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濾胞性リンパ腫治療がリツキシマブで改善

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濾胞性リンパ腫治療がリツキシマブで改善

Follicular Lymphoma Treatment Better With Rituximab
(Posted: 05/15/2005, Updated: 08/18/2008) – 2008年7月28日発行のJournal of Clinical Oncology誌によれば、新たに診断された濾胞性リンパ腫患者の標準化学療法レジメンCVPにリツキシマブ(リツキサン)を追加すると、CVPのみの治療に比べ、病勢進行を大幅に遅らせることができ、高い奏効率が持続し、生存期間が延長することがわかった。


要約
濾胞性リンパ腫の初発患者では、標準化学療法であるCVP療法に、モノクローナル抗体のリツキシマブを加えることで、CVP療法単独と比べて劇的に病変進行を遅らせ、奏効率を高め、奏効期間を延長し、生存期間を延長しました。

出典   Journal of Clinical Oncology 誌2008年7月28日号([url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18662969?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_RVDocSum]ジャーナル要旨参照[/url])
J Clin Oncol. 2008 Jul 28. [Epub ahead of print]

背景
非ホジキンリンパ腫のなかで発生頻度が最も高いリンパ腫である濾胞性リンパ腫は、その進行速度は大きく異なりますが、一般にゆっくり成長し徐々に転移する傾向があり、また症状もほとんどあらわれません。濾胞性リンパ腫の患者は通常 10年以上生存します。

リツキシマブ(リツキサン[Rituxan®])は、様々な血液(白血病)およびリンパ系(リンパ腫)の癌の治療に用いられてきたモノクローナル抗体です。再発性または他の治療に抵抗性の濾胞性リンパ腫の患者に対するリツキシマブ単独または標準化学療法との併用療法で成果をおさめています。さらに、複数の臨床試験の長期的データでは、第一選択化学療法とリツキシマブを併用すると長期的治療成績を改善すると示されています。

本臨床試験は、濾胞性リンパ腫の一次治療として一般的に使用されている CVP(シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニソン)と呼ばれる化学療法にリツキシマブを追加する治療法を検証するため、2000年に始まりました。2005年2月15日版のBlood誌に試験の中間結果が掲載され(ジャーナル要旨参照)、CVPにリツキシマブ を追加する治療法(R-CVP) が寛解率(治療後癌が縮小または消滅した患者の割合)を有意に改善し、癌が進行するまでの期間を延長することが分かりました。

しかし、解析の時点でほとんどの患者が生存しているため、全生存率が改善されるかどうかという疑問に対する回答を試験の中間解析データから得られませんでした。

試験
過去に治療を行っていない進行(IIIからIV期)濾胞性リンパ腫の患者が、2つの治療群うちの1つに割り当てられました。R-CVPは162人、CVPのみの治療は159人。4サイクル後、患者を評価し、患者の癌に反応が現われない場合、臨床試験から除外し、別の治療を受けました。臨床試験に残った患者は、初めに受けた治療を最後に4サイクル受けました。

本臨床試験の主著者は、英国・ロンドンの王立大学病院血液学科のRobert Marcus, M.B.氏です。

結果
ほとんどすべての点において R-CVP治療群のほうが有意な差をもってよいという結果が得られました。

またR-CVP治療群の患者には、その他の重要な点において、よい結果が現われました。すなわち、癌が治療に反応しなくなるまでの期間の中央値(R-CVPが27ヵ月に対しCVPのみは7ヵ月)、癌の治療に対する反応が維持される期間の中央値(R-CVPが35ヵ月に対しCVPのみは14ヵ月)です。

死亡または異なる抗リンパ腫治療を必要とするまでの期間の中央値はCVP群で12ヵ月であったのに対し、R-CVP群で49ヵ月でした。R-CVP群の患者はCVP群の患者より治療後4年間生存する可能性が高くなっていました(83%対77%)。R-CVP治療群はCVP治療群より副作用が重篤ではありませんでした。

制限事項
本試験は、リツキシマブを一次治療の一部として投与すると疾患進行後に投与するより生存期間を延長するかどうかを調べるためにデザインされていませんでした、とカリフォルニア・スタンフォード大学医療センターのSandra J. Horning医師は添付論説で説明しました。試験責任医師らは、一次治療でリツキシマブを投与された患者と二次治療で投与された患者を直接比較することができなかったので(CVP群のわずか約3分の1の患者が最初の再発後にリツキシマブを投与された)ので、「この試験の結果では投与順の疑問に十分な回答を出せません」とHorning氏は述べました。

「R-CVP群の全員を、CVP群の患者が再発時にリツキシマブを投与する場合と比較した場合、リツキシマブを最初から使用することの延命効果はありますか、というのは私にとっては重要な疑問です」と米国国立癌研究所のリンパ腫治療科部長のWyndham Wilson医師は述べました。

コメント
この臨床試験からは、リツキシマブを一次治療、二次治療のどちらで使用した方が全生存期間が延長するかという疑問に対する答えは得られませんでしたが、「試験のデータは、治療の必要な濾胞性リンパ腫に対する一次治療として、リツキシマブと化学療法の併用は、特に高リスク患者および、その後のリツキシマブの投与が遅れたり不明である患者に対しては、延命に寄与することを示唆しています」とHorning氏は締めくくっています。

「結論としては、一次治療でリツキシマブと化学療法を併用すると生存期間を延長するとみられます」とWilson氏は同意しています。

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吉村 祐実訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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