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文章で表現することにより、癌に対する考えや気持ちが楽になる/ロンバルディ総合がんセンター

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文章で表現することにより、癌に対する考えや気持ちが楽になる/ロンバルディ総合がんセンター

文章で表現することにより、癌に対する考えや気持ちが楽になる
ジョージタウン大学ロンバルディ総合がんセンター 2008年2月21日

ワシントンD.C―「こころのライティング」(こころの奥底にある感情や考えを余すところなく文章に書くこと)によって、癌患者の各自の病状についての考えや気持ちを変えることができる。筆記療法の効果について初めて癌専門医学誌に掲載された本研究論文によると、セッション直後に自分の病状について考えが変わったと語った患者では3週間後にも身体的QOLの改善が報告されたという。

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ロンバルディ総合がんセンターのArts and Humanitiesプログラムの管理者で筆記療法士であるNancy P. Morgan文学修士は、「これまでの研究でも、こころのライティングは身体的、心理学的幸福を高める効果があることが指摘されてきました」と述べたうえで、「ただ、そうした研究論文のほとんどは、施設で管理のもと3回から5回の筆記療法のセッションを行うものでした。そこでわれわれは、頻繁に中断しなければならない状況の病院内で、たった1回参加するだけでも、患者に良い影響を与えうることを見出しました」と続けた。本論文は、Oncologist誌の2月号に掲載される。

Morgan氏および同研究チームのメンバーは、ロンバルディ総合がんセンターの待合室で、2006年7月より11月にかけて上記研究を行った。本研究は、予備調査、20分間の「こころのライティング」、予後調査、参加希望患者に対する3週間後の電話による追跡調査の順で行われた。調査には成人白血病患者またはリンパ腫患者71人(男性51%、女性49%)が、治療やフォローアップのために来院した際に本研究に参加した。

予備調査には全員が参加したが、20分間の「こころのライティング」を行ったのは63人(全体の88%)だった。セッションは、「癌になって、どのような変化が見られましたか。そして、その変化をどのように感じていますか」といった質問に文章で答えるものであった。

Morgan氏は、「われわれは参加者のライティング後の心理社会的結果(QOL、ベネフィットに関する知見、ライティングにより癌体験についての考えと気持ちが変わったかどうかの報告など)の測定に関心を抱きました」と述べた。また、同氏は、「これまでの研究によれば、癌についての考えや気持ち、つまり認知処理や感情を文章で表現することこそが健康につながるのです。つまり、事実だけを書き連ねても、何ら効果はありません」と続けた。

予後調査では、筆記のセッションに参加した患者の49%が自身の疾患についての考えが変わり、同35%が癌についての気持ちが変わったと示された。3週間後に行われた追跡調査では、調査全行程を終えた患者の54%がライティングによって癌についての考えが変わったと報告し、同38%が癌に対する気持ちが変わったと報告した。また、2つの要因が関係していた。すなわち患者年齢が低いほど、そして癌診断時からの期間が短いほど、癌についての考えと気持ちの変化が大きくなった。

「われわれは、筆記療法により癌体験についての考え方が変わったという患者の反応を数値データで確かめるだけではなく、癌によって人生が意義深い変化をしたと参加者が記入したかどうかに関心を持ちました」と、モーガン氏は述べた。

患者に対するライティングの効果を分析するため、研究者らは作文の初期内容分析を実施し、癌体験によって認知変容が起きたことを示す主題、単語、語句が見られるかを文章ごとに調べた。63例の文章のうち、60例の文章が癌体験での認知変容の証拠を含んでいた。文章中に表現された変化の多くはおおむね前向きであり、家族、精神性、仕事、そして将来への思いが記されていた。ある患者の手記には、「誤解なさらないように。癌は決して私への神よりの贈り物などではありません。癌になって初めて、私の人生における神よりの贈り物が何かを悟っただけなのです」とあった。

また、調査参加患者が前向きな感情を表す言葉を多く使っているほど、文章で表現することによって癌に対する考えや気持ちも大きく変わったと報告した。考えの変化の報告が多いことは、追跡調査の際の身体的QOLが良好であるという報告とは有意に関連していた。

ロンバルディの血液学研究室長であり本論文の共著者であるBruce D. Cheson医師は、「病院での診察待ち時間は、癌患者さんにとっては不安とストレスにもなるものです」として、「非常に多くの患者さんがこのような治療に関心を抱かれたのは大変喜ばしいことです。本研究は、「こころのライティング」の有効性を支持し、このプログラムが忙しい病院においても実施可能であることを示しています」と述べた。

本論文の予備結果内容リリースは、ヘルスケアに関する人文科学、およびロンバルディArts and Humanitiesプログラムの史上最大額の寄付がなされた時期と重なった。Robert M.Fisher Foundation の理事は、ロンバルディがんセンターで長期に渡りボランティアを続けたCookieことCecelia F.Rudman 氏を追悼して、150万ドル相当の人文基金を設立した。本基金によりMorgan氏は、自身のプログラムを拡大し、ロンバルディ総合がんセンターの患者や介護者すべてが実施されている人文プログラムに参加できるよう取り計らった。また、新規来院患者はみな、オリエンテーションで日記帳を受け取ることになった。

Morgan氏は、「われわれ研究チームがこの革新的な調査を行うことができたのは、調査に協力してくださった患者皆様のお陰です。彼らのおかげで、私たち調査チームは、文章による心の表現の大切さを世間に知ってもらうことができました」と締めくくった。

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ユーテセット 康子 訳
大國義典(心理学) 監修

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原文

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