オメガ3脂肪酸が前立腺癌の進行を遅らせる可能性が示唆される/ウェイクフォレスト大学 | 海外がん医療情報リファレンス

オメガ3脂肪酸が前立腺癌の進行を遅らせる可能性が示唆される/ウェイクフォレスト大学

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

オメガ3脂肪酸が前立腺癌の進行を遅らせる可能性が示唆される/ウェイクフォレスト大学

原文
オメガ3脂肪酸が前立腺癌の進行を遅らせる可能性が示唆される
ウェイクフォレスト大学
2007年6月22日

ノースカロライナ州Winston-Salemで行われた-マウスを使った研究によると、魚油やある種の魚に含まれているオメガ3脂肪酸を多く含む食生活は、遺伝的に前立腺癌にかかりやすい男性の予後を改善する可能性があると示唆した。

[pagebreak]


「この研究は、食生活が病気の結果に対して良いほうへも悪いほうへも影響することがあると明白に示している。」とウェイクフォレスト大学医学部の研究責任者であるYong Q. Chen博士は述べた。「食生活の変化が、病気で死ぬか生存できるかの差を生む可能性があるということだ。」

マウスに前立腺癌を発生するように遺伝子操作をし、オメガ3脂肪酸を多く含むエサを生後直後から与えた場合、腫瘍の成長が小さくなり、病気の進行も遅くなり生存率が向上した。この研究はJournal of Clinical Investigation誌のオンライン版に本日発表され、7月2日発行分に掲載される予定である。

前立腺癌はアメリカ人男性にもっとも多く診断される癌で、主要な死亡原因である。人口学によると魚や魚油を摂取すると前立腺癌の発生が減ると示唆している。しかし、これらの調査は食事内容を正確に報告しない人々がいるという問題が妨げになっている。

現在の研究のゴールは、前立腺癌での遺伝子と食事内容との相互作用を明らかにしていくことである。この研究では、マウスに遺伝子操作をすることによって腫瘍抑制遺伝子を欠落させ、自然に前立腺癌を発生させるようにしている。この遺伝子(Pten)は、60%から70%の人間の転移性癌において欠如している。

この遺伝子操作マウスと「野生型」(遺伝子操作されていない)マウスは、異なる分量のオメガ3およびオメガ6多価不飽和脂肪酸(PUFAs)を与えられた。両方とも「必須」脂肪酸で、体が正常な細胞機能を保つために必要だが、自身で作り出すことはできない。植物性油の多くはオメガ6PUFAを含んでいる。サバやレイク・トラウト(マス)、ニシン、イワシ、ビンナガマグロ、サケといった魚にはオメガ3脂肪酸が多く含まれている。

栄養学者はオメガ3とオメガ6PUFAを同等の比率で摂取するよう勧めているが、現在の西洋式の食事ではオメガ6とオメガ3の比率は30~50:1である。

研究でのマウスはオメガ3値の高い餌(オメガ6とオメガ3の比率が1:1)、もしくはオメガ3値の低い餌(オメガ6とオメガ3の比率が20:1)、もしくはオメガ6値の高い餌(オメガ6とオメガ3の比率が40:1)を与えられた。研究者たちはマウスの生存率を調査し、マウスの前立腺の重さを測って腫瘍の成長度合いを調べた。

腫瘍抑制遺伝子をもつマウスはエサの内容に関係なく、腫瘍が発生することなく100%の生存率を見せた。遺伝子操作をしたマウスにおいては、オメガ3が多い餌を食べたマウスの生存率は60%、オメガ3が少ない餌のマウスの生存率は10%、オメガ6が多い餌を食べたラットの生存率は0%だった。

「この結果が示すには、あなたが正常な遺伝子を持っている場合は何を食べようが、おそらくあまり関係がない。」と癌の生態学の教授Chen博士は述べた。「しかしあなたが、前立腺癌にかかりやすい遺伝子を持っている場合は、食事内容が前立腺癌の発症を左右する。われわれのデータは遺伝子と食事内容の重要な相互作用を表しており、また遺伝的に癌のリスクがある場合でもオメガ3PUFAによって状況を好転させることが可能だということだ。」

Chen博士は、食事内容を変えることは前立腺癌にかかりやすい人々にとって特に恩恵があると言っている。なぜならこの癌は普通年齢の高い人に診断されることが多く、この腫瘍は進行が遅いからである。「高オメガ3食を摂ることによって、腫瘍の成長や進行を遅らせて前立腺癌にかかったまま寿命より長く生きることも可能である。」

「われわれのデータからは、オメガ3PUFAの恩恵によって、人間の前立腺癌の発生が遅れるとも考えられる。」とChen博士は話した。

博士は、研究でのマウスは生涯にわたってオメガ3を摂取し続けたことを指摘し、人によっては癌にかかるまで食事内容を変えたがらない人がいると述べた。Chen博士は今後、腫瘍が発生した後にオメガ3PUFAを多く摂取しても恩恵を受けることができるかどうかについて研究したいとしている。

Chen博士は、この効果は魚油から発見されるオメガ3から得られたものであり、アマニ油や他の植物からとれるオメガ3では同様の効果が見られないかもしれないと注意している。

この研究はNational Institutes of Health(米国国立衛生研究所)より資金提供を受けた。共同研究者は以下のとおりである。
Isabelle Berquin, Ph.D., lead author, Younong Min, B.S., Ruping Wu, B.S., Jiansheng Wu, Ph.D., Donna Perry, D.V.M., J. Mark Cline, D.V.M., Mike J. Thomas, Ph.D., Todd Thornburg, Ph.D., George Kulik, Ph.D., D.V.M., Adrienne Smith, B.S., Iris J. Edwards, Ph.D., and Ralph D’Agostino Jr., Ph.D., all with Wake Forest, Hao Zhang, Ph.D., with Southern Yangtze University in China, Hong Wu, Ph.D., with University of California Los Angeles School of Medicine, and Jing X. Kang, Ph.D., with Harvard Medical School.

******
中島美香 訳
大藪友利子(生物工学)監修

******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward