短縮テロメアが死に至る肺疾患の原因に/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

短縮テロメアが死に至る肺疾患の原因に/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター

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短縮テロメアが死に至る肺疾患の原因に/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター

短縮テロメアが死に到る肺疾患の原因に
ジョンズホプキンス大学*キンメルがんセンター
2008年9月5日

死に到る肺疾患が遺伝し受け継がれていく遺伝子的原因を、ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らが昨年発見しているが、さらに今回、この肺疾患の根本的な原因が患者の大部分に共通することを発見した。[pagebreak]テロメアは染色体の末端部分で遺伝子の安定性を維持しており、同研究チームは特発性肺線維症(IPF)の多くに、このテロメアが関与していると考えている。IPFは進行性の肺の瘢痕化を引き起こし、これが致命的となる場合がほとんどである。現在のところ有効な治療法はない。

同研究チームが、家族歴のないIPF患者の白血球と肺胞(肺の中の何百万もの気嚢)を調査し健常対照群と比較したところ、大部分の患者でテロメアが短縮していることがわかった。

米国立科学アカデミー会報誌9月2日号に掲載された今回の所見では、従来免疫の介在による疾患とみられていたIPFが、実際は短いテロメアに原因の可能性があることに重点が置かれている。テロメアは細胞の中で時計のように働き、特定の肺細胞ではテロメアが短いとその寿命が制限されてしまう。さらに肝臓と肺両方に瘢痕のある患者4人にテロメア短縮化が見られている。「現在までにIPFの根本的な原因を説明する手がかりは全くなく、それが治療の障害となっていました。」とMary Armanios氏(ジョンズ・ホプキンス大学キンメルがんセンター腫瘍学助教授、本試験の主任研究員)は述べている。「免疫システムに的を絞ったアプローチではうまくいきませんでした。その理由を解明するところから、今回の研究は出発しているのです。」

テロメアは、必要な遺伝子の末端から伸びており、ちょうど靴ひもの端をプラスチック部分が保護するように、不安定な染色体末端部を保護している。テロメアが短縮化すると、細胞が再生する能力が制限されてしまう。

遺伝性のIPF症例の10%に、テロメア長を維持する作用のある酵素テロメラーゼをコードする2つの遺伝子における変異が、同チームにより認められた。この研究では、家族歴のない患者も短いテロメアを持っていたことから、疾患とテロメアとの関連性を強調している。さらにIPFを肺の老化の徴候のひとつとして注目している。

Armanios氏によれば、上記の所見はIPFを理解する上で大きな進歩であり、治療改善についての新規研究につながると確信している。「従来の認識を大胆に転換させたいのです。」氏は言う。「今や薬剤でテロメアの短縮化を抑制し、細胞死を防ぐことを検討する段階にきているのかもしれません。」

IPFは年間5万人が罹患する。60歳以上に最も多く年間死亡者数は2万人である。治療の選択肢は、現在のところ肺移植のみである。平均生存期間は3年間とされる。

本研究にはArmanios氏の他、以下が参加している。
Jonathan K. Alder, Julian J.-L. Chen, Lisa Lancaster, Sonye Danoff, Shu-chih Su, Joy D. Cogan, Irma Vulto, Mingyi Xie, Xiaodong Qi, Rubin M. Tuder, John A. Phillips III, Peter M. Landorp, and James E. Loyd,

本研究は、National Cancer Institute および Doris Duke Charitable Foundationより資金援助を受けている。

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Chachan 訳
大藪 友利子(生物工学)監修

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原文

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