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リンパ腫治療薬ベクサールの効果が長期間持続/ミシガン大学

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リンパ腫治療薬ベクサールの効果が長期間持続/ミシガン大学

原文:http://www.cancer.med.umich.edu/news/bexxar07.shtml

リンパ腫治療薬ベクサール〔Bexxar〕の効果は長期間持続する
ベクサールで治療した患者の86%が、その後の追跡調査で8年生存していることが明らかになった。
ミシガン大学*
2007年6月4日

ミシガン大学総合がんセンターの研究者らは、非ホジキンリンパ腫の新薬で治療を受けた患者の86%が8年経過後も生存し、その半数は再発もしていないことを明らかにした。

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従来の治療では治癒が難しいと考えられている癌のひとつである濾胞性リンパ腫の患者を対象としたものである。濾胞性リンパ腫は、たとえ最初の治療が奏効してもほとんどの場合再燃し、さらに治療することが困難となる。

リンパ系の癌である濾胞性非ホジキンリンパ腫の患者76例に初回治療として、放射免疫治療薬のベクサールを投与し、追跡調査を行った。患者の95%に腫瘍の縮小、4分の3が完全寛解した。追跡期間の中央値は8年で患者の約3分の2は治療後8年を経過しても完全寛解の状態を維持していた。

「放射免疫治療薬、例えばベクサールが、濾胞性リンパ腫を再発した患者への最も効果的な治療薬の一つであるということは、何年も前からわかっていた。これらのデータは、ベクサールを第一選択薬として用いられた際に特に有効であることを示している。」と、ミシガン大学医療センターの内科教授であるMark Kaminski医師は2007年6月4日にシカゴで行われた米国臨床腫瘍学会の年次総会で発表した。

「これらの結果は治療に数カ月かかる最先端の化学療法のもたらす結果に全く引けをとらない。ベクサールは単回投与で、治療は1週間以内で終了する。患者にとって非常に使いやすいレジメンになる」とも発表した。

米国内の癌による死因の第6位である非ホジキンリンパ腫は免疫系の一部であるリンパ系の癌である。濾胞性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫のなかで2番目に多い。リンパ腫はリンパ系および血流を通じて容易に広がるので、結果的に、診断時では広範囲に広がっていることが多い。従来の治療法には、強化化学療法、すなわち化学療法とモノクローナル抗体であるリツキシマブの併用療法も含む。これらの治療では、通常3週間ごとに最長6カ月まで投与を受け、嘔気、脱毛および感染症などの不快な副作用まで起こる可能性が高い。

ベクサール、化学名でトシツモマブ(tositumomab)およびヨードⅠ 131トシツモマブ(iodine I 131 tositumomab)は癌細胞を探し出す抗体に放射性のヨウ素を組み合わせたものである。体内に注入されると誘導ミサイルのように血流を巡り、癌細胞の表面のある特定のタンパク質(標的)と結合し、その放射線は正常組織の被曝を最低限としながら悪性細胞を攻撃する。

ベクサール治療レジメンでは、患者は診断量の標識ベクサールを投与する注射を受け、1、2週間後に患者にあわせた治療量で投与を受け、そこで治療終了となる。一般的な副作用としては投与後の数週間は一時的な血球数減少があるが、脱毛は発現せず、嘔気はまれに発現する。

Kaminski氏と同じ研究グループのRichard Wahl氏(前ミシガン大学、現Johns Hopkins 大学)が開発したベクサール・レジメンは、2003年6月にFDAによって他の治療法で効果が出なかった濾胞性非ホジキンリンパ腫の治療に対して、承認された。今回の試験結果では、濾胞性非ホジキンリンパ腫の第一次選択薬としてのベクサールについても考える必要がある。

Kaminski氏およびWahl氏に加えて、本試験の主要な関係者は、Judith Estes R.N.女史(上級看護師)、Missy Tuck 女史(治験コーディネーター)、Charles Ross M.D.氏(病理学の准教授)であった。

本試験はNational Institute of HealthおよびGlaxoSmithKline社から資金提供を受けた。ミシガン大学がベクサールの治療レジメンの特許を取得しており、ライセンス契約によりGlaxoSmithKline社が販売する。ミシガン大学はベクサールの売り上げから特許権使用料を受け取り、その一部が、Kaminski氏およびその共同開発者に渡ることになっている。

非ホジキンリンパ腫に関する情報に関しては、Non-hodgkins lymphoma web pageを訪問するか、Cancer AnswerLine 800-865-1125に電話すること。製造業者によるベクサール情報については877-4-BEXXARに電話するかwww.bexxar.comを訪問のこと。

参考文献: American Society of Clinical Oncology 43rd annual meeting, June 1-5, 2007, Chicago, Ill. Abstract No. 8033.

Written by Nicole Fawcett

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舛田理恵 訳
平 栄(放射線腫瘍科)監修

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