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2009/07/28号◆特集記事「乳房切除術を選択する女性が増加しているとメイヨークリニックから報告」

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2009/07/28号◆特集記事「乳房切除術を選択する女性が増加しているとメイヨークリニックから報告」

同号原文 

NCI Cancer Bulletin2009年07月28日号(Volume 6 / Number 15)

 

 

 

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

 

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特集記事

乳房切除術を選択する女性が増加しているとメイヨークリニックから報告

1997~2006年の間にメイヨークリニックで実施した外科手術を分析した結果、2004年以降、その前6年間と比べて、早期乳癌の治療として、より多くの女性が乳房切除術を受けていることがわかった。この明らかな変化の理由は不明であるが、乳房切除術の割合が上昇するという変化がもたらされていた。乳房を切除する侵襲度の高い手術は、これまで、米国で、そしてメイヨークリニックにおいても減少傾向にあったものであった。

多くの専門家が乳癌における乳房切除術の役割に疑問を抱いているこのときに、この発表がJournal of Clinical Oncology誌7月27日号電子版に掲載された。

「少なくともメイヨークリニックでは、診療における変化を目の当たりにしています」と、腫瘍内科医であり本研究の主導者であるDr. Matthew P. Goetz氏は述べた。「癌に携わる施設として、私たちは、なぜこのことが起きているのかを理解する必要があります。そして、果たしてこれは患者にとって本当によいことであるかを振り返り、自問する必要があります。」

この研究期間中に生じた乳癌診療における変化の1つはMRIの導入であった。研究者らは、MRIの使用と乳房切除術の関連性を示すエビデンスを調べた。しかしその因果関係を示すことはできなかった。

「MRI検査が乳癌に対する治療に変化を与えているという多くの施設からのエビデンスがあります。そして私たちは、MRI検査をすることが患者の生存を長期的に改善するかどうかを確認しようと努めていますが、現在のところ、そのようなデータはありません」と、Goetz氏は述べた。

この研究では、乳房MRI検査を行った女性患者は、同検査を行っていない患者より10~15%多く乳房切除術を受けていた。しかし乳房切除術率が一番増加したのは、乳房MRI検査を受けていない患者群であった。このことは、もしMRI検査が一役を担っているとしても、それが確かな唯一の要因ではないことを示唆していると、研究者は述べた。

「本研究結果から、女性患者はMRI検査によって乳房切除術の選択をしたとは言えません」とGoetz氏は述べた。「患者が決断を下すのにどの要因が影響を及ぼしているのか、本当にわかりません。」

早期乳癌治療に低侵襲な方法が取り入れられたのは、多くの早期乳癌患者に対して米国国立衛生研究所(NIH)が乳房温存術(手術による腫瘍摘出とその後の放射線治療)を奨励した1990年初頭であった。このガイドラインでは、乳房切除術と乳房温存術の生存期間は同じであったとのエビデンスが引用された。

医師が患者にこの内容を伝えたため、乳房切除率は1990年代には全米中で減少した。メイヨークリニックにおける乳房切除率も、1997年の45%から2003年の31%へと徐々に低下した。しかし、2004~2006年においては乳房切除術は37%から43%に増加している。

「乳癌に携わる医師はみな、乳房切除術を行った早期乳癌患者はもっと多いと感じていました。そして、メイヨークリニックの研究者らは、これを上手く研究で著しました。」とスローン・ケタリング記念がんセンターの乳腺科のチーフであるDr. Monica Morrow氏は述べた。

Morrow氏とダナ・ファーバー癌研究所のDr. Jay R. Harris氏は付随論文で、新たに癌の診断を受けてストレスに直面している女性に、複雑な治療選択肢をいかに効果的に伝えるかについてさらに調査が必要であると強調した。

「文献からは、乳房温存術と乳房切除術の生存期間に差がないことは明白です」とMorrow氏は述べた。「そのため、さらに多くの女性がより侵襲度の高い手術を選択しているようであることに多少の懸念を感じています。」

Morrow氏は、片側乳房のみに癌があると診断された患者のあいだで、予防手段としての両側乳房切除が増加していることを示す最新研究を含め、乳房切除術に対する患者の考え方に変化が生じているのではないかというさらなる根拠を指摘した。

「その報告は、乳癌患者が再発あるいは対側乳癌をいかに積極的に予防したいかについて、一般の意見は大きく揺れ動くということを示すもう1つの証拠です」と、メイヨークリニックの乳腺腫瘍外科医であり進行中のメイヨークリニック研究の共同主筆者であるDr. Amy Degnim氏は述べた。

Degnim 氏は、最近のこの変化の理由は、MRIの使用増加以外にも複数あると考えている。例えば、患者は、治療選択肢や副作用に関してより詳しくなっているかもしれない。また、放射線治療のリスクに対する意識の変化や、乳房再建術の認識がより高くなっているのかもしれない。一部では、医師のあいだで考え方に変化があったとも考えられる。

この点に関して、Degnim氏は単に患者自身がどう考えているかがほとんどわからないことから、乳房切除術のこの明らかな増加がよいことであるか、あるいは悪いことであるかを判断することは難しいと記している。

「結局、乳房切除術を選択した患者が同等の生存期間を得て、自身が選択した治療方法に満足であるなら、この変化は必ずしも悪いものではありません」とDegnim氏は述べた。

— Edward R. Winstead

乳房切除術という選択、なぜなのか?
乳癌と診断されたアジア系米国人女性の大多数(特に、ベトナム系、フィリピン系、中国系)が、乳房温存術よりも乳房切除術を選択することにカリフォルニアの研究者らはなぜだろうと疑問に思った。サンフランシスコ湾岸地域の医師を対象とした調査および患者へのインタビューで、患者の治療法を決める際には臨床学的因子が有用であるが、文化的信条や規範も影響していることを、この研究者らは明らかにした。例えば、BMC Public Health誌7月17日号での報告に よると、アジア系米国人女性の一部では、癌の診断が下ったのにも関わらず乳房を温存するのはあまり重要なことではないという考え方があり、この集団での治療パターンに影響を及ぼしているという。さらに、特に最近の移民を中心とした一部の患者は、医師の意見に対して質問することを不適切だとして躊躇する場合もあるという。北カリフォルニアがんセンターのDr. Scarlett Gomez氏が指揮をとった、NCI主導のパイロット研究では、この高い乳房切除率の背景にある複雑な意思決定の過程をさらに理解しようとしている。医師にとってこの研究の結果は、同じような文化的信条を持つ患者らとのやり取りを円滑にし、最適な治療を施す助けとなるであろう。

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Nogawa 訳

上野 直人(M.D.アンダーソンがんセンター准教授/乳癌) 監修

※枠囲記事:河原 恭子 訳/林 正樹(血液・腫瘍医/敬愛会中頭病院)監修

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