ワクチンが子宮頸癌リスクを低下させる可能性 | 海外がん医療情報リファレンス

ワクチンが子宮頸癌リスクを低下させる可能性

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ワクチンが子宮頸癌リスクを低下させる可能性

Vaccine May Help Reduce Risk of Cervical Cancer(http://cancer.gov/clinicaltrials/results/cervical-cancer-vaccine0505)
(Posted: 05/11/2005)May 2005 issue of The Lancet Oncologyによると、試験中のワクチンが全子宮頸癌の3分の2以上の症例の原因となっている2つのウィルスの持続的感染を防いだ。


要約
試験中のワクチンにより2種類のウイルスの、若い女性への持続的な感染を予防することができました。これら2種類のウイルスは、全子宮頸癌のうち3分の2以上の原因となっています。

出典  The Lancet Oncology, May 2005 (ジャーナル要旨参照)

背景
ヒトパピローマウイルス(HPV)は極めて一般的な性感染症です。90%以上の感染は無害であり、治療無しで治癒しますが、HPVの中には女性が子宮頸癌にかかるリスクを増大させるものがあります。HPV16型及びHPV18型の2種類は、全子宮頸癌の原因の約7割を占めています。残り3割のほとんどは、その他数多くある「リスクの高い」種類のHPVに関連しています。

またHPV6型及びHPV11型の2種類は、性器いぼの原因の9割を占めていますが、この性器いぼは良性(非癌性)の腫瘍です。

ほとんどのHPV感染は子宮頸癌に発展しませんが、感染が長年にわたると発癌率は高くなります。大部分の子宮頸癌は、頸部の細胞で起こる一連の異常な変化を通じて次第に癌へと進展します。定期的なパップスメア検査(子宮頸部細胞診)でこれらの変化を検出し、異常組織を切除して癌への発展を確実に阻止することが出来ます。しかしパップスメア検査は100%正確ではなく、この検査を定期的に受けている女性はあまりいません。

これまでの試験では、別の実験的ワクチンが、全子宮頸癌の約半分の原因となっているHPV16型への持続的感染を効果的に予防できることが示されています。しかしそのワクチンは、異なる種類のHPV感染を予防するようには作られていませんでした。

試験
今回の試験はアメリカ、ヨーロッパ、及びブラジルの16歳から23歳までの女性552例を対象としました。これら被験者は健康で、パップスメア検査でこれまで異常がなかった若い女性です。被験者はランダムにHPVワクチン又はプラセボ(有効成分のない注射)のいずれかを計3回接種するように割り付けられました。ワクチン群の女性には低用量、中用量、高用量のいずれかを接種しました。

このワクチンは、接種者を4種類のHPV(ほとんどの子宮頸癌に関与するHPV16型とHPV18型及びほとんどの性器いぼに関与するHPV6型とHPV11型)からの感染予防を目的に作られています。

試験は、二重盲検法により治験実施者と被験者が共にワクチン及びプラセボがそれぞれ誰に割り付けられたのかが分からないように実施されました。3回目を接種の後、30ヶ月間被験者を観察しました。

試験はこのワクチンの製造元であるメルク研究所の協力を得て行われました。ブラジル サンパウロのLudwig Institute for Cancer Research のLuisa L. Villa博士が調査チームのリーダーを勤めました。

結果
被験者の中には1回目の注射接種の際HPV感染が分かったケースや接種全3回を受ける前に感染が起こっていたケースもあります。調査ではワクチンの有効性を検証する際、こういったケースを除外しました。

ワクチン接種者が持続的感染あるいは調査対象のHPV4種類のいずれかに関与する疾患に罹患する可能性は、プラセボ接種者に比べて9割低いことが分かりました。ワクチン接種量が低用量、中用量、高用量のいずれであっても有効性は同等でした。

接種部位の痛みや頭痛を訴えた女性は、プラセボ群よりワクチン群の方が僅かに多くいました。しかしこれら有害事象のほとんどは重度ではありませんでした。

コメント
米国国立癌研究所(NCI)癌研究センターのJohn T. Schiller博士によると、この研究は4種類のHPV感染防止を目的に作られたこの特異的ワクチンが有効であることを示した最初の研究です。何種類ものHPV感染防止を目的としたワクチンは、一種類のHPV感染防止目的に作られたワクチンよりも実際効果が低いのでは、と懸念していた研究者もいたのです。

「ですから、これら4種類のHPVによる持続的感染の防止にこのワクチンが大いに有効なようだということは、実に朗報なのです。」と博士は述べました。

制限事項
この試験の大きな欠陥は、被験者数が比較的少なかったことだとSchiller博士は言います。つまり持続的感染の防止は統計学的に非常に有意ではありますが、子宮頸部異常や性器いぼに対するワクチンの有効性が偶然ではないと断言することは出来ません。ワクチン製造元のメルク研究所は現在、より多くの被験者を対象として製品を試験しています。

また、子宮頸癌の主な原因となるHPV16型及びHPV18型の感染を防止するワクチンに関する大規模な2つの試験が、NCI及びグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)によって行われています。

(Chihiro 訳・Dr.榎本 裕(泌尿器科) 監修)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  5. 5アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  6. 6免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  7. 7若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  8. 8ASH年次総会で血液がん化学療法の最新知見をMDアン...
  9. 9BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  10. 10FDAがHER2陽性早期乳がんの延長補助療法にネラチ...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward