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ビタミンCがどのようにビッグ「C」(癌の増殖)を阻止するか/ジョンズホプキンス

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ビタミンCがどのようにビッグ「C」(癌の増殖)を阻止するか/ジョンズホプキンス

原文

ビタミンCがどのようにビッグ「C」(癌の増殖)を阻止するか
ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター*
2007年9月10日

ノーベル賞受賞者ライナス・ポーリングがビタミンCサプリメント類は癌を予防するということを示したことは有名な話で、論議の的となったが、それから30年近く経って、ジョンズホプキンスの研究者チームは、少なくともマウスにおいて、ビタミンC(おそらく他の抗酸化物質も)は、長年の研究によって示された方法とは別の機序をもって、一部の腫瘍の増殖を実際に阻害できることを示した。

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ビタミンCのような抗酸化物質がどのようにして癌増殖を阻止するかについてのこれまでの知見では、抗酸化物質が揮発性酸素フリーラジカル分子を拾い上げ、それらがヒトのデリケートなDNAに与えるとされるダメージを阻止するというものである。医学・腫瘍学の教授であり、腫瘍学研究におけるジョンズホプキンス・ファミリー・プロフェッサーでもあるChi Dang医学博士による今回のホプキンスの研究で、抗酸化物質の実際の役割とは、酸素不足の状況下で増殖する腫瘍の能力を不安定にさせることかもしれないということが偶然発見された。彼らの研究は、今週発行のCancer Cell誌に詳細が掲載されている。

「抗癌作用における抗酸化物質の有益性の可能性は、多くの臨床研究および動物実験を支える原動力となってきていた。」と、Dang医学博士は言う。「抗酸化物質の背景にある機序を明らかにすることで、われわれは今、治療における抗酸化物質の利用を最大限にできるところにまで近づいている。」

「どういう結論に導かれるにせよ、彼らの科学的嗅覚のおもむ榎本 裕(泌尿器科)まにさせておくことがかけがえのない価値をもつということを、この研究はまたしても示している。」とDang医学博士は付け加えた。

著者らは、ビタミンCは未だ健康であるために必要不可欠ではあるが、この研究は初期段階のものであり、人々は癌予防の手段として抗酸化剤のまとめ買いに殺到するなどするべきではないと警告している。

ジョンズ・ホプキンスの研究責任医師らは、ヒトリンパ腫(血液癌)またはヒト肝臓癌細胞のどちらかを移植したマウスを調査中に驚くべき抗酸化物質の機序を発見した。この癌の両方とも、高レベルのフリーラジカルを生産するが、ビタミンCあるいはN-アセチルシステイン(NAC)のどちらかの抗酸化物質のサプルメントをマウスに与えることでそれを抑制することができる。

しかし、ホプキンスのチームが抗酸化物質を与えなかった担癌マウスからの癌細胞を調査した時、彼らは特筆すべきDNA損傷がないことに気が付いた。「もしDNA損傷が癌の発生原因としての役割を果たしていないのであれば、同様にどのような抗酸化物質もDNA損傷に関係するものではないことになるのは明らかだ。」とその論文の主著者であるPing Gao博士は言う。

その結論から、Gao博士およびDang医学博士は、ホプキンス研究者、共同著者でもある血管細胞工学プログラムのディレクターのGregg Semenza医学博士によって10年以上前に発見されたHIF-1(低酸素誘導因子)と呼ばれるフリーラジカルに依存するとされるタンパク質などの他の何らかの機序が関わっているのではないかと考えた。実際に、このタンパク質が、未治療のマウスから採取した癌細胞中に大量に存在することを発見すると同時に、ビタミンC治療が行われた同じ動物の細胞では消失していたことを彼らは発見した。

「細胞が酸素不足となった場合、HIF-1はその酸素不足を補う役割をする。」とDang医学博士は説明する。「HIF-1は酸素が不足した細胞に対し、糖質から酸素を必要としないエネルギーへと変換させるのを助け、また、新鮮な酸素供給をもたらす新しい血管の形成を始める。」

一部の急速に増殖する腫瘍は、周辺の酸素をたやすく吸い尽くしてしまうだけのエネルギー消費が可能で、そのためHIF-1は腫瘍が生存し続けるために極めて重要なものとなっている。しかし、HIF-1はフリーラジカルの供給がある場合のみ作用することが可能なため、抗酸化物質はこれらフリーラジカルを除去することでHIF-1、ひいては腫瘍を停止させる。

著者らは、安定したフリーラジカルを必要としない遺伝子組み換えHIF-1癌細胞を作り出すことにより、この「低酸素タンパク」の重要性を確認した。これらの癌細胞では、抗酸化物質は何の抗癌作用も持たなかった。

その研究は、米国国立衛生研究所によって助成された。

その論文の著者は、次の研究者らである。 スタンフォードのDean Felsher、ジョンズ・ホプキンスのGao、Huafeng Zhang、Ramani Dinavahi、Feng Li、Yan Xiang、Venu Raman、Zaver Bhujwalla、Linzhao Cheng、Jonathan Pevsner、Linda Lee、Gregg Semenza、Dang。

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湖月 みき 訳
平 栄(放射線腫瘍医)監修

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