2009/08/11号◆スポットライト「サプリメントと癌治療:危険な組み合わせ」 | 海外がん医療情報リファレンス

2009/08/11号◆スポットライト「サプリメントと癌治療:危険な組み合わせ」

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2009/08/11号◆スポットライト「サプリメントと癌治療:危険な組み合わせ」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年08月11日号(Volume 6 / Number 16)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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スポットライト

サプリメントと癌治療:危険な組み合わせ

【読者リクエスト記事】

癌治療中の患者は、病気による疼痛や不快感にしばしば悩まされるだけでなく、治療による衰弱という副作用の可能性もある。このような副作用を軽減する緩和ケアを適切に受けていない患者や、闘病中に少しでも楽になれることがあれば何でもしたいと考える患者は、抗癌作用や健康を補助する作用が広告されているサプリメント(健康補助食品)に頼ることがあるが、医療者に相談せずにそうする場合が多い。

このようなサプリメントはハーブ(薬草)やその他の天然物である場合が多い。「『天然のものであれば安全だ』という考えは、一般的に陥る間違いです」と、スローンケタリング記念がんセンターで統合医療科部長を務めるDr. Barrie Cassileth氏は述べている。「ハーブやその他のサプリメントは生物活性化合物で、処方薬と相互作用して悪影響を及ぼすことが多いのです。」

さらに、ますます多くの研究でも示されているように、一般的に使われているハーブやサプリメントは癌の化学療法あるいは放射線療法と相互作用を引き起こし、生命に危険を及ぼす可能性がある。

広がる使用

1998年にCassileth氏と共同研究者により出版された系統的レビューによると、21件の研究中、ハーブやその他のサプリメントを含む補完代替療法(CAM)の癌患者による使用は7%~64%であり、平均でおよそ31%であった。

CAMの使用は過去11年間で最も増えたと考えられる。メイヨークリニック総合がんセンターによる2004年の研究では、初期化学療法の試験に登録した患者の80%以上が、補助的にビタミン、ハーブ、あるいはミネラルを摂取していることがわかったが、これらは試験プロトコルで明確に禁止されている場合が多かった。

米国中西部の腫瘍クリニックにより2005年に発表された研究では、化学療法を受けている患者の65%がビタミン以外のサプリメントを併用していた。このうちの25%が、化学療法剤との相互作用で悪影響を及ぼすと考えられるハーブ療法を1種類以上使用していた。大部分の患者はサプリメントを使用する前に医療者に相談していなかった。

危険な相互作用

「われわれは、患者さんが化学療法あるいは放射線治療を現在受けているか、または今後受けるつもりがある場合は、ハーブ、抗酸化剤、サプリメントの一切を摂取しないように伝えています。特にハーブについては、化学療法剤あるいはその他の薬剤を投与しても相互作用を起こし体内の薬剤量レベルを下げてしまう場合があるため、注意しなければなりません」とCassileth氏は説明している。

このような影響は薬物動態学的相互作用によるもので、化学療法剤が吸収され、体内に運搬され、代謝され、あるいは排泄される過程を、ハーブの生物活性化合物が変化させる場合に起こる。この相互作用が起こるのには、通常肝臓で薬剤を分解する酵素の阻害、細胞膜を介して薬剤を運ぶ輸送体との相互作用などといった多くの原因がある。化学療法剤と薬物動態学的相互作用を起こすと考えられているハーブ製品には、セントジョーンズワート、ニンニク抽出物、およびエキナセアなどがある。

薬物動態学的相互作用には二つの悪い結果が考えられる。ひとつは血中を循環する化学療法剤の濃度が必要量を下回り、治療が失敗することである。もうひとつはその反対の作用で、化学療法剤が予定通り分解されず、体内から排出されない場合、過剰摂取となって重篤な副作用が起こりうることである。

天然物についての信頼できる情報源
・米国立補完代替医療センター:Herbs at a Glance
・NCIの癌補完代替医療オフィス:CAM Therapies A-Z
・スローンケタリング記念がんセンター:About Herbs, Botanicals, & Other Products

意に反してがん細胞を保護

ビタミンEのような抗酸化剤でさえ治療の妨げとなる可能性がある。放射線治療およびある種の化学療法は細胞のDNAに損傷を与えるフリーラジカルを発生させることで作用する。抗酸化剤はこの治療効果を妨げる可能性があるという。

「皆さんは、抗酸化剤は正常な細胞のみを守ってくれるだけだろうと考え高用量を摂取していますが、正常細胞だけでなく腫瘍細胞も保護することが前臨床データと臨床データでは示されているのです」とサンディエゴの米海軍医療センター(Naval Medical Center)で放射線腫瘍医を務めるDr. Brian Lawenda氏は説明する。

2008年、Lawenda氏と共同研究者らは、放射線治療あるいは化学療法中の抗酸化剤について調査した、これまで発表されたランダム化試験の結果のレビューを行い、「化学療法および放射線治療中に高用量の酸化剤を補助的に摂取することは、腫瘍を保護し、生存率を下げる可能性があるため、避けるべきである」と結論付けている。

希望の兆し?

現在、医師は患者に市販のサプリメントを癌治療と組み合わせないよう警告しているが、化学療法の効果を高める方法を模索する一部の癌研究者らは、ハーブやその他の天然物の生物活性に注目している。多くのハーブについては化学療法を妨げることが明らかになっているものの、実際にその効果を高めると考えられるハーブもあるのだ。

「一部の補完的なアプローチと従来の治療との相互作用は、癌補完代替医療オフィス(OCCAM)が特に注目している分野です」とOCCAMの所長を務めるDr. Jeffrey White氏は述べている。「われわれは天然物をどう利用すれば、従来の療法における治療指数を改善できるか考えているのです。」

OCCAMは、伝統的な漢方薬数種類を化学療法剤イリノテカンカペシタビン、およびゲムシタビンと併用した場合について現在行われている臨床試験を支援し、さらに天然物と伝統的治療との相乗的相互作用の調査に関心を寄せている研究者らに対して資金を提供する二つのプログラム(PA-09-167PA-09-168)を最近発表した。

— Sharon Reynolds

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河原 恭子 訳

九鬼 貴美(腎臓内科)監修

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