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癌細胞は発育し転移するためのエネルギーを再プログラムすることが研究結果で示された/ジョンズホプキンス

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癌細胞は発育し転移するためのエネルギーを再プログラムすることが研究結果で示された/ジョンズホプキンス

原文
癌細胞は発育し転移するためのエネルギーを再プログラムすることが研究結果で示された
ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター*
2007年5月7日

まれなる遺伝的症候群を研究しているジョンズ・ホプキンスの研究者らは、癌細胞が癌細胞自体のエネルギー生成機構の出力を下げ、消費する酸素を減らすように自らを再プログラムすることができ、その変化によって癌細胞が生存し、広がりやすくなるかもしれないということを発見した。

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ホプキンスの科学者らは、エネルギーを発生させるために酸素を消費する細胞の小さな発電所である腎臓癌細胞内での一つの遺伝子の損失が腎臓癌細胞のミトコンドリア生成を阻止することを報告した。

代わって、癌細胞は、かなり少ないエネルギーを発生させるが酸素を不要とする効率があまり良くない発酵のプロセスを使用する。結果として、癌細胞は、大量のブドウ糖を消費しなければならない。ブドウ糖に対する癌細胞の食欲は、非常に貪欲であるため、体中に広がった小さな腫瘍細胞群を特定するために利用することができる。

ミトコンドリアの変化が多くの癌で述べられてきたが、ホプキンスの研究は癌によって引き起こされた遺伝子変異がミトコンドリアの生成をどのようにして阻害するのかを初めて示すものである。

「エネルギー生成が少ない過程のために効率の高い過程を利用することを停止することは、癌細胞にとっては大きな利点となることは間違いない。」と、ジョンズ・ホプキンスの小児科の教授であり細胞工学研究所の血液生物学プログラムのディレクターでもあるGregg Semenza医師は言う。

しかし、「サ-モスタット」を下げることは、ある意味、生存に有利な状況を癌細胞に与える可能性がある。Semenza医師とその同僚らは、そのスイッチを反転し腎臓癌細胞にミトコンドリア生成を再開させると、細胞が生成するフリーラジカル量が増加し、細胞分裂を停止させ、さらには細胞が死に至るということを発見したと5月8日号のCancer Cellで報告している。

Semenza医師のチームは、一つの遺伝子突然変異によって引き起こされ、腎臓、脳、および副腎など身体の多くの部位で腫瘍が発生する傾向を持つ特徴があるフォンヒッペル・リンダウ病(VHL)の研究でミトコンドリアの機序を明らかにした。

Semenza医師とその同僚らは、VHLタンパクを全く含まない腎臓癌細胞内と「遺伝子を組み替えて」VHLタンパクを戻した同じ腎臓癌細胞内でミトコンドリアの体積および酸素の使用量を測定した。VHLを復元することにより、細胞は2倍から3倍のミトコンドリアを生成し、2倍から3倍以上酸素の使用量が増えた。

VHLは通常、ホプキンス大学のグループが1992年に発見したタンパク質であるHIF-1の作用をブロックする。細胞は、通常、発酵によってエネルギーを造る必要がある場合、低酸素状態下でHIF-1だけを作る。しかし、VHLが存在しない場合、HIF-1は酸素が豊富にある場合でも活性化しており、細胞にさらに多くのブドウ糖を処理させる遺伝子のスイッチを入れて作動させる。

今回の研究は、過剰なHIF-1は、通常ミトコンドリアを作るために細胞を刺激するMYCと呼ばれるタンパク質の影響力を弱めることを示すものである。「MYCは多くのその他の癌を作動状態に切り替えるものなので、これらの結果から腎臓癌においてはミトコンドリアの活動を停止させることが極めて重大な事象であることが示唆される。」とSemenza医師は述べた。

現在、進行腎臓癌患者に対する治療法はない。製薬会社、米国国立癌研究所、ホプキンス大学およびその他の大学の研究所の科学者らは、HIF-1を阻害する薬剤が癌治療に対し有用である可能性があるか否か調査中である。

その研究は、米国国立衛生研究所によって助成された。

その文書の著者は以下である。
Huafeng Zhang, Ping Gao, Ryo Fukuda, Balaji Krishnamachary, Karen Zeller, Chi V. Dang and Semenza of Hopkins, and Ganesh Kumar of the University of Chicago.

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湖月 みき 訳
平 栄(放射線腫瘍医)監修

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