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腎臓癌に2剤併用は各薬剤の単独使用より効果的/デューク大学医療センター

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腎臓癌に2剤併用は各薬剤の単独使用より効果的/デューク大学医療センター

原文
腎臓癌に2剤併用は各薬剤の単独使用より効果的
デューク大学医療センター* 2007年7月30日

デューク総合癌センターの研究者らが実施したパイロット試験によると、腎臓癌のなかで最も多い腎細胞癌の患者に2つの薬剤の併用療法はそれぞれの単独療法よりも効果的であることが示された。

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「われわれは、癌と闘う際に免疫システムの協力を得る薬剤と腫瘍への血液供給を遮断する薬剤とを併用することによって、患者の治療に対する奏効率を大きく改善できることを見いだした。」と、デュークの癌専門医で今回の試験の責任医師であるJared Gollob氏は述べる。

この結果は2007年8月1日発行のJournal of Clinical Oncology誌に発表された。今回の試験は米国国立癌研究所の支援の下に実施された。

インターフェロンαは、感染症および腫瘍と闘う身体機能を増強する免疫療法剤であり、進行腎細胞癌の治療に数十年間使用されてきた。しかし、インターフェロンαによる腎腫瘍の奏効率はわずか5~10%程に過ぎない、とGollob氏は述べる。

もう一つの薬剤であるsorafenib(ソラフェニブ、商品名:Nexavarネクサバール)は、腫瘍への血液供給を絶つことによってその成長を抑制する、血管新生阻害剤として知られる有望な薬剤の部類に属している。しかし、ソラフェニブによる実質的な腫瘍の縮小は腎臓癌患者の5~10%に認められるのみである、とGollob氏は述べる。これらの患者においても、病気の進行を遅らせることはできるが治癒をもたらすことはない。

「単独療法に奏効を示すほとんどの腫瘍も約5~6カ月後には再び増殖し始める」と、Gollob氏は述べる。「われわれは、インターフェロンαとソラフェニブを併用することで、奏効率を高めるだけでなく、腫瘍を増殖させないでこれらの患者の生存期間を2倍にすることができることを認めた。」

それらの薬剤を併用した場合、試験に参加した40名の患者の33%に有意な腫瘍縮小がみられ、そのうちの2名の患者においては完全奏効が認められ腫瘍は破壊されていた、とGollob氏は述べる。試験参加者は全員、4期として知られる他の臓器に転移した腎細胞癌の患者であった。

研究者らは、8週間の周期で、試験対象患者にソラフェニブの錠剤を1日2回そしてインターフェロンαの注射を週3回投与した。8週間後に患者の腫瘍が増殖していないか縮小していれば、腫瘍が消失するまでもしくは癌が悪化するまで、2週間の休みをおいてその周期を繰り返した。研究者らはCTスキャンを用いて腫瘍の大きさを測り患者の進行度をモニターした。

Gollob氏によれば、研究者らは、今回の試験の成功を踏まえて、併用療法を用いて最大の腫瘍縮小効果を得た後で、ソラフェニブのみを用量漸増法で服用する場合、患者にさらなる効果が認められるかどうかを明らかにするために、今回の試験をさらに一歩進めた多施設による確認試験を間もなく開始する。

米国癌協会によると、米国内で年間約5万人の人々が腎臓癌に罹患する。ほとんどの患者は45歳以上で、女性よりも男性の罹患率が高い。腎臓癌は、通常、かなり進行した段階に達するまで症状が出にくく、その段階になると血尿、腹痛、発熱、発汗、倦怠感および貧血などの症状が現れる、とGollob氏は述べる。4期まで進行すると、癌は、肺、肝臓および骨などの臓器に転移している。

現在4期の腎臓癌と診断されているほとんどの人の生存期間は6カ月~2年であり、診断後5年間生存する人は約10%にすぎない、とGollob氏は述べる。

腎臓癌の治療にあたっている医師が直面する最大の難関の一つは、化学療法、放射線療法およびその他の一般的な癌に対する治療法に対して癌が抵抗性となることである、とGollob氏は述べる。それゆえ医師たちは、より多くの患者に効果をもたらすインターフェロンαおよびソラフェニブなどの薬剤を頼りにしてきた、とGollob氏は続けた。

「これはこれまで治療が困難であった致死的な癌であるが、今回の試験結果は、ソラフェニブのような素晴らしい新薬の有効性をさらに高めることができる可能性を示唆している。」と、Gollob氏は述べる。

今回の試験に関わったその他の医師は以下である。
Tina Richmond, Christine Marino, Elizabeth Miller, Lin Gu and Bercedis Peterson of Duke; Kimryn Rathmell, Gayle Grigson and Catherine Watkins of the University of North Carolina Lineberger Comprehensive Cancer Center; and John Wright of the National Cancer Institute.

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豊 訳
島村義樹(薬学)監修

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