肺癌細胞における薬剤耐性の重要な鍵が明らかに/ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

肺癌細胞における薬剤耐性の重要な鍵が明らかに/ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

肺癌細胞における薬剤耐性の重要な鍵が明らかに/ジョンズホプキンス・キンメルがんセンター

原文
肺癌細胞における薬剤耐性の重要な鍵が明らかに
ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター*
2006年10月6日

ジョンズホプキンスの研究者は、細胞内解毒に関わる遺伝子のブレーキを外す働きが、一般的な肺癌細胞における薬剤耐性を引き起こしているのではないかということを発見した。

[pagebreak]


NRF2遺伝子の産物は、通常、タバコの煙やディーゼル微粒子のような環境汚染物質を吸着し、それらを細胞外へ汲み出すことで細胞を保護している。

KEAP1遺伝子は,細胞内のこの浄化プロセスを止める産物をコードしています。

肺癌細胞は、抗癌剤による攻撃から逃れるために、これらの遺伝子の発現を阻害している。

「私達が注目していることは、肺癌細胞は、自分自身が受けた化学療法による細胞毒性から逃れるため、NRF2の発現を保護し、KEAP1の発現を阻害するということだ」と、PLoS Medicineの2006年10月3日号で培養細胞による研究結果を発表しているジョンズ・ホプキンスBloomberg School of Public Health、キンメルがんセンターの助教授であるShyam Biswal医学博士は言う。

過去の研究報告から、NRF2は環境汚染物質や化学物質に直接タンパク質を吸着し、排出することで細胞内の解毒を行っているということがわかっている。

NRF2遺伝子は、細胞内から毒物を除く働きをする他のタンパク質や酵素の合成を促進する引き金となるタンパク質を作っている。

KEAP1遺伝子から作られるタンパク質は、解毒機構を抑制するためにNRF2の引き金となるタンパク質と結合する。

癌細胞において、NRF2活性は制御不能となり、抗癌剤を含む細胞毒素を細胞外へ排出している。

Biswal氏は、NRF2活性の阻害によって、肺癌治療で広く利用されている一部のプラチナ製剤のような一般的な抗癌剤の効果を高めることができると話している。

Biswal氏らの研究によると、12種類ある肺癌細胞のうち半分、そして非喫煙者の肺癌患者54人中10人の肺癌組織において、KEAP1遺伝子が不活性になるか、KEAP1遺伝子がNRF2を制御不能にしてしまうための変異を有していた。

加えて、肺癌組織の半分で、通常どの遺伝子にも2つずつあるはずのKEAP1遺伝子が、1つ無くなってしまっていた。

KEAP1の欠損や変異は、肺癌患者の正常な肺組織では観察されなかった。

研究者らによると、細胞内解毒に関わるタンパク質や酵素と共役しているNRF2活性は、正常な細胞よりも癌組織において高くなっている。

培養細胞を用いた研究においても、KEAP1遺伝子の変異を起こしている癌細胞は、正常な肺組織の細胞より、抗癌剤への耐性が強くなっていることが解っている。

正常なKEAP1遺伝子を持つ癌組織もまた、NRF2や細胞内解毒に関わる酵素の発現レベルが上昇している。これは、スプライシングされ遺伝子が短くなることにより不活性型となる等して、KEAP1タンパク質が分解されているのではないかと考えられると、Biswal氏は言う。

研究者らは、自分たちの研究結果を確認するため、そしてこのような癌細胞の機構から効果のある薬を保護するため、多数の組織標本を用いた研究を行うことを計画している。

******

(大藪友利子(生物工学) 訳)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward