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白血球増強剤は癌患者を致死的な合併症から救うかもしれない/デューク大学

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白血球増強剤は癌患者を致死的な合併症から救うかもしれない/デューク大学

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白血球増強剤は癌患者を致死的な合併症から救うかもしれない
デューク大学医療センター* 2007年7月18日

ノースカロライナ州DURHAM-ロチェスター大学医学および歯学部とデューク総合がんセンターの研究者たちによって行われた多施設協同研究によると、癌患者に細菌感染と戦う白血球の増殖を刺激する薬の投与によって、発熱や白血球数の減少などに代表される化学療法関連の合併症で死亡する確率が有意に低下する可能性がある。

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「化学療法剤は癌細胞をターゲットとするが、同時に細菌感染と戦う白血球などの正常な細胞をも攻撃してしまう」とデューク大学の血液学および癌研究員でこの論文の主執筆者であるNicole M. Kuderer医師は述べた。「患者の白血球数が減少しすぎると、死をもたらす感染症にかかる危険にさらされる」

白血球数が減少しすぎると、しばしば化学療法を遅らせたり、薬の強さを弱めたり化学療法そのものを中止する必要に迫られて、結局悪い結果へ向かう可能性があるとKuderer医師は付け加えている。

顆粒球コロニー刺激因子と呼ばれる薬を化学療法の初期段階から投与されている患者は、発熱を伴う危険な白血球数減少の可能性がおよそ半分まで低下し、また感染症によって死亡する可能性もおよそ半分だったとKuderer医師は述べた。「この研究は、化学療法を受けている癌患者において代表的なこの合併症をより適切に治療するのに重要な役割を示している。」

この研究者たちは、この結果を2007年7月20日のJournal of Clinical Oncology誌上に掲載した。
この研究は、Awareness of Neutropenia in Chemotherapy(ANC)Study Group(化学療法での好中球減少症啓蒙研究グループ)によって実施された試験のひとつである。多施設からなる大学ベースの試験責任医師ネットワークからなり、NeupogenおよびNeulastaの名称でよく使われる白血球増強剤のメーカー、Amgen社より無制限の研究資金提供を受けている。Kuderer医師はNational Institutes of Health(国立衛生研究所)からも資金提供を受けている。

この研究は、17の臨床試験の結果に基づいており、それらには3000名以上の、さまざまな強さの化学療法を受けた数種類の異なる癌の患者が含まれている。治療初期に白血球増強剤の投与を受けなかった患者の40%近くが発熱性好中球減少症と呼ばれる発熱と白血球数低下を起こしているのに対して、化学療法とあわせてこの薬を投与された患者の発症率はわずか22%だったことを研究者たちは見出した、とKuderer医師は述べた。

白血球増強剤は、非常に強い量の化学療法を受けている患者たちを助けるものと知られているが、この研究によってこの薬はもっと一般的な投与量の化学療法を受けている患者にも恩恵があることが示された、とKuderer医師は述べた。

最近改訂されたAmerican Society of Clinical Oncology(ASCO:アメリカ臨床腫瘍学会)およびNational Comprehensive Cancer Network(NCCN:全米総合がん情報ネットワーク)のガイドラインはNeulastaおよびNeupogenなどの薬を、この研究の結論に従って使用するよう指示している。

「これらの新しいガイドラインは、ハイリスクの患者では、合併症が発症するまで待つより、化学療法を開始する際にこれらの薬を使用することを薦めている」と、デューク大学の腫瘍内科部門主任でこの研究の試験責任医師の一人であるJeffrey Crawford医師は述べた。「これらの新しい勧告は、われわれには発熱性好中球減少症を発症しやすい患者を特定するよりよい方法が必要だということを示唆しており、将来の研究はまさにそれを目指すことにある」

白血球増強剤には骨の痛みなどの副作用があり、患者と個別によく検討し話し合うことが必要であるとJeffrey Crawford医師は述べた。

この研究に加わった他の試験責任医師にはデューク大学のGary Lyman 氏とワシントン大学のDavid Dale氏がいる。

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中島美香 訳
島村義樹(薬学)監修

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