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COX-2の発現は一部の良性乳房生検で発癌のマーカーとなる/メイヨークリニック

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COX-2の発現は一部の良性乳房生検で発癌のマーカーとなる/メイヨークリニック

COX-2の発現は一部の良性乳房生検で発癌のマーカーとなる、とメイヨークリニックの研究者らは述べる
メイヨークリニック 2008年3月11日

ミネソタ州、ロチェスター — 良くも悪くも受け止められる結果がある。乳房生検を受けた女性の一部において、癌ではないが、正常ではなく将来癌化の可能性をもつ異型過形成を有する細胞が認められたと告知された場合である。乳房生検を受ける女性の4分の1でこの状況がみられるが、誰がこのリスク下にあるかは不明である。


誰がこのリスク下にあるかを知るための調査として、メイヨークリニックの研究者らは癌の転帰を予測するための生検プロファイルを構築し、3月11日号のJournal of the National Cancer Institute 誌オンライン版で、このプロファイルに追加すべき新しい因子を報告している。

本研究チームは、COX-2酵素を発現する異型性組織を有する女性で、その後乳癌が発症しやすく、COX-2酵素が多く発現するほど発症リスクが高くなることを発見した。

特に生検で異型性が発見されてから20年後に乳癌が生じたのは、COX-2発現が認められなかった群では14%に対し、異型性を伴う標本に高レベルのCOX-2発現が認められた群では31%であった。中等度のCOX-2発現が認められた群では24%に乳癌が発症した。

「これらの所見に基づくと、異型性組織におけるCOX-2発現は乳癌に進行するリスクのバイオマーカーとなりうる」と本試験の主任研究者であるメイヨークリニックの腫瘍内科医Lynn Hartman氏は述べている。COX-2は様々な悪性の特徴と関連しており、乳癌において重要であることが示されているので、COX-2は関連因子となる可能性がある。

「米国では毎年約100万人の女性が乳房生検で良性疾患であると告げられるが、一部では異型過形成があるという心配な知らせを受ける」とDr. Hartmann氏は述べる。もしも他の試験でもこれらの所見が確認されれば、患者の管理に役立つ戦略の一つとして、乳癌の発症を予防するためにセレコキシブまたはロフェコキシブのようなCOX-2阻害剤を使用することが考えられる、と彼女は言及する。また「本試験によって特定の女性で乳癌のリスクを低下させるためにCOX-2を標的にする可能性が高まる」と述べている。

これまでの生検プロファイルでは、メイヨーのリスクモデルとして年齢、生検における異型細胞を有する部位の数、COX-2の発現および正常な乳腺小葉の状態が含まれる。

「われわれの目標は、個々の患者に効果的な治療法を提供しリスクを低下させられるように、乳癌のリスクを個別化することです」とDr. Hartman氏は述べた。

シクロオキシゲナーゼ(COX)酵素は疼痛および炎症の原因となるプロスタグランジン化合物を産生し、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)はCOX酵素の発現を減らすようデザインされている。しかし一部のNSAIDを使用すると副作用が生じる(腎障害が最も顕著に認められる)。COX-2はCOXのタイプの1つで、正常組織では普通見られないが、非浸潤性乳管癌および侵潤性乳癌を含む複数の癌と関連のある酵素である。

本試験で、研究者らは、異型性を含む乳房生検の標本において、以前は行われなかったCOX-2の発現を調べた。

研究者らは1967~1991年にメイヨークリニックでマンモグラフィーを受けた後に乳房生検を受け異型過形成という細胞増殖の異常があると診断された235名の女性を対象に調査した。

平均15年間の追跡期間中、41名(17%)の女性に乳癌が発症した。乳癌であると診断されるまでの平均期間は11.4年であった。

研究者らは、異型過形成が見られる生検サンプルにおけるCOX-2の発現レベルおよび異形性部位の数(病変部位)など他の因子も調査した。研究者らは本酵素の発現レベルは、71名(30%)で中等度、34名(14%)で強度であると特定した。

本試験グループの女性では、異型過形成の診断から15年後に乳癌を発症する絶対リスクは、COX-2の発現レベルが低いか発現していない女性では13%、中等度では19%、強度では25%であると算出された。追跡調査を20年以上受けた女性では、この相関はさらに強く、リスクはそれぞれ14%、24%および31%であった。(参加者は異型過形成があるので、ベースラインでの乳癌発症のリスクが増加していたため。)

後期の乳癌発症のリスクはCOX-2の発現レベルの上昇と関連しているという所見は、標本数が少なかったため統計的有意差としては境界線上(P=.07)であるとDr. Hartmann氏は述べる。「しかし発現レベルが高くなるほど、乳癌に対する強いリスク因子であるとわれわれが以前に明らかにした生検で見られる異常な病巣数の増加とは密接に相関していた。」

また、本研究者らは、乳癌を発症していない女性を「対照」群として比較し、異型過形成部位のCOX-2の発現に基づく乳癌発症の相対リスクを評価した。一般の女性と比較し、COX-2発現が低レベルであれば2.6倍、中等度であれば3.5倍、強度であれば5.6倍以上にリスクが上昇していた。

「COX-2は、異型性を有する女性の乳癌リスクをさらに層別化するバイオマーカーであり、予防的化学療法の標的となる可能性がある」とDr. Hartmann氏は述べる。

メイヨークリニックの他の研究者らはV. Shane Pankratz, Ph.D.氏、Marta Santisteban, M.D.・Ph.D.氏、Carol Reynolds M.D.氏、Robert Vierkant; Wilma Lingle, Ph.D.氏およびMarlene Frost, Ph.D.氏である。さらにミシガン大学のDaniel Visscher, M.D.氏、フィンランドのヘルシンキ大学のAnn Arbor および Ari Ristimaki M.D.氏の協力を得た。

研究の資金提供を米国国防省、助成金をMartha and H. Bruce Atwater Jr. およびRegis Foundation for Breast Cancer Researchから得た。

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吉村 祐実 訳
島村 義樹(薬学)監修

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原文

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