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腎臓癌の進行を妨げる薬剤/スローンケタリング記念がんセンター 

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腎臓癌の進行を妨げる薬剤/スローンケタリング記念がんセンター 

腎臓癌の進行を妨げる薬剤/スローンケタリング記念がんセンター*
2008年5月16日

ニューヨーク – 国際多施設共同第3相臨床試験での新たなデータによると、実験的標的療法としてのエベロリムス(RAD001)が他治療では悪化した転移性腎臓癌の患者において、癌の進行を有意に遅らせることがわかった。本研究の主任でありスローンケタリング記念がんセンター(MSKCC)の担当医であるRobert Motzer医師が、5月31日に行われる 米臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会においてこの研究結果を発表する。

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「本研究は腎細胞腫瘍の治療を行う上で、新しく、かつ明らかに有用な手段を与えてくれた。エベロリムスは疾患管理および腎細胞腫瘍患者のQOL(生活の質)という観点において重要な前進である」とMotzer医師は述べる。

腎臓癌は男女共に最も多い癌の上位10位以内に数えられる。アメリカ癌協会(ACS)は、2008年に米国内で新たに腎臓癌の診断が下されるのは約54,390例で、この疾患による死亡数は約13,010名になると推定している。

エベロリムスは1日1回経口投与による療法で、腫瘍細胞分裂、細胞の代謝、および血管新生の中心的な調節因子として作用するmTORタンパクを標的とする。現在、リンパ腫および神経内分泌腫瘍(NET)などの数種類の癌の治療においての評価が行われている。

本研究は腎細胞腫瘍の治療を行う上で、新しく、かつ明らかに有用な手段を与えてくれた。エベロリムスは疾患管理および腎細胞腫瘍患者のQOL(生活の質)という観点において重要な前進である
— Robert J.Motzer医師

本研究では400名以上の参加者全員が、現在用いられているスニチニブまたはソラフェニブ、あるいはその両方による標的療法を受けても疾患の進行が認められた患者であった。患者はエベロリムスあるいはプラセボのいずれかを投与される群に無作為に分けられた。6ヵ月後、疾患の進行が認められなかった患者はプラセボ群ではわずか2%であったのに対し、エベロリムス群では26%であった。無進行生存期間の平均差はプラセボ群では1.9ヵ月であったのに対し、エベロリムス群では4ヵ月であった。

2008年2月、良好な中間結果を受けて、独立データモニタリング委員会は第3相試験を中止し、研究者らにプラセボ群の患者にもエベロリムスを提供することを承認した。

「ほぼ20年間、進行腎臓癌の管理はまったく進歩がなかった」とMotzer医師は指摘する。「近年、複数の血管新生標的薬剤が新たに同定されたことで、進行腎臓癌患者に対する新たな治療法の選択肢が与えられ予後が改善された。本試験の結果に基づくと、エベロリムスは新たな手段としてわれわれの治療道具に加わり、また将来、このような治療の進歩によって、腎臓癌は慢性疾患として管理できるようになるであろう。」

エベロリムスは忍容性が良好であり、最も多く認められた副作用は口内炎、貧血、皮膚発疹および脱力であった。

Motzer医師に加えて、本試験に参加した研究者は以下である。
Researchers from Institut Gustave Roussy in Villejuif, France; Georges Pompidou European Hospital in Paris, France; San Matteo University Hospital in Pavia, Italy; US Oncology, Baylor-Sammons Cancer Center/TOPA in Dallas, Texas; Azienda Ospedaliera in Perugia, Italy; Novartis Pharmaceuticals in Florham Park, New Jersey; and HÔpital Saint André CHU in Bordeaux, France.

本試験はノバルティスファーマ(Novartis Pharmaceuticals)社から助成を受けた。

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河原恭子 訳
九鬼 貴美(腎臓内科)監修

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原文

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