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FDAが小児・青少年期の高リスクリンパ腫にブレンツキシマブを承認

米国食品医薬品局(FDA)は、ホジキンリンパ腫の一部の小児および青少年の治療においてブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)と化学療法の併用を承認した。

11月10 日に発表された今回の承認が適用されるのは、2 歳から21 歳の高リスク古典的ホジキンリンパ腫患者に対する初回治療としての併用療法である。

FDAは、2018年にブレンツキシマブ ベドチンを進行期ホジキンリンパ腫の成人患者に対する初回治療として承認している。

若年層への承認は、小児腫瘍学グループ(COG)が実施した米国国立がん研究所(NCI)助成臨床試験に基づいている。この試験では、ブレンツキシマブ ベドチンの投与、およびドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、プレドニゾン、シクロホスファミドからなる化学療法ベースのレジメンを受ける群に、参加者の約半数をランダムに割り付けた。

他の患者は、小児および青少年の高リスクの古典的ホジキンリンパ腫に対する標準治療である、上述の化学療法ベースのレジメンおよびブレオマイシンの投与を受けた。

本研究では、ブレンツキシマブ ベドチン+化学療法併用療法は、評価基準とした無イベント生存期間において、標準治療の化学療法より優れていたことが示された。この試験において、無イベント生存期間とは、患者が各治療群に無作為に割り付けられた時点から、疾患の進行または再発、二次がん、または何らかの原因による死亡が起こるまでの期間を意味している。

11月3日付のNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に掲載された研究結果によると、追跡期間中央値42カ月時点で、ブレンツキシマブ ベドチン投与群患者の 92.1% 、標準化学療法群患者の 82.5% がイベントを経験していなかった。

「これらの結果は、重要な進歩を示しています」と、NCI のがん治療評価プログラムの Malcolm Smith医師(医学博士)は述べている。

「無イベント生存期間の改善は臨床的に意味があり、ブレンツキシマブ ベドチンは、この患者集団におけるホジキンリンパ腫の治療を成功させる重要な薬剤として役割を果たしています」と、Smith医師は付け加えた。

ホジキンリンパ腫小児患者のための標的薬

古典的ホジキンリンパ腫の患者の場合、がん細胞はリンパ系に形成される。このタイプのリンパ腫は全人口でみればまれであるが、15~19歳の青少年では最も多く診断されるがんの一つである。

静脈内注射によって投与されるブレンツキシマブ ベドチンは、抗体薬物複合体と呼ばれる標的療法の一種である。この薬の抗体部分は CD30というタンパク質を認識するが、このCD30タンパク質は、リードスタンバーグ細胞というホジキンリンパ腫細胞に高いレベルでみられることが多い。これらのがん細胞のCD30に抗体が結合すると、ベドチンという薬剤が細胞内に運ばれ、細胞分裂が阻害され、細胞が死滅する。

この試験を実施するために、Sharon Castellino医師(医学士、理学修士 エモリー大学ウィンシップがん研究所およびChildren’s Healthcare of Atlanta在籍)と小児腫瘍学グループの同僚らは、巨大腫瘤を伴うIIB 期、または IIIB 期、IVA 期、IVB 期のホジキンリンパ腫の小児および青少年 600人を登録した。

「この研究では、臨床試験で[通常]過小評価されているマイノリティ集団からかなりの割合の患者さんを登録しており、これは非常に重要なことです」と、Ann S. LaCasce医師は言う。同医師は、ダナファーバーがん研究所のリンパ腫専門医であり、本研究には関与していない。「これは成人の研究ではみられなかったことで、小児腫瘍学グループ の努力は称賛されるべきです」。

今回の小児臨床試験では、ブレンツキシマブ ベドチンと化学療法の併用によって「ホジキンリンパ腫と高リスク疾患の患者で、これまでで最高の結果が得られました」ともLaCasce医師は言う。

ホジキンリンパ腫の遅発性再発または二次がんの発症があるかどうかを各群について判断するには、より長期の追跡調査が必要である。

若い患者の治療に使用する放射線量を減らす

両群の参加者の半数以上が、治療途中で実施したPET画像に基づき、反応(縮小)が遅い腫瘍に対して化学療法完了後に放射線療法を受けた。

放射線は各患者に合わせて調整され、先行の小児試験と比較して、照射領域が小さく線量が低いものであったとCastellino 医師は述べた。

「一般的に、私たちは皆、長期的な副作用のリスクを考慮して放射線の使用を制限しようとしています」と、 LaCasce 医師は言う。「最近の研究では、PETスキャンを使用して治療に対する初期反応を測定することによって、放射線の使用を大幅に削減できることが実証されています」。

NEJM の付随論説著者らが記述しているように、「放射線量を制限すること、正常組織への被ばくを減らすこと、そして放射線療法を一切しないことは、依然として重要な目標です」。

研究者らは、化学療法ベースのレジメンにブレンツキシマブ ベドチンを追加しても、副作用が増加しなかったことを確認した。ブレンツキシマブ ベドチンに関する成人試験で報告された副作用(体の一部に痛みやうずきを伴うことがある重度の末梢神経障害)は、今回の小児腫瘍学グループ試験ではそれほど多くなかったと、Castellino 医師は述べた。

ブレンツキシマブ ベドチン群で最も多くみられた副作用としては、白血球数と血球数の減少、口腔内の粘膜の炎症(口内炎)および感染症があった。

ロズウェルパーク総合がんセンターおよびバッファロー大学医学・生物医科学部所属で、この試験のリーダーである Kara Kelly医師によると、本臨床試験の治療段階で、ブレンツキシマブ ベドチン投与患者のうち、副作用のために投与量を減量しなければならなかった患者は10%に満たなかった。

「FDAの承認は子どもたちにとって勝利です」

小児腫瘍学グループ試験の研究結果は、昨年発表された小規模試験の結果と一致している。対照群を含まないその研究では、ブレンツキシマブ ベドチンと化学療法が、高リスクのホジキンリンパ腫の小児および青少年の初回治療として期待できることが示されていた。

しかしながら、専門家の間では、これらの研究結果が決定的なものではないことで意見が一致していた。「今回の[小児腫瘍学グループ]研究結果は、ブレンツキシマブ ベドチンが高リスクのホジキンリンパ腫の小児患者の転帰を改善できるという決定的な証拠を示しています」と、Smith医師は述べた。

Castellino医師も同意見である。「FDAの承認は、ホジキンリンパ腫の標的療法を子どもたちが初回療法として利用できるようになった子どもたちにとって勝利を意味しています」。

 

監訳:吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

翻訳担当者畔柳祐子

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