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前癌幹細胞に腫瘍血管形成の可能性/オハイオ州立大学総合がんセンター

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前癌幹細胞に腫瘍血管形成の可能性/オハイオ州立大学総合がんセンター

原文
前癌幹細胞に腫瘍血管新生の可能性
オハイオ州立大学総合がんセンター* 2008年2月18日

オハイオ州コロンバス―腫瘍の増殖には血液の供給を要するが、その血管網ができる仕組みについてはほとんどわかっていない。今回の新たな研究では腫瘍血管は前癌幹細胞から成長する可能性が明らかとなった。前癌幹細胞は近年発見された種類の細胞で、良性のまま存続したり悪性化したりする可能性がある。

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今回の所見は腫瘍血管新生の仕組みや、腫瘍血管新生を遮断するべくデザインされた新薬に期待ほどの効果が見られないことがある理由について、新たな情報を提供するものであると研究者らは述べている。

オハイオ州立大学総合がんセンターおよび病理学部の研究者らによる今回の研究は、PLoS ONE誌2月20日号に掲載される。

「今回の所見は、腫瘍血管は主に腫瘍細胞から生じており、正常な血管細胞からは少ないことを示唆しています」と研究責任者のJian–Xin Gao(病理学部助教)は言う。

「多くの抗血管新生剤が腫瘍の成長を遮断できない理由は、ここにあると思われます」Gao氏は、抗血管新生剤の候補薬は通常、内皮細胞とも呼ばれる正常血管細胞やその前駆細胞を用いて選別されていることを指摘する。

「選別された薬剤は正常内皮細胞での血管新生は非常によく遮断しますが、前癌幹細胞や血管新生に関わる癌細胞による血管新生に対してはほとんど効果がみられません」とGao氏は述べる。「われわれの所見では、こうした薬剤の選別にあたり、前癌幹細胞も含めるべきであることを示しています」

正常幹細胞は未分化の細胞で、異なる種類の細胞を産生することができる。最近のエビデンスによれば、腫瘍を構成するのは少数の癌幹細胞、または癌幹細胞の特徴がいくつかある癌増殖細胞と、多数の悪性の子孫細胞であることが示唆されている。

前癌幹細胞には、その後の環境の影響により癌化しない細胞と癌化する細胞があると考えられている。

本研究では、Gao氏らが研究室で培養したマウスの前癌幹細胞を使い免疫不全マウスに移植した。その結果生じた腫瘍をマウスから取り出し、様々な分子マーカーを用いて腫瘍血管が主として前癌幹細胞から生じている状態を観察した。

「腫瘍血管細胞を正常な血管細胞と比べると、その外観は異常で、大きく変形していました」とGao氏は述べる。

また、前癌幹細胞は、通常の腫瘍細胞と同程度の量の血管新生を刺激する物質(血管新生因子)を産生していたが、通常の腫瘍細胞よりも強力に血管新生を行い、大きな腫瘍を形成していた。

研究者らはマウスに移植したヒト腫瘍の血管新生を調査し、マウスの腫瘍でみられた腫瘍血管の外観変化と同様の変化を観察した。

最後に、研究者らはヒトの子宮頚管および乳腺の腫瘍血管の外観を調べ、同様の異常性と分子マーカーの異常なパターンを示した血管細胞を観察した。

「このことが示唆するのは、こうした腫瘍の血管新生能力には前癌幹細胞または血管新生を行う腫瘍細胞が関与している可能性が高いことです」とGao氏は述べる。

本研究は、アメリカ癌協会(American Cancer Society)およびDavis/Bremer Medical Research Grantから資金援助を受けている。

本研究に関与したその他のオハイオ州立大学の研究者を列挙する;Rulong Shen, Yin Ye, Li Chen, Qingtao Yan, Sanford H.Barsky

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Chachan 訳
大藪 友利子(生物工学)監修

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