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2009/09/22号◆特集記事「進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効」

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2009/09/22号◆特集記事「進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年09月22日号(Volume 6 / Number 18)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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特集記事

進行性卵巣癌に変法レジメンの化学療法が有効

先週発表された日本人研究者らの報告によると、化学療法剤の標準的な併用療法を変更して治療したところ、進行性卵巣癌女性において腫瘍増殖が認められることもなく、生存期間が延長した。大規模第3相試験では、カルボプラチンおよび高用量のパクリタキセル(タキソール)を3週間に1回投与するのではなく、カルボプラチンを3週間に1回と低用量のパクリタキセルを週1回、3週間投与したところ、3年間の追跡調査後に無増悪生存率が29%、全生存率が25%改善した。この試験結果は、Lancet電子版9月18日号に掲載された。

「標準的な併用療法を受けた女性と比較してこのdose-dense(投与間隔を短)レジメンの毒性は強いが、進行性卵巣癌の女性において本法の生存ベネフィットは非常に優れていた」と、婦人科悪性腫瘍化学療法共同研究機構(JGOG)の勝俣範之医師らは述べる。

NCI癌治療・診断部門のDr. Ted Trimble氏は、「この結果は、乳癌に対してdose-dense化学療法レジメンを使用した場合の結果と一致する。その概念は、3週間に1回投与ではなく週1回の投与スケジュールを用いて有効性と毒性のバランスを保つことである」と説明する。

同氏はまた、「この結果は重要であるが一晩で慣例が変わるわけではない」と述べる。依然としていくつかの重要な点が未知であるためである。例えば、低用量のパクリタキセルは有効かつ低毒性であるかどうか、手術の最適な時期はいつか、どこで腹腔内化学療法を治療に加えるかなどが挙げられる。しかし、JGOG試験の結果は、dose-dense化学療法を使用するいくつかの第3相試験の計画に影響するであろう。

日本国内85医療機関における女性630人以上を本試験に登録した。患者を2つの治療群のいずれかに無作為に割り付けた。3年間の追跡調査後、無増悪生存期間中央値は、標準治療を受けた女性で17カ月であったのに対してdose-dense治療を受けた女性では28カ月であった。

全生存率の優位性が維持されているかどうかについて統計学的信頼度を用いて検討するには、経過時間が十分ではない。しかし、アリゾナがんセンターの血液・腫瘍科主任Dr. Michael A. Bookman氏が記載したLancetの付随論評によると、卵巣癌においては無増悪生存率の改善で全生存率を予測できる傾向にある。

本試験で用いられたdose-dense化学療法レジメンはdose-intense(用量強化)でもある。すなわち、患者が受けるパクリタキセルの総投与量は、標準治療を受ける患者よりも実際には多くなる。このことにより有害な副作用が発現し、治療の遅延や用量変更の原因となり、予定よりも低用量のカルボプラチンを投与することにもなる。実際、dose-dense群の女性の半数以上が治療を早期に中止し、その中止理由の大半が毒性によるものであった。

Bookman氏は、「用量強度が生存率改善の原因であった可能性もあるが、高頻度かつ低用量の治療スケジュールが最も妥当な理由である。結果として、さらに低用量の使用により同等の結果が、忍容性の改善と共に達成されるであろう」と記している。

dose-dense療法が標準的な方法よりも有効な理由について、日本人研究者らは、腫瘍に栄養を供給する血管の形成がdose-dense療法によって阻害されることを示唆した。動物モデル研究では、dose-dense化学療法は、メトロノミック化学療法というやはり活発に研究されている同様の治療法と同じように、抗血管新生作用を示した。JGOG試験では治療後の腫瘍縮小の程度において、dose-dense化学療法と標準化学療法との間で差異が認められなかった。このことは、dose-dense治療が腫瘍サイズの維持および成長の抑制により腫瘍の休止状態を促進する可能性を示唆する。

アラバマ大学バーミンガム校婦人科腫瘍学部門主任のDr. Ronald Alvarez氏によると、米国婦人科腫瘍グループ(Gynecologic Oncology Group)は、進行性卵巣癌を対象としてdose-dense法と血管新生阻害を標的とした治療薬ベバシズマブ(アバスチン)を併用する第3相試験を開始する予定である。これは、日本での試験結果を確認するうえで役立つであろう。

同氏はまた、現時点では、「毒性の可能性を考慮して、他の治療法とも比較した本法のリスク対ベネフィットについて医師は患者と話し合うべきである。進行性疾患を有する症例や、手術ではほとんど腫瘍を摘出できない症例では特に必要なことである」と述べる。

―Carmen Phillips

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齊藤 芳子 訳

林 正樹(血液・腫瘍医/敬愛会中頭病院)監修

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