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パーキンソン病治療薬が癌患者に有効である可能性がメイヨークリニックの試験で示唆される/メイヨークリニック

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パーキンソン病治療薬が癌患者に有効である可能性がメイヨークリニックの試験で示唆される/メイヨークリニック

パーキンソン病治療薬が癌患者に有効である可能性がメイヨークリニックの試験で示唆される
マウスの実験においてドーパミンが腫瘍への養分供給のための血管を遮断
メイヨークリニック 2008年3月13日

ミネソタ州ロチェスター- Journal of Clinical Investigation誌の3月13日号オンライン版(http://www.jci.org/)で発表された試験により、現在パーキンソン病やその他の疾患の治療に用いられているドーパミンが、癌患者に対しても効果のある可能性が明らかになった。これはマウスと実験モデルを用いて実施した試験で、ドーパミンが新しい血管の成長を阻止し、その結果癌の進行を遅らせる可能性があることが判明した。

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ドーパミンは脳内の神経伝達物質であり、運動を制御し動作に影響する。ドーパミンは合成された形で、心臓発作患者、パーキンソン病および下垂体腫瘍の治療に用いられる。しかしこれまで、ドーパミンが新しい血管の成長(血管新生と呼ばれるプロセス)を阻止する効果があることは知られていなかった。

「研究者は今、血管新生が癌の増殖と進行に重要な役割を果たす固形腫瘍において、この概念を検証することができる」と、Chittaranjan National Cancer Institute(CNCI)(インド・カルカッタ)の科学者Partha Sarathi Dasgupta博士とメイヨークリニックおよびCNCIの生化学博士研究員、Debanjan Chakroborty博士と共に本試験を実施したメイヨークリニックの研究者Sujit Basu医学博士は述べる。

「新薬が答えでないこともある。その代りわれわれは、既存品の新しい適応症に目を向け極めて有望な結果を見いだした」 とBasu博士は言う。

彼によれば、本試験はヒトで再現はされていないが、今回の結果は有望であるという。

Basu博士は長年癌におけるドーパミンの役割を研究しており、ドーパミンが新しい血管の成長を妨げることを最初に発見した功績が認められている。今回の試験は、マウスと肉腫(軟部組織に発生した悪性腫瘍)の実験モデルに基づいている。この研究は、養分を供給する血液の供給ライン形成のために癌が内皮前駆細胞を使用する際に、ドーパミンが関与しているという最初の報告である、とBasu博士は言う。幹細胞の一形態である内皮前駆細胞は、酸素欠乏状態にある癌細胞から分泌されるたんぱく質である血管内皮増殖因子A(VEGF-A)に反応し、骨髄から血液システムに放出される。そして内皮前駆細胞は、新しい血管を形成し癌に養分を供給する。

研究者らは、ドーパミンが内皮前駆細胞表面の特定の受容体と結合することにより、骨髄から血流へ移動するのを止めることを発見した。この結合は、内皮前駆細胞が骨髄から移動することを可能にする酵素であるマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP-9)(監修者注:原文中、マトリックスメタロプロテアーゼの誤記)の活性を抑制する。

これらの実験において、研究者らはドーパミンによる治療が骨髄から前駆細胞の動員を有意に減少させ、MMP-9の発現をも減少させることを発見した。

「ドーパミンのような重要な神経伝達物質が、骨髄からの前駆細胞の動員を制御していることがわかったのはこれが初めてである。これは極めて重要で、この知見がなぜこれほどユニークであるかを表している」とBasu博士は言う。

他の著者は、CNCIおよびメイヨークリニック Chandrani Sarkar博士、CNCI Uttio Roy Chowdhury博士およびRathindranath Baral博士である。

この研究は、インド政府生命工学局、米国国立衛生研究所および米国防総省からの研究費援助による。

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入江瑞穂 訳
島村義樹(薬学)監修

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原文

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