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2009/12/15号◆特集記事「進行の遅いリンパ腫に初回治療の新たな選択肢が臨床試験で示唆」

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2009/12/15号◆特集記事「進行の遅いリンパ腫に初回治療の新たな選択肢が臨床試験で示唆」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2009年12月15日号(Volume 6 / Number 24)

~日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

PDFはこちらからpicture_as_pdf ____________________

特集記事

進行の遅いリンパ腫に初回治療の新たな選択肢が臨床試験で示唆

ドイツで実施された第3相臨床試験の結果、進行の遅い(緩慢性)タイプのB細胞リンパ腫に罹患した患者の標準的な初期治療を変更する必要があることが示唆された。

リツキシマブ(リツキサン)とベンダムスチン(トレアンダ[Treanda])の併用療法を受けた患者は、標準的な4剤化学療法+モノクローナル抗体リツキシマブによるR-CHOP 初回治療を受けた患者に比較して、疾患が進行せずに生存する期間が有意に長くなり、毒性も少ないと、この試験の責任医師であるドイツのギーセン大学病院のDr. Mathias Rummel氏は報告している。リツキシマブとベンダムスチンによる療法を受けた患者は、標準的な初回治療を受けた患者より、疾患のほぼ完全な消失(完全寛解)も多く認められた。この研究結果は、ニューオーリンズで開催された米国血液学会総会で12月5日に発表された。

この試験の患者549人のうち大多数は濾胞性リンパ腫であり、残りの患者は緩慢性リンパ腫またはマントル細胞リンパ腫であった。後者は比較的悪性度の高いリンパ腫で、通常、R-CHOP療法が行われる、とRummel氏は説明した。試験参加者は、腫瘍の増殖がかなりはっきりしていたか、腫瘍による合併症が生じていたか、腫瘍量が多い状態にあった。「つまり、(試験参加者は)明確な治療適応があり、治療を必要とした患者さんたちなのです」とRummel氏は記者会見で述べている。

評価を行った患者513人の総寛解率、つまり治療後に少なくともある程度の腫瘍の縮小が認められた患者の割合は両群とも極めて高く、ベンダムスチン+リツキシマブ群は92.7%であったのに対し、R-CHOP群は91.3%であった。

しかし、より長期的には、2剤療法はR-CHOP療法より転帰が良好であった。無増悪生存期間中央値はそれぞれ54.9カ月と34.8カ月であり、一方、完全寛解率は39.6%と30%であった。ベンダムスチン+リツキシマブ療法を受けた患者は、感染症の合併や危険な白血球(WBC)減少の起こる割合も有意に低かった。その結果、これらの患者は、WBC産生を亢進させるために顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による治療が必要となることも少なかった。

試験実施の主な目的は、2剤療法は毒性が低く、R-CHOP療法と同程度に有効であるかどうかを評価することであったとRummel氏は述べている。「最終的には」Rummel氏はこう続けた。「より忍容性の高いこの療法が統計学的に有意に優れていることをはっきりと裏づけることができました」。

別の試験で確証的な結果を得ることが重要であろうと強調しながらも、タフツ医療センターがんセンターの理事であるDr. Richard Van Etten氏は、これらの知見によって標準治療が変わるかもしれないという点でRummel氏と意見を同じくしている。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのリンパ腫研究者であるDr. Anas Younes氏は、毒性に関するより長期間のデータが入手できるまで、いくつかの注意が必要であることに言及している。Younes氏は、報告者の問いに対してツィッターで意見を述べている。

また、全生存率に関するデータもまだ報告されていない。しかし、これらのリンパ腫は不治とみなされている進行の遅い癌であるため、標準治療を決定する上で全生存率のデータは重要でないかもしれないと、NCIの癌治療・診断部門のDr. Richard Little氏は説明している。「この疾患では全生存率に基づいて標準治療を決定するのはとても難しいのです。標準治療を後押しする主要評価項目データのほとんどは無増悪生存率に基づいており、また、治療関連毒性にかなりの重きを置いています」。その結果、多くの臨床医が今では、細胞傷害性療法が必要な患者にR-CHOP 療法よりもベンダムスチン+リツキシマブ療法を行うことを好む可能性があるとLittle 氏は言う。

Rummel氏はまた、この試験で用いられたベンダムスチンの投与量は、米国でリンパ腫患者への使用に関して薬剤投与法として記載されている投与量より少ないことも強調した。投与量が少ないことは、明らかに有効性を損なうことなく不必要な毒性が避けられるため、この場合に重要な意味をもつとRummel氏は述べている。

濾胞性リンパ腫患者にベンダムスチンとリツキシマブを他の新しい薬剤との併用で用いる初期臨床試験案がいくつかNCIに提出されており、さらなる有効性の向上と毒性の減少が期待されると、Little 氏は述べる。

—Carmen Phillips

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川瀬 真紀 訳

吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)監修

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