抗真菌剤、血管成長を阻む(イトラコナゾール)/ジョンズホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

抗真菌剤、血管成長を阻む(イトラコナゾール)/ジョンズホプキンス大学

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抗真菌剤、血管成長を阻む(イトラコナゾール)/ジョンズホプキンス大学

原文
抗真菌剤、血管成長を阻む
ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター*
2007年4月26日

ジョンズホプキンスの研究者らは、足の爪の真菌治療に一般的に使用される薬剤が、癌で多く観察される新しい血管の成長である血管新生をも阻止できることを驚きを持って発見した。その薬剤は、FDAがヒトの使用に対しすでに承認済みであり、抗血管新生剤としてのその利用を急速に発展する可能性のあるイトラコナゾールである。

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過剰な血管成長を誘発したマウスにおいて、イトラコナゾールでの治療では、プラセボと比較して血管成長が67パーセントまで減少した。「われわれは、控えめに言っても、驚嘆している。血管新生の阻害剤候補としてイトラコナゾールが急に浮上したのだ。」と薬理学部の教授であるJun O. Liu博士は言う。「われわれは、抗真菌剤がそのような役割を持つとは予測できなかった。」

血管新生を阻害する薬剤を探して、研究者らは、血管の豊富な源であるヒト臍帯からの細胞で研究を行った。どの薬剤がその細胞の分裂を阻止することができるのか確かめるために、FDA既承認の薬剤および外国で既承認の薬剤のみならず、安全性試験に合格した未承認の薬剤など、2,400の既存する薬剤に細胞を暴露した。

すでに承認されている薬剤にその作用が発見されれば最善のことであり、実際、われわれが行った研究結果は大いに満足の行くものとなった。」と、Liu博士は言う。博士の研究は、科学誌ACS Chemical Biologyのオンライン版に掲載された。

抗真菌剤として、イトラコナゾールは、真菌コレステロールを形成する主な酵素を阻害し、これら原始的な生物である真菌を弱らせて粉々にする。イトラコナゾールが、血管内の同様の酵素を阻害可能であることが理解できる。しかし、研究者らは、それが血管成長を阻害する理由か否かについて肯定的ではない。なぜなら、同類の抗真菌剤は、非常に弱い阻害効果しかなかったからである。

「われわれのスクリーニング検査では、コレステロールを下げるスタチン系薬剤も血管成長を阻止する可能性が高いことを示した。」と、Liu博士は言う。「そのため、コレステロールと血管新生の間には、なんらかの重要な関連性がある可能性がある。」

研究者らは、厳密にイトラコナゾールがどのように血管成長を阻止するように作用するのかさらに入念な調査を行わなければならず、またそれを、癌をもつ動物においてテストを行わなければならないが、それでもイトラコナゾールの使用に対し、大いなる希望を持つ。「イトラコナゾールは真菌感染に対し経口で投与でき、したがって、経口デリバリーが血管新生に対しても同様に作用する可能性がある。」と、Liu博士は言及した。

その研究は、以下の施設によって助成された。
Johns Hopkins School of Medicine, the Johns Hopkins Fund for Medical Discovery, the Johns Hopkins Malaria Research Institute, the Keck Foundation, and the Flight Attendant Medical Research Institute Fund.

この試験の発表著者は、以下である。
Authors on the paper are Curtis Chong, Jing Xu, Jun Lu, Shridhar Bhat, David Sullivan Jr. and Jun O. Liu, all of Johns Hopkins.

(湖月みき 訳・林 正樹(血液・腫瘍医) 監修)

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