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セミノーマにはカルボプラチンが放射線よりも毒性が低い

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セミノーマにはカルボプラチンが放射線よりも毒性が低い

Carboplatin May Be Less Toxic Than Radiation for Seminoma
(Posted: 06/07/2004, Updated: 06/23/2008) シカゴで開かれたASCOの2008年総会で発表された最新の試験結果によると、精巣癌の一種セミノーマの早期では、カルボプラチン注射が放射線治療と同等の効果が得られる。


カルボプラチンがセミノーマの治療で放射線療法より毒性が低いかもしれない

要約

カルボプラチン1コースは早期セミノーマ(精巣腫瘍の一種)の術後治療に放射線療法と同等の効果があると思われ、また放射線療法より安全で二次癌のリスクを減少させると思われます。ベネフィットの持続性を判断するために今後の追加調査が必要です。

出典
2008年6月シカゴでの米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会(総会要旨参照)

背景
セミノーマは精巣腫瘍の約30%を占めます。早期セミノーマの患者は通常、病変のある精巣摘出する手術を受け、その後再発を予防するために放射線療法を受けます。放射線療法は早期セミノーマの大部分を治しますが胃、膀胱、結腸、直腸およびおそらく膵臓の諸器官で二次癌のリスクを増大させます。

試験

1996年から2001年に英国、ベルギーの研究者は1,477人のステージⅠのセミノーマ患者を登録しました。患者を無作為に2つの群に割りつけ、一方の群は放射線療法を受け、他方は化学療法薬剤カルボプラチン一回注入を受けました。カルボプラチンの実際の投与量は患者の腎機能によって異なりました。

試験の研究チームはロンドンのSt. Bartholomews病院のR.Timothy Oliver医学博士の主導で実施されました。(プロトコル要旨参照)患者を4年間追跡調査した結果は2004年ASCO年次総会で初めて発表されました。2008年ASCO年次総会で更新結果が発表されました。

結果
癌再発と二次精巣腫瘍の割合は二つのグループで同程度でした。中央値6.5年の追跡調査でカルボプラチン投与群の95%の患者および放射線治療群の96%では癌が認められませんでした。さらに放射線治療群では患者15人の残存精巣に腫瘍が発症したのに対してカルボプラチン投与群では患者2人の残存精巣に腫瘍が発症しました。これはカルボプラチンを投与された男性は新たな精巣腫瘍を発症する可能性が78%低いことを意味しています。

制限事項
臨床試験の初期の結果が発表されたときの付随論評によればカナダ・オンタリオ州のトロント大学放射線腫瘍医のPadraig Warde医学博士およびMary Gospodarowics医学博士は「この試験結果はステージⅠのセミノーマへのカルボプラチンの有効性を確認しますが、補助化学療法がこの状況の患者に最適な管理戦略であるのかは確認できません」と書いています。その後カルボプラチン治療グループでさらに再発があるかもしれません。またカルボプラチンの長期間の副作用は不明です。

コメント
米国国立癌研究所(NCI)の癌研究センターWyndham Wilson医学博士は試験の初期結果について「これらの結果は有望です」と述べました。「二次癌のリスクに関して、カルボプラチンは放射線より安全かもしれないことを示唆しています。さらなる追跡調査によって放射線による二次癌のリスクは経時的に25年、さらにその先まで増えるとしたら試験の両比較群の違いはさらに大きくなるかもしれません」と付け加えました。

「精巣腫瘍の患者が最善の治療を決定するには、個人的選択がより重要な要素になりつつあります」と2008年ASCO年次総会でOliver氏は語りました。「この試験は術後放射線療法で必要な2~3週間より短期間で完了する治療を選択したい早期精巣腫瘍患者の治療のために、術後カルボプラチン化学療法という安全で新たな代替治療を立証しました。

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翻訳:内村美里人
監修:榎本 裕(泌尿器科医)

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