと、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得ていないこと、ほとんどの保険会社で、保険の対象にならないことであるとAhlquist医師は話す。

メイヨークリニックの消化器内科は、U.S. News & World Report誌で全米病院ランキングが始まって以来、18年間連続して第1位にランクされている。

Imperiale TF、Ransohoff DF、Itzkowitz SH、Turnbull BA、Ross ME
平均的リスク集団の大腸癌スクリーニングにおける便DNA検査と便潜血検査との比較
N Engl J Med. 2004; 351(26): 2704-14

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Yuko Watanabe 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修
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原文

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