カルシウムおよびマグネシウム投与が化学療法剤オキサリプラチンの神経過敏症状を効果的に軽減することが明らかに/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

カルシウムおよびマグネシウム投与が化学療法剤オキサリプラチンの神経過敏症状を効果的に軽減することが明らかに/メイヨークリニック

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カルシウムおよびマグネシウム投与が化学療法剤オキサリプラチンの神経過敏症状を効果的に軽減することが明らかに/メイヨークリニック

カルシウムおよびマグネシウム投与が化学療法剤オキサリプラチンの神経過敏症状を効果的に軽減することが明らかに
2008年5月15日

進行大腸癌患者がより少ない副作用で治療を完遂することを可能にする知見;試験については米臨床腫瘍学会(ASCO)にて発表予定

ミネソタ州・ロチェスター -米国北中部癌治療グループ(NCCTG)の研究者らによると、進行大腸癌の治療に用いる化学療法剤オキサリプラチンの投与前後にカルシウムおよびマグネシウムの静脈注射をうけた患者では、神経学的副作用(神経毒性)の発生率および重症度が有意に軽減されたという。このような副作用の軽減は、患者が治療の全過程を完遂できる可能性を高めるものである。この知見はASCOの第44回年次総会の一部として5月15日に発表された。

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ミネソタ州ダルースにあるSt. Mary’s Duluthクリニックの臨床腫瘍医であり、NCCTGのメンバーで本試験の共同責任医師であるDaniel Nikcevich医学博士は言う。「オキサリプラチンに起因する神経毒性の軽減におけるカルシウムおよびマグネシウムの有効性については、わずかな研究や症例報告しかなかった」

「われわれは、オキサリプラチンに関連する手、指、足およびつま先の痛みなどの患者を衰弱させる神経過敏の軽減において、カルシウムおよびマグネシウムの有効性を裏付ける二重盲検プラセボ対照試験をデザインした。過去、このような副作用は患者が治療を中止し、重要な治療を受けられなくなる原因であった」

米国では、毎年150,000人が大腸癌と診断されており、そのうち約50%が進行大腸癌を発症する。オキサリプラチンは、5-フルオロウラシル(5-FU)などの他の化学療法剤との併用で、進行大腸癌の標準的な一次療法として注目されるようになった。しかしながら、オキサリプラチンは痛み、麻痺、刺痛といった急性および慢性の累積する感覚神経障害を惹起し、これが患者にとって治療を完遂する妨げとなる。

本試験では参加した患者102人のうち、50人がオキサリプラチンベースの化学療法に加えてカルシウムおよびマグネシウムの静脈注射を受け、52人が大腸癌に対するオキサリプラチンベースの補助化学療法に加えてプラセボの静脈注射を受けた。試験の結果、オキサリプラチン投与前後にカルシウムおよびマグネシウムの静脈注射を用いることが、神経毒性の発生率および重症度の有意な軽減に関連しており、またオキサリプラチン療法による神経毒性の発現までの時間を遅らせることも明らかになった。

カルシウムおよびマグネシウムはオキサリプラチン起因性の神経毒性に対し、容易に投与できる安全な治療法の選択肢の一つである。「他の研究では、カルシウムおよびマグネシウムの使用により、オキサリプラチンベースの化学療法の活性が低下すると主張する初期の報告がいくつかあった」とメイヨークリニックの臨床腫瘍医で研究の共同責任医師であるAxel Grothey医師は述べる。「しかしながらわれわれは、カルシウムおよびマグネシウムがオキサリプラチンベースの化学療法の効果に何ら悪影響を及ぼさないことを、独立盲検化画像評価において、決定的な結果を以って証明できた」

「われわれはオキサリプラチン起因性の神経毒性を軽減するカルシウムおよびマグネシウムの有効性を示したが、さらに次の段階では、他の薬剤治療に起因する神経毒性の軽減におけるカルシウムおよびマグネシウムの利点を調べることになるであろう」とNikcevich医師は述べている。「一般に用いられている化学療法剤の多くは神経過敏症を惹起する。われわれの試験デザインを適用することで、他の治療法と併用した場合のカルシウムおよびマグネシウムの有効性を検証できる」

本試験はメイヨークリニック・ロチェスターの腫瘍内科医であるCharles Loprinzi医師によるプログラムの一部として行われた。彼が指揮をとるこのプログラムでは、癌や癌治療に関連する有害な症状を予防、あるいは治療をする方法を見出すためにデザインされた臨床試験を50件以上行っている。このなかには、化学療法に起因する確立された神経障害の治療法を評価する3つの臨床試験、そしてそのような毒性の予防を試みた3つの試験も含まれている。さらに、この毒性を軽減する他の方法を見出すための試験も進行中である。

本試験に参加したMayo Clinicの医師は他にJeff Sloan医学博士、Paul Novotny氏、Charles Loprinzi医師である。共同研究者は以下である;John Kugler, M.D., Illinois Oncology Research Associates, Peoria, Ill.; Peter Silberstein, M.D.; Missouri Valley Cancer Consortium, Omaha, Neb.; Todor Dentchev, M.D., Altru Health Systems, Grand Forks, N.D.; Donald Wender, M.D., Siouxland Hematology-Oncology, Sioux City, Iowa; and Harold Windschiti, M.D., CentraCare Clinic, St. Cloud, Minn.

NCCTGは米国立癌研究所(NCI)が資金提供している国立臨床研究団体であり、米国、カナダ、メキシコにある地域の診療所、病院および医療センターの癌専門家のネットワークにより構成されている。NCCTGはメイヨークリニックとの協力のもと、最新の癌研究の情報を地域社会に届けている。NCCTGおよび閲覧可能な臨床試験についての詳細は(http://ncctg.mayo.edu/)を参照のこと。

ASCO抄録番号:4009

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河原 恭子 訳
島村 義樹(薬学)監修

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原文

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