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早期乳癌において、より短期間の放射線治療は同等に有効

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早期乳癌において、より短期間の放射線治療は同等に有効

Shorter Course of Radiation Might Be Just as Effective with Early Breast Cancer (Posted: 05/23/2000, Updated: 10/14/2008) – 2008年米国放射線治療学会(ASTRO)年次総会で発表された最新の研究結果によると、一部の早期乳癌女性において、通常より短期間に集中して行う術後放射線治療は同等に有効であるとみられる。


キーワード 乳癌、放射線治療、(癌に関する多くの用語の定義はCancer.gov.Dictionaryで検索できます)

要約 低リスクで早期乳癌の女性が、腫瘍摘出術(乳房温存手術)後に、短期で集中的なコースの放射線治療を受けた場合、長期で標準的なコースの放射線治療を受けた場合と、再発リスクおよび美容的な結果は同等でした。

出典 National Cancer Institute誌、2002年8月7日号ジャーナル要約参照 (J Natl Cancer Inst. 2002 Aug 7;94(15):1143-50)

最新の結果が、 2008年9月22日にボストンで開催された米国放射線腫瘍学会 (ASTRO)の年次総会にて発表されました。

背景 腫瘍摘出術(別名 乳房温存手術)後の放射線治療が、有意に局所再発(同側乳房への再発)の可能性を減少させ、生存率を改善させることは以前からわかっていますが、照射する放射線量と治療日数は、病院間で標準化されていませんでした。

臨床試験で広く使われ、米国で多くの医師に採用されている放射線治療スケジュールは、50Gray(Gy:放射線照射の量)を25分割し乳房全体に照射する「長期」治療コースで、5日/週で7週に渡って行います。しかしながら、英国とカナダの一部の病院では、これと効果が同等であり、患者にとっても利便性がよく回数の多い治療を受ける必要がないだろうという仮定に基づき、より短期で集中的な治療スケジュールが採用されています。

長期コースおよび短期コースの放射線治療を比較し、局所再発の防止効果が同等であるか、また美容的結果も同等であるか(治療した乳房と治療していない乳房とが同様に見えるかどうか)を明らかにするため、カナダの研究者グループが、35日で50Gyを25分割と、22日間で42.5Gyを16分割とを比較するランダム化臨床試験を実施しました。

試験の筆頭著者は、カナダ、オンタリオ州ハミルトンのJuravinski Cancer CentreおよびMcMaster大学のTimothy J. Whelan B.M., B.Ch., M.Sc.氏です。

試験 本試験は、カナダの10箇所のがんセンターで行われ、1,234人の女性患者が、標準的な25分割コースまたは短期の16分割コースの放射線治療に無作為に割付けられました。短期治療コースに割付けられた女性は、標準的治療コースの女性よりも、1回の治療につき、より多くの放射線量の照射を受けました。女性全員が、リンパ節転移のない乳癌患者で、腫瘍摘出術(癌は摘出するが乳房は温存する手術)を受けていました。

治療中のがんセンターの治療ガイドラインに従って、化学療法またはホルモン療法を受けている女性もいました。それぞれ割付けられた放射線治療終了後、全員が、最初の5年間は6ヵ月に1度経過観察のため通院し、その後、1年に1度通院しました。研究者らは、放射線治療終了の6ヵ月後に両側の乳房X線検査を行い、2回目の経過観察通院以降は、1年に1度行いました。

放射線治療を受けた乳房の美容的外観は、特定の乳房外観評点法を特別に訓練した看護士によって、治療前と試験参加の3年後および5年後に評価されました。

試験の結果は、米国放射線腫瘍学会の2000年度年次総会で発表され、その後2002年8月7日に、National Cancer Institute誌にも掲載されました。ここに記載する最新の結果は、米国放射線腫瘍学会2008年度年次総会にて発表されたものです。

結果 5年後の局所再発なしの生存率は、両群で同等(標準的治療コースを受けた女性で96.8%、短期治療コースでは97.2%)でした。10年後の局所再発リスクも、両群で同等のままであり、標準的治療コースで6.7%、短期治療コースでは6.2%でした。

さらに、5年後の美容的結果は、有害事象がなく「最良」または「良好」であった人数も、両群において同等(標準的治療コースで77.4%、短期治療コースで76.8%)でした。10年後にも両群間の差は認められず、美容的結果が「最良」または「良好」とされた患者は、標準的治療コースで71%、短期治療コースでは70%でした。

10年間の経過観察後、両群とも少数の患者において、皮膚または皮下組織に晩発性放射線障害が見られました。皮膚に晩発性放射線障害が見られたのは、標準的治療コースで3%、短期治療コースでは6%でした。皮下組織に晩発性放射線障害が見られたのは、標準的治療コースで4%、短期治療コースでは8%でした。これらの間に、統計的な有意差は見られませんでした(偶然で起こり得るものであるため)。

制限事項 本試験に参加した患者の大部分が、再発リスクの低い患者であり、短期治療コースが再発リスクの高い患者にとっても最適であるとはいえないことを意味しています。たとえば、本試験では、腫瘍摘出術により癌が完全に摘出されなかった患者は除外しました。参加した患者の11%のみが、放射線治療だけでなく補助(追加)化学療法も受けていました。

また、乳房が大きく、腫大、瘢痕および肥大などの放射線治療による美容的な有害事象が現れやすいと考えられる患者も除外しました。

医師らは本試験の結果を高リスク患者に適用しないように、と米国国立癌研究所放射線腫瘍学部のKevin Camphausen, M.D.氏は説明します。本試験の参加者は、低リスクの患者に限られており、「このデータを限られた患者でなく広いリスク層の患者のものと考え、そうした患者にも有効と推論するのは問題です」

コメント 低リスクの早期乳癌患者においては、「[短期コースの放射線治療]は、従来の全乳房照射の分割法と同様に、優れた長期局所制御率および晩期障害抑制率に関連していました。利便性と費用という利点を考慮すれば、早期乳癌患者はこのようなアプローチを検討すべきです」と著者らは結論しました。

低リスクの早期乳癌では再発までに時間がかかるため、さらに5年以上(少なくとも合計15年)の経過観察データが必要であろう、とCamphausen氏は結論付けました。

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入江 瑞穂 訳

中村 光宏(医学放射線)監修

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