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2009/10/06号◆クローズアップ「カプセル内視鏡を大腸癌検診に応用する試み」

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2009/10/06号◆クローズアップ「カプセル内視鏡を大腸癌検診に応用する試み」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年10月06日号(Volume 6 / Number 19)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

PDFはこちらからpicture_as_pdf ____________________

クローズアップ

カプセル内視鏡を大腸癌検診に応用する試み

米国医療研究品質局は50~75歳の平均的リスクの成人に、年に1度の便潜血検査、5年に1度のS状結腸鏡検査、10年に1度の大腸内視鏡検査のいずれかの方法による大腸癌検診を推奨している。しかし2005年時点で、50歳以上の人のわずか59%しかこれらの勧告に従って検診を受けておらず、過去10年以内に内視鏡検査(S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査のいずれかで、結腸および直腸の癌を描出し、前癌状態のポリープを切除できる検診法)を受けたのはわずか50%であった。

内視鏡による検診の低い受診率には、熟練した技能を持つ専門医不足、保険による格差、侵襲的な(体への負担の大きい)検診法に対するためらいなど、多くの要因が関与している。

「多くの人々にとって、大腸内視鏡検査のためにチューブを挿入することは不快なことに思えるのでしょう」と、NCI癌制御・人口学部門の応用研究プログラム(ARP)の研究主幹Dr. Stephen Taplin氏は述べた。

大腸癌の検診率を上げる一つの方法は、より簡単で利用しやすく、受診者に受け入れられやすい新しい検診技術を開発することであろう。カプセル内視鏡と呼ばれる指先より小さくて先進的な小型装置が現在試験中で、開発者は癌検診用の装置として位置づけられることを望んでおりそのための改善が行われている。

体の「ブラックボックス」を描出

小腸を調べるために最初に開発された小腸カプセル内視鏡は、大きなビタミン剤と同等の大きさを持つ小型の装置で、光源、小型カメラ、および検査中に患者が装着する記録装置に画像を送る無線機を内蔵する。患者は錠剤と同じようにカプセル内視鏡を飲み込み、カプセルは通常の腸の動きによって消化管を通過しながら腸壁の画像を送信する。

2001年に小腸疾患の診断用にFDAの承認を受けたカプセル内視鏡により、それまで外科的な検査以外にはアクセスできなかった体の部分の画像が非侵襲的に得られるようになり、小腸の医療に変革がもたらされた。

小腸カプセル内視鏡を製造する3社中の1社が、従来の内視鏡検査に代わるより侵襲性の少ない大腸直腸癌検診法の実現を願って大腸用のカプセル内視鏡を開発中である。大腸カプセル内視鏡は米国でFDAに承認されていないが臨床試験で検討中であり、その適用の可能性に関心のある研究者によって調査されている。

初の大規模臨床試験では基準を満たさず

新しい大腸カプセル内視鏡はカプセルの両端に2つのビデオカメラを内蔵し、1秒間に4コマの速度で撮影するが、最近ベルギーのブリュッセル自由大学の研究者と製造元Given Imaging社(イスラエル、ヨクナム)が主導する国際的臨床試験で検討された。研究者らは大腸疾患が明らかまたは疑われる332人の患者を試験に登録した。各患者はカプセル内視鏡と標準的な大腸内視鏡検査の両方を同日または2日にわたり受けた。

カプセルが安全であることは明らかになったが、標準的な大腸内視鏡検査のための前処置以上に腸洗浄に必要な準備(清澄流動食と下剤)が必要で、またカプセルの感度は大腸内視鏡検査ほど高くなかった(最大の感度で90%をちょうど上回る程度と考えられる)。大腸内視鏡検査では様々な大きさの進行腺腫が52人の患者で検出されたが、カプセル内視鏡では44人のみであった。19の癌が大腸内視鏡検査で検出されたが、カプセルで描出できたのはそのうちの14のみであった。

「カプセルは大腸病変検出の感度が相対的に低く、かつ大腸内視鏡検査やCTコロノグラフィに比べて徹底した腸洗浄を必要とするため、現時点では大腸カプセル内視鏡を推奨できない」と、New England Journal of Medicine誌 7月16日号での臨床試験の公表に添えた論説でオスロ・リクスホスピタル大学病院Dr. Michael Bretthauer氏は結論づけた。

課題と展望

大腸カプセル内視鏡が臨床で使用できるようになるまでには、多くの課題がある。感度の向上には画像装置で記録できるデータ量が関連し、また記録した大量のビデオの解析で生じる人為的なミスを改善することや、1回当たりのコスト削減も必要である。

米国国立標準技術研究所製造技術研究室のグループリーダーDr. Ram Sriram氏と情報技術研究室の同僚らは、胃腸病学アジア研究所(Asian Institute of Gastroenterology)からの情報提供を受け、解析時間を短縮し(それによりコストを削減)人為的なミスの可能性を減少させるのに役立つ小腸カプセル内視鏡自動画像解析用のソフトウェアをデザインしている。同様のソフトウェアはコストを下げ、大腸カプセル内視鏡の精度を高めるのに有用な可能性があるが、何よりソフトウェア技術者が解析するのに十分なデータをカプセルが捕えられなければならない。

大腸は小腸よりかなり幅が広いため、十分な感度のある大腸カプセル内視鏡の開発はより困難である。わずかに大きいだけであっても、「カプセルがかなり動き回りやすくて焦点が合わないため、必要なすべての画像を得ることができません」とSriram氏は説明する。「十分な画像を撮影できさえすれば、技術者はより感度の高い画像処理ができるのです。」

現在の大腸カプセル内視鏡に必要な煩わしい腸の準備を簡素化する問題も「ささいなことではありません。前処置は多くの人々が嫌う大腸内視鏡検査の別の側面でもあり、大きな問題なのです」とTaplin氏は述べた。

しかし大腸カプセル内視鏡には潜在的な利点があるため、研究者は技術の改善に注目し続けると思われる。例えば、検診や診断のために専門家の診察を受けにこられない地方の患者を助ける遠隔医療への応用にカプセル内視鏡が期待できるとSriram氏は説明した。

さらに、もし改善された低コスト大腸カプセル内視鏡が専門家に代わり一般開業医でも使用できれば、「スケジュールを調整するという障壁がなくなり、患者が利用しやすくなります」、「種々の検診過程の改善は技術面での改善だけではありません。全過程を整備して機能するようにすることが大切です」とTaplin氏は述べた。

– Sharon Reynolds

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榎 真由 訳

鵜川 邦夫(消化器内科医/鵜川医院)監修

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