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運動が前立腺腫瘍の増殖を早める可能性/デューク総合がんセンター

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運動が前立腺腫瘍の増殖を早める可能性/デューク総合がんセンター

運動が前立腺腫瘍の増殖を早める可能性
デューク総合癌センター 2008年4月13日

デュ-ク総合癌センター(DCCC)およびデューク前立腺センターの研究者らが新たに行った研究によると、運動をしたマウスはしなかったマウスにくらべて前立腺腫瘍がより早く増殖しており、運動によって腫瘍への血流が増加すると推測されている。


DCCCの研究者であり本研究の上級責任医師であるLee Jones博士は次のように述べている。「われわれがこのマウスモデルで行った研究では、あまり運動をしない生活を送るよりも運動をしたほうが、腫瘍増殖が有意に顕著となることがわかった。将来、前立腺癌患者や他の種類の癌患者に対してさらに有効な治療を行う上でより優れた薬剤送達のモデルを考案するために本研究結果を利用できるかもしれない。」

本研究結果は4月13日にカリフォルニア州サンディエゴで行われた米国癌研究会議(AACR)年次総会ポスターセッションで発表された。本研究は米国防総省、Prostate Cancer Foundation、American Urological Association Foundation、および本研究責任医師の一人であるStephen Freedland氏に授与されたRising Star in Urology Awardによる助成を受けた。

研究者らはマウス50匹の脇腹の皮下に前立腺癌を移植し、半数を運動用ホイールがあるケージに、もう半数をないケージに入れた。どちらのマウスにも同じ食餌を与えた。平均して、運動をさせたマウスは1日に0.5マイルを超える距離を走った。

Jones氏によると、「自発的に運動をする機会を与えたマウスでは、与えなかったマウスの約2倍の速さで腫瘍が増殖することがわかった」という。

腫瘍に化学療法剤および放射線を送達させる際の弊害となるのが血流の乏しさであることは研究者や臨床医らには明らかであるため、本研究結果が腫瘍への血流を改善する方法を示し、ひいては、より良好な薬剤分布を得られるようになるかもしれない、と彼は言う。

またJones氏は「われわれは、前立腺癌患者に対して最大限の治療成果をあげるために、運動を化学療法、ホルモン療法あるいは放射線療法などの治療法と組み合わせることができないかと考えている」が、「それは今後の研究課題となるだろう。」としている。

現在、研究者らはバリデーション研究(妥当性に関する検証研究)を行っているが、前立腺に腫瘍を直接注入したマウスを用いているためヒトの前立腺癌をより忠実にシミュレートできる、と彼は言う。

「将来、われわれは前立腺癌の治療を受けている患者を対象に、この仮説を検証することになるだろう。」と彼は言う。

研究者らは、本研究結果を受けて、癌の発症あるいは悪化を恐れて運動を控えるべきである、との解釈はしないよう注意している。

本研究責任医師でデューク大の泌尿器科医であるFreedland氏は次のように述べている。「実験に用いたマウスは治療を受けておらず、実験のために進行性腫瘍を抑制なしに増殖させ」ており「患者が同じ状況に置かれることはないであろう。」

そのような懸念を抱くよりも、心血管の健康、2型糖尿病、肥満、および多くの慢性症状に及ぼすプラス効果など、すでに定着している運動の利点に注目すべきである、と彼は言う。

デューク大医学部の学生であり本研究の責任者であるMichael Potter氏は「本研究により、運動がどの細胞経路に作用するかが明らかになり、その有益な効果の利用法について手がかりが見えてきた」と言う。「最終的には、薬剤送達をより効果的に行うとともに治療の有害な副作用から体を防御するために運動を利用する際、この知見が役立つであろうことをわれわれは望んでおり、それが可能であると考えている。」

これは、運動が腫瘍自体に及ぼす生理的作用に着目した初めての研究のひとつであり、癌患者のQOLや症状管理に及ぼす影響を検討したものではない、とJones氏は言う。

「研究結果は少々意外であったが、非常に重要で興味深い研究の基盤を与えてくれた」と彼は述べている。

この研究に参加した研究者は他にSusan Poulton氏、Mark Dewhirst氏である。

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河原恭子 訳
関屋(薬学)監修

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原文

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