化学療法とVEGF阻害剤の併用により転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者の無進行生存率向上が試験で確認/メイヨークリニック | 海外がん医療情報リファレンス

化学療法とVEGF阻害剤の併用により転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者の無進行生存率向上が試験で確認/メイヨークリニック

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化学療法とVEGF阻害剤の併用により転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者の無進行生存率向上が試験で確認/メイヨークリニック

原文
化学療法とVEGF阻害薬の併用により転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者の無進行生存率向上が試験で確認
メイヨークリニック*
2007年6月3日

シカゴ- 2007年度米国臨床腫瘍学会(ASCO)の年次総会で本日発表された試験の知見によると、血管成長を阻止する薬剤と併用した化学療法薬2種が、転移性メラノーマ患者の腫瘍転移を有意に遅らせた。

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一般的に、化学療法治療の8週間後には再度転移し始める癌の成長が、53名の患者による第2相臨床試験では、ほぼ6カ月遅かった、と研究者らは述べている。

メイヨークリニックと*North Central Cancer Treatment Group(NCCTG)の研究者らは、知見は有望であるものの、それらは予備的結果であると警告する。

「メイヨークリニックでこれまでにテストされたこの種の癌に対する治療の中で、もっとも効果的な治療である。しかし結果は検証されなくてはならない」、とメイヨークリニックの腫瘍医で、本試験の試験責任医師であるSvetomir Markovic医学博士は述べる。「メラノーマ患者に希望があることを世間が知ることは重要なことだ。」

前メイヨークリニック腫瘍学フェローで、現在はミネアポリスの開業医である本試験の主執筆者、Domingo Perez医師によって、本試験は本日発表された。

「臨床的有益性はわずかに思われるかもしれないが、進歩がほとんどないメラノーマの世界では、化学療法と血管新生阻害剤の併用がこれらの患者にとって有効な治療戦略になることは確実に好材料である。しかしながら、唯一これが確実であることを知る方法は、標準治療と直接比較試験をするしかない」、とPerez医師は述べる。

体の他部位に転移した悪性黒色腫は、もっとも治療が難しい癌の一つである。メラノーマは化学療法にうまく奏効しないため、稀ではあるが、もっとも悪性度の高い皮膚癌でもある。アメリカ合衆国内では、毎時、1名の悪性黒色腫患者が死亡し(毎年8,000名)、60,000件の新しい症例が毎年診断されている、とMarkovic医師は述べる。

転移性メラノーマと診断された人は、診断後、通常6ヵ月から12カ月生存する。長年の研究にもかかわらず、長期的に効果がある治療方法はなく、治癒もない。

パクリタキセル(タキソール)とカルボプラチンの化学療法薬剤2種と、新しい血管形成を防ぐ薬剤で化学療法薬剤と組み合わせて癌治療に使われるアバスチン(べバシズマブ)を研究者らは本研究で併用した。

パクリタキセル(タキソール)とカルボプラチンの組み合わせは、転移性肺癌や卵巣癌など他の癌治療で有益である、とPerez医師は述べる。

血管新生として知られている新しい血管形成の過程を促進する、体内で自然に生成される物質、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を、アバスチン(Bevacizumab)は阻止する。 この血管新生の過程は、傷の治癒などの組織修復に不可欠で、体の健康全般にかかせません。

VEGFは癌の成長にも重要で、増殖する癌に必要な酸素や栄養の増加を満たすための血管形成に大いに依存している。さらに、化学療法に反応して過剰生産されたVEGFが、さらに癌の悪性度を増し、異なるメカニズムで化学療法の作用に対して耐性を持たせてしまう。このようなことから、アバスチン(bevacizumab)などのような薬剤でVEGFを阻害することによって、転移性メラノーマ患者の化学療法の抗腫瘍効果が促進するのでは、と考えられた。

アバスチン(Bevacizumab)はVEGFと結びついて、細胞質受容体との相互作用を遮断するモノクロナール抗体である。この作用が新しい血管が形成されることを防ぎ、化学療法が奏効することを可能とする。

53名の患者がカルボプラチンによる治療を受け、週1回のパクリタキセル(タキソール)と週2回のアバスチン(bevacizumab)治療を受けた。研究者らはこの治療は忍容性が良好であり、癌転移を防ぐことができる期間を8週間から、24週間までに延長したことを見いだした。

1970年代以降、毎年5%から10%の割合で新たなメラノーマの数が増加している、とMarkovic医師は述べる。「なぜならば、一つにはオゾン層の減少だが、社会の高い意識によって発見される症例が増えているということもあります」。

「効果的な治療がまだない現時点では、発生率の増加は、ことさら捨て置きならぬ心配だ。それだからこそ、この進歩はわずかだけれども、重要なのです」とMarkovic医師は語る。

この研究は米国国立癌研究所(NCI)の支援による。

NCCTGについて
North Central Cancer Treatment Group(NCCTG)は米国国立癌研究所が資金援助を行っている国立の臨床研究グループである。NCCTGはアメリカ合衆国、カナダ、メキシコにおいて、地域の診療所、病院、メディカルセンターの癌専門医のネットワークで成り立つ。ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨークリニックにNCCTGの研究拠点が設置されている。

NCCTGは前途有望な新しい癌治療の臨床試験を患者が生活をしている地域にもたらすことに献身している。NCCTGは癌治療と癌予防の研究、そして癌や癌治療の副作用の緩和方法研究に特化している。

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下和田篤子 訳
林 正樹(血液・腫瘍医)監修

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