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遺伝子変異が白血病治療薬の効果を高める

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遺伝子変異が白血病治療薬の効果を高める

遺伝子変異が白血病治療薬の効果を高める
オハイオ州立大学 2008年6月17日

オハイオ州コロンバス-細胞を癌化させる遺伝子変異が、細胞の化学療法に対する感受性を高めることがある。一部の急性白血病に存在する変異が、特定の抗癌剤の高用量投与に対して癌の感受性をより高めることがオハイオ州立大学の癌研究者らによる新しい研究で明らかになった。[pagebreak]国際的に著名な白血病専門医であるオハイオ州立大学総合がんセンターのClara D. Bloomfield医師が率いるCALGB臨床試験共同グループによる試験における知見は急性白血病患者の治療を一変させるかもしれない。

本研究は、Journal of Clinical Oncology誌6月16日号オンライン版に付随論説と共に発表された。 RAS遺伝子に変異を保有する急性白血病(AML)患者が寛解後に高用量のシタラビン投与を受けた場合、治癒する可能性が高いことを後ろ向き試験で明らかになった。

また、RAS変異の検査は、どのAML患者が寛解後高用量のシタラビン療法を受けるべきかを特定する手助けになるかもしれないことを示唆している。 「これは癌遺伝子の変異をもつAMLが、標準的な化学療法剤の一定用量に対して患者の感受性を上げることを示した最初の例であるとみられる」とBloomfield氏は語る。

「立証されれば将来のAML患者はRAS変異の検査を受けることになるであろう。そして、RAS変異を保有する患者は寛解後療法に幹細胞移植ではなく、高用量のシタラビン投与を受けるようになるだろう」

一般的に、AMLと診断されたばかりの患者はまず完全寛解に向けて投薬治療を受ける、とBloomfield氏は述べる。完全寛解後、患者は再発予防や悪性腫瘍治癒のために、高用量シタラビンなどの追加の化学療法や、より積極的治療である幹細胞移植を受ける。

高用量シタラビンは一部の患者にとってはより効果的な治療となるため、この試験による知見によって医師らが適した患者を特定できるようになる。初期治療後に完全寛解に達した60歳以下のAML患者185人を本試験で分析したところ、18%にあたる34人の患者はRAS遺伝子に変異があった。そのうち22人は高用量シタラビン投与を受け、12人は低用量投与を受けた。高用量投与を受けたRAS変異を有する患者の再発率は最小で、平均して10年の経過観察において45%であり、それに対して正常なRAS遺伝子を持つ患者は68%が再発した。

「正常なRAS保有患者の32%に対して、RAS変異を有する患者の55%が高用量投与を受けて治癒したことになる」とBloomfield氏は語る。 低用量投与を受けた、変異をもつ全ての患者は再発し、正常RAS遺伝子をもつ患者の再発率は80%だった。

「これらのデータが強く示唆しているのは、RASの変異がAML患者の高用量シタラビンに対する感受性に影響しているということである。そして、これらの変異が、この治療に対するバイオマーカーとしての利用できることをデータが裏付けている」と癌研究におけるWilliam G. Pace III名誉教授でありOSU大学癌研究者のBloomfield氏は述べる。

米国国立癌研究所とColeman白血病研究基金、およびDeutsche Forschungsgemeinschaftからの財政支援で試験が行われた。

本試験に関与したオハイオ州立大の他の研究者は以下である。
Kati Maharry, Krzysztof Mrozek, Guido Marcucci, Peter Paschka.

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下和田 篤子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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原文

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