頭頸部癌の危険因子となる行為が究明される/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

頭頸部癌の危険因子となる行為が究明される/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター

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頭頸部癌の危険因子となる行為が究明される/ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター

原文

頭頸部癌の危険因子となる行為が究明される

— 原因は性習慣および生活習慣

ジョンズホプキンス大学*キンメルがんセンター

2008年3月12日

ジョンズホプキンス・キンメルがんセンターの研究者は、頭頸部癌の危険因子を別々に二種類、発見した。この発見は同疾患が完全に二種類に分類可能なことを示唆している。

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同癌センターが実施した試験によれば、よく見られる性感染性ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となる頭頸部癌は、ある種の性行為やマリファナの喫煙とつながっていることが最も多く、たばこの喫煙や飲酒よりも多かった。さらに同癌センターの研究者は、HPV関連の癌がみつかった患者が、若年、白人、既婚者、大学卒、そして年収5万ドル以上であることが比較的多いことも見いだした。

対照的にHPVが原因となっていない癌では、たばこの喫煙、飲酒および口腔衛生状態の悪さとの関連性が高く、この種の習慣は頭頸部癌と最もよく結びついていた。

「本試験結果からHPV陽性頭頸部癌とHPV陰性頭頸部癌にはそれぞれ異なる危険因子があり、この二つは別々の疾患と考えたほうがよい」とMaura L.Gillison医学博士(ホプキンス大学、腫瘍学および疫学准教授)は述べている。「二つの疾患がたまたま同じ部位に発症しているだけだ」

この発見はJournal of the National Cancer Institute誌の3月12日号に掲載予定である。

Gillison博士らは、HPV感染とある種の頭頸部癌、特に上部咽頭および舌背部(中咽頭)に発症した癌が関連しており、その部位の癌患者の72%に、このウイルス感染が認められていることを2000年に報告している。

これに関連してGillison博士らは最近、過去30年間にわたる米国におけるHPV関連癌の発症率が二倍近く増加していると発表した(http://jco.ascopubs.org/cgi/content/abstract/26/4/612)。さらに博士らはHPV陽性腫瘍をもつ頭頸部癌患者の方が、HPV-陰性腫瘍をもつ患者よりも生存期間が長く、治療に対して反応性が高い傾向があることを見いだした。この研究成果はJournal of the Nationaal Cancer Institute誌のオンライン版(2月12日)に掲載された。(http://jnci.oxfordjournals.org/cgi/content/full/100/4/261

Gillison博士によると、American Joint Committee on Cancerは現在、頭頸部癌の臨床病期を決めるガイドラインにHPVの状態について組み入れることを検討している。

現行の試験でGillison博士の研究チームは、ジョンズホプキンス病院で2000年から2006年にかけて頭頸部扁平上皮細胞癌と診断された240名の患者を検討し、この患者らの癌がHPV陽性か陰性かを判定した。博士らは、患者一人一人に年齢が近くて同性の、癌を発症していない人を二名まで対象群として選んだ。全参加者は、各自の危険因子に関する質問をコンピューター上で入力した。

全体的にみると、92名の癌患者にHPV16保持者を見つけた。Gillison博士らはHPV陽性癌が性習慣およびマリファナ喫煙と関連するが、たばこや飲酒、口腔内の衛生状態とは関連しないことを見いだした。

この関連性は、オーラルセックスのパートナーの数が増えるに従い強くなる。また、マリファナの喫煙期間や程度に応じて、関連性は強くなる。実際、タバコ非喫煙者で、マリファナを5年以上喫煙していた参加者はHPV陽性癌が11倍も高く発病した。

Gillison博士によると、彼女の研究は、マリファナの喫煙とHPV関連頭頸部癌の発症との関連を明らかにしたはじめての研究の1つである。「マリファナ喫煙に関係した他の行動が本当の原因である可能性は残っているし、われわれの試験結果は検証する必要があります。」と博士は述べた。マリファナ中のカンナビノイドとよばれる化合物がウイルス感染を抑制する免疫系の能力に影響することを報告する論文がいくつかある。

HPV陽性癌に結びつく性行動は、一生の間の膣セックスまたはオーラルセックスのパートナー数の増加、行きずりのセックスを1回以上したこと、膣セックスまたはオーラルセックス中に避妊具をあまり使わないこと、そして一度でも性感染病にかかった既往歴があることである。

HPV陰性癌は、煙草の喫煙や飲酒、および口腔衛生状態の悪さとの関連が見いだされているが、性行動やマリファナ喫煙との関連は認められていない。口腔衛生状態が悪いこと、煙草の喫煙や飲酒は、非HPV関連頭頸部癌のよく知られた危険因子である。

煙草喫煙や飲酒を大量にしていた人のHPV陰性頭頸部癌発症率は約5倍である。また、1日に1回未満しか歯を磨かない人は、HPV-陰性頭頸部癌を約4倍発症する。

頭頸部癌は毎年35000人以上のアメリカ人が発症するし、ジョンズホプキンスの研究者らは、HPV変異体の増大は性行為傾向の変化によるものと考えている。

本研究は、Damon Runyon癌研究基金、メリーランド州更正基金、国立歯科および頭蓋顔面研究機関の支援を受けた。

Coauthors were Gypsyamber D’Souza, Ph.D.; William Westra, M.D.; Elizabeth Sugar, Ph.D.; Weihong Xiao, M.D.; Shahnaz Begum, M.D., Ph.D.; and Raphael Viscidi, M.D.
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関屋 昇 訳

榎本 裕(泌尿器科)監修

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