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初期乳癌におけるパクリタキセルとドセタキセルの比較

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初期乳癌におけるパクリタキセルとドセタキセルの比較

Paclitaxel Versus Docetaxel for Early Breast Cancer
(Posted: 04/30/2008) New England Journal of Medicine2008年4月17日号によると、標準的な化学療法+パクリタキセル(タキソール)の毎週投与が初期ステージ乳癌女性の全生存率の改善に最も効果的であると証明された。


要約
乳癌における2種類の一般的な薬剤での、異なる投薬スケジュールを比較したこの試験では、標準的な化学療法に加えてパクリタキセル(タキソール)を毎週投与することで、初期乳癌の女性の全生存率と無病生存率を最も効果的に延ばすことが証明されました。ドセタキセル(タキソテール)の3週間毎の投与でも患者の無病生存率を改善し、こちらも許容できる選択肢です。

出典
New England Journal of Medicine誌、2008年4月17日号
(N Engl J Med. 2008 Apr 17;358(16):1663-71)

背景
初期の乳癌の女性においては、外科手術に加えて化学療法(術後化学療法)を行うことで、癌再発のリスクが減少し、生存率が改善されます。過去の研究では、標準的な薬剤であるドキソルビシンとシクロホスファミドに加えて、タキサンとして知られる一連の薬剤(ドセタキセルまたはパクリタキセル)を投与すると再発のリスクがより低下することがわかっています。

しかし、どちらかのタキサンがもう一方より優れているのか、またパクリタキセルを週に1回(毎週)投与した場合の結果が、標準的な3週に1回(3週毎)投与に比べてより良いのか否かという疑問が残っていました。

試験
この第3相試験は、腫瘍のサイズが2cm以上、または癌が既に腋下リンパ節に広がっているため再発のリスクが高いとみられる4,950人の乳癌女性について行われました。すべての女性が乳房切除術あるいは腫瘍摘出手術を受け、一部は放射線治療も受けていました。エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモン感受性の高い腫瘍の患者については抗ホルモン薬(タモキシフェンまたはアロマターゼ阻害剤)が5年間投与されました。

ドキソルビシンとシクロホスファミドによる化学療法の完了後、参加者は以下の4群に無作為に割り当てられました。

 3週に1回パクリタキセルを投与する第1グループ(標準的治療法)
 3週に1回ドセタキセルを投与する第2グループ
 週1回パクリタキセルを投与する第3グループ
 週1回ドセタキセルを投与する第4グループ

この試験は、米国国立癌研究所(NCI)のEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)臨床試験団体の主導で行われました(プロトコル要旨参照)。NCIが支援する他の3つのグループ(the Southwest Oncology Group、the Cancer and Leukemia Group B、the North Central Cancer Treatment Group)も参加しました。試験責任医師は、ニューヨーク市のMontefiore医療センターのJoseph A. Sparano医師でした。

結果
患者には、平均で5年を少し上回る経過観察がなされました。パクリタキセルまたはドセタキセルの投与、および毎週または3週毎の投与による結果をそれぞれ比較したところ、有意差は見られませんでした。しかし4つの治療群を比較したところ、差異が見られました。

標準的な治療であるパクリタキセルの3週毎投与群の女性と比較して、ドセタキセルの3週毎投与群の女性と、パクリタキセルの毎週投与群の女性の方が無病生存率が良好(つまり、癌の再発がより遅らされた)でした。しかし、パクリタキセルの毎週投与群の女性の全生存が最も長くなりました。

治療による副作用の割合は、4つの治療群で異なりました。ドセタキセルを3週毎に投与された女性では、感染症や発熱などの合併症を引き起こしうる白血球数減少が最も高い割合で見られました。パクリタキセルを毎週投与された女性では他の治療群に比べて、痛み、しびれ、うずき、腫れ、腕や脚の筋力低下が見られました。

コメント
「この試験は、初期乳癌患者の治療におけるタキサンの選択、投与量、投与スケジュールに関して、非常に実際的で重要な問題を扱っています。」とNCI癌治療・診断部門の乳癌治療科部長Jo Anne Zujewski医師はコメントしています。

「パクリタキセルの毎週投与は、生存率において有利です。しかし、例えば移動が必要だったり仕事を休む必要があったりで毎週の投与が実際的でない場合、あるいは患者がドセタキセルに対してより高い忍容性を示すなどの場合は、ドセタキセルの3週毎投与も許容できる選択肢です。この試験において興味深いことのひとつは、すべてのタキサンが同じではない、ということです。」

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水向絢子 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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