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メイヨークリニックの臨床試験結果から大腸癌診断ガイドラインへ/メイヨークリニック

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メイヨークリニックの臨床試験結果から大腸癌診断ガイドラインへ/メイヨークリニック

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メイヨークリニックの臨床試験結果から大腸癌診断ガイドラインへ
メイヨークリニック 2008年3月12日

3月5日、アメリカがん協会、U.S. Multi Society Task Force on Colorectal Cancerおよび米国放射線医学会の3者は、メイヨークリニックが結腸直腸癌の診断への使用を目指して試験開発を進めてきた2つの大腸癌検査方法を承認した。この方法はCTコロノグラフィーおよび便DNA検査である。

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この新ガイドラインはCancer Journal for Clinicians誌の最新号に掲載されている。このガイドラインによれば、臨床医はスクリーニング検査の選択肢をできる限り最大限理解してもらうこと、最低でも、ポリープを発見し切除する早期癌の発見と予防の両方に効果的なスクリーニング検査と、早期癌の効果的な発見が主な目的であるスクリーニング検査のどちらを選択するかを患者に示すことができるようにすべきである。

バーチャル大腸内視鏡ともよばれているCTコロノグラフィーはメイヨークリニックで10年以上にわたり厳密に検討されてきた。また、便DNA検査はメイヨークリニックの研究者らが着想して開発を進めてきた。

メイヨークリニックのアリゾナキャンパスにある放射線治療部門の責任者C.Daniel Johnson医師は、CTコロノグラフィー研究チームを率いてきて、1996年に最初のCTコロノグラフィーの臨床試験を実施した。Johnson医師は、メイヨークリニックおよび他の研究機関の研究者や臨床医とともに1990年代の終わりから数多くのCTコロノグラフィーに関する研究成果を発表している。

「1つの技術が初期段階から臨床に用いられる段階まで発展し、結腸直腸ポリープや癌を発見するのに非常に効果的な技術であると国の承認が得られたのを見届けることができてとても満足している。この技術が結腸直腸癌の発見率を引き上げ、この疾患の蔓延を食い止めるのに貢献すると期待している。」とJohnson医師は述べた。

結腸直腸癌発見のための複数のマーカーを用いる便DNA検査法は、メイヨークリニックの消化器病学の専門家であるDavid Ahlquist医師がマサチューセッツにある医療技術会社であるEXACT Sciences社の共同研究者らと研究を開始したものだ。

「新たに便DNA検査法が国のガイドラインに組み込まれたことで、検査能力を改善し、臨床のアルゴリズムを新たに構築するための研究が急速に広がって行くだろう。これは興奮すべきものだ」とAhlquist医師は述べている。

メイヨークリニック放射線科の責任者によると、この検査方法が承認されたことは、放射線科医の役割が単に癌を発見するにとどまらず、癌の予防まで広がるように大きく転換することを意味する。メイヨークリニック研究部門長のRobert Rizza医師は、研究の発展によって患者ケアを向上させるという、メイヨークリニックの最優先研究課題がガイドライン制定に影響を与えたと断言する。

米国では、結腸直腸癌は男女あわせて診断率第3位の癌であり、癌による死亡原因の第2位でもある。この相当の割合が腺腫様ポリープの発見および切除によって予防可能である。また、生存率は癌が限局している間に発見できれば顕著に改善する。

CTコロノグラフィー
CTコロノグラフィーは結腸内部を観察するために直腸へ内視鏡を挿入する方法ではなく、コンピューター断層撮影装置を用いて結腸の映像を撮影する検査方法である。患者はこの検査方法でもあらかじめ消化管から大便を取り除く処置を受ける必要がある。CTコロノグラフィー検査で異常が発見された場合、患者は従来の大腸内視鏡検査をうける必要がある。

メイヨークリニックは学術誌にCTコロノグラフィーの有効性を報告した最初の研究施設であり、CTコロノグラフィーを通常の医療行為に用いた初めての施設である。メイヨークリニックのミネソタおよびアリゾナの医師らは4000件をこえるCTコロノグラフィー検査をこれまでに行っており、いずれの医療機関よりも多い。

Johnson医師らは最近、米国国立癌研究所(NCI)が支援および資金援助してきたCTコロノグラフィー臨床試験を完了した。この試験では、CTコロノグラフィー検査を15の研究施設で2500名の患者の検査に用いて、大きな腺腫および進行癌に対する本検査の有用性を評価した。

2000年にAhlquist医師らは、多目的便DNA検査を用いて結腸直腸癌および前癌性ポリープを発見できる可能性を示す研究成果を初めて公表した。

NCIから資金援助されて最近完了した多施設試験では、Ahlquist博士らは、便DNA検査を実施することで、予想していなかった結腸直腸癌およびポリープを通常の便潜血よりもはるかに高率に発見できることを示した。試験の予備的な結果によると、便DNA検査によって結腸より上部に存在する癌も効率的に発見でき、この検査法が呼吸器官および上部消化管に存在する癌に対して、1回で済むため簡便で、非侵襲的な検査方法になる可能性があることが示された。

便DNA検査は新たなガイドライン上で、標準的なリスクのある結腸直腸癌の検査のために承認された。しかし重要な未解決事項と実施上の問題点として以下が残っている。①検査頻度が未だ決まっていない。 ②本検査に用いる具体的な検査キットをFDAはこれまで承認していない。 ③本検査の支払いを引き受ける保険会社がほとんどない。 ④便DNA検査では陽性で大腸内視鏡検査では陰性と診断された患者の取り扱いが詳しく述べられていない。

告知
1980年制定のバイドール法に従い、メイヨークリニックは連邦研究資金を用いて実施した研究の成果である発明ならびに特許の知的財産権を保持し、その権利使用料の共有および配分に関する基本方針に従って、発明や特許の実施権から受け取る権利使用料を個々の発明者と共有する。メイヨークリニックはCTコロノグラフィーの特許権を保持する。本特許権はGE Medical SystemsおよびE-Z-EM, Incに供与されており、メイヨークリニックはこの特許権から生じる特許使用料を受け取る。Johnson医師はメイヨークリニック のもつCTトモグラフィー特許権の発明者であり、このためメイヨークリニックが受け取るあらゆる特許使用料の一部を受け取る。

Amy Reyes

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関屋 昇(薬学) 訳

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