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癌患者のQOL(生活の質)は生存期間と直接関連する/メイヨークリニック

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癌患者のQOL(生活の質)は生存期間と直接関連する/メイヨークリニック

癌患者のQOL(生活の質)は生存期間と直接関連する
米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会の研究結果を公表メイヨークリニック
2008年5月15日

ミネソタ州ロチェスター―NCCTG(North Central Cancer Treatment Group)臨床試験協力団体と共に研究しているメイヨークリニックのAngelina Tan医師らは、5月15日に公表された第44回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会の研究結果で、「生活が快適と感じる患者ほど、生存期間が長くなる」と述べている。

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メイヨークリニックの癌研究者で本試験の筆頭著者であるTan氏は、「今回の結果から、QOLが生存期間の独立因子であると判明した」と述べる。

さらにTan氏は、「QOLは癌患者の生存期間に影響を及ぼしていると考えられる。医師が患者の状態が悪いと特定できれば、治療を行い、患者の主観的な健康状態だけでなく生存期間も改善させられることが期待される」と続けている。

患者3,704人の全生存期間と「ご自身のQOLを0~10で表すといくつですか?」という質問に対する回答を比較した。当該患者は種々の癌を有しており、同質問は24件のNCCTG臨床試験のうち1試験への参加中に実施した。統一因子は、全患者が後期癌を有していることであった。すべての結果を100ポイントスケールに変換した。

ベースラインQOLが生存期間の強力な予測因子であることが判明した。スコアの中央値83で患者を2群に分けた場合、明確な差異(スコアが83以上の患者では生存期間が6.1カ月延長)が明らかになった。また、スコア51以上と50以下とで患者を分け、50以下の群は臨床的なQOL低下と定義した。この場合の解析結果はさらに顕著であり、臨床的なQOL低下が認められない患者では生存期間が7.5カ月延長した。生存期間は、パフォーマンスステータス(患者の活動性の評価により生存期間を予測する指標として従来から使用されているもの)とは無関係であると判定された。

本試験はQOLに関するいくつかの研究の1つであり、メイヨークリニックの研究者らがASCO年次総会にてこれらの試験結果を公表した。

メイヨークリニックの癌研究者および本試験の主席責任医師であるJeff Sloan氏は、「QOLの研究はメイヨークリニックにおける最優先事項である。医師は患者のQOLについて重要であると理解しているが、今回の試験から、QOLの評価が必要であること、およびその評価によって患者の今後の状態を予測できることが判明した」と述べている。

メイヨークリニックおよびNCCTGのSloan氏やTan氏らは、現在進行中および今後の研究で、医師が患者の主観的な健康状態を補助する上で最善の方法と時期が特定されることを期待している。たとえば、QOL低下が患者の疲労感や心的苦痛と関連していると判明すれば、患者の健康状態を改善させるために治療(投薬や心理社会的療法など)を行うことが可能となる。

Tan氏は、「通常の診療でQOL低下を特定できれば、患者に有益となるであろう。また、医師はQOL低下に至る問題点に取り組むことができ、さらに理想的には、治療を行うことで生存期間が延長するであろう」と述べている。

その他の研究者は次のとおり。メイヨークリニックのPaul Novotny氏、Judith Kaur氏およびJan Buckner氏。NCCTGの研究者として、Toledo Community Hospital Oncology Program(オハイオ州トレド)のPaul Schaefer氏、St. Joseph Mercy Health System(ミシガン州アンアーバー)のPhillip Stella氏およびColumbus Community Clinical Oncology Program(オハイオ州コロンブス)のJohn Kuebler氏。

ASCOで発表予定のQOLに関するその他の研究を以下に記載する。

・ベースラインQOLは進行期非小細胞肺癌患者における全生存期間の強力な予後因子となる:Schild氏ら

・第1相臨床試験に参加している患者のQOL評価にて治療期間中のQOL低下を確認:Atherton氏ら

・ベースラインQOLは転移性結腸直腸癌患者における全生存期間の強力な予後因子で、パフォーマンスステータスとは無関係:Turja氏ら

・転移性結腸直腸癌患者において腫瘍量とQOLとは関連しない:Sloan氏ら

診療へのQOL評価統合に関する詳細な背景情報については、Current Problems in Cancerの2005年11月~12月号および2006年11月~12月号にメイヨークリニックが掲載した論文2本を参照のこと。

NCCTGとは、米国国立癌研究所(NCI)が資金提供している国立臨床研究団体である。研究と運営はメイヨークリニックを拠点としている。NCCTGは、米国、カナダおよびメキシコにある地域の診療所、病院および医療センターの癌専門医で構成されている。本グループの目的は、将来有望な新しい癌治療法に関する臨床試験を患者の居住地域に普及させることである。

ASCO抄録番号:9515

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齋藤 芳子 訳
橋本 仁(獣医科)監修

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◆原文

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