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薬剤の併用療法によって進行した大腸ポリープのリスクが低下

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薬剤の併用療法によって進行した大腸ポリープのリスクが低下

Drug Combination Cuts Risk of Advanced Colon Polyps
(Posted: 04/21/2008)  2008年米国癌研究学会年次総会によると、抗炎症剤と試験的化合物を用いた低用量化学的予防薬剤2種によって、しばしば結腸直腸癌の前駆病変となる病変の再発を高率で予防する。


抗炎症剤と試験的化合物を用いた低用量化学的予防薬剤2種による第3相臨床試験(プロトコル要旨参照)の結果で、しばしば結腸直腸癌の前駆病変となる病変の再発を高率で予防することを示している。

カリフォルニア州サンディエゴで開催されている米国癌学会(AACR)の年次総会で、2008年4月14日に発表された報告によると、試験的化合物であるジフルオロメチルオルニチン〔difluoromethylornithine:DFMO〕と抗炎症剤のスリンダク〔sulindac〕の併用群ではプラセボ群と比較して、大腸ポリープの再発リスクが70%低下していた。さらに重要なことは、この結果によると、最もリスクが高いポリープである高異型度腺腫の再発防止にもっとも有効で92%減少させると証明したことである。

「これは過去20年において、最も好ましい結果となった化学的予防試験である」と主任研究員である、カリフォルニア大学アーバイン校のチャオ・ファミリー総合がんセンターのDr. Frank L. Meyskens氏は述べる。「これによって、しかるべきハイリスク群に化学的予防を用いることが出来る大いなる希望が生じた」

この試験は主目的を達成したため、データ安全性モニタリング委員会の勧告により早期に中止された。375人の患者が無作為にプラセボ群と併用治療群に割り当てられたが、最終解析は、最も完全な解析データが得られた患者267人のデータが基となった。この試験の参加患者全員が3ミリ以上の結腸直腸腺腫を切除した既往があり、この試験の治療は36ヶ月続けられた。

「これは、癌リスクを低下させるために、この薬剤併用が大いに有望なことを示した第3相臨床試験である」と、NCIの癌予防部門のDr. Eva Szabo氏は述べる。

この試験における癌発生率に関するデータははまだ得られていない。「しかし、私達はポリープから大腸癌へ進展していく生物学をよく理解している」とDr. Szabo氏は続ける。この試験における腺腫再発率の低下から、真の癌予防効果の可能性が大いにありうる」と彼女は指摘した。

もともとフランスの製薬会社によって開発されたDFMOは、オルニチン脱炭酸酵素として知られる酵素の働きをブロックすることで、細胞におけるポリアミンと呼ばれる分子の合成を阻害する。

アリゾナがんセンターのDr. Eugene Gerner氏と共に1980年初期よりDFMOの研究をおこなっている Dr. Meyskens氏は、研究室や動物実験モデルのデータにより、DFMOとスリンダクの併用は癌予防にとって理にかなっていると説明する。

「それらは異なった経路に働き、そのどちらの経路も増殖を促進するものだ」と彼は述べる。

スリンダクは非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)として知られている種類の薬剤の初期の薬である。同種の薬には、他の腺腫再発防止の大規模試験で功罪相反する結果となったCOX-2阻害剤のセレコキシブ(セレブレックス〔Celebrex〕)も含まれる。この場合は、腺腫再発は減少したが、重篤な心疾患事象リスクが高まった。

しかしながら、Dr. Meyskens氏は「私たちの研究は、スリンダクが心血管に影響を与えるかどうかを判断できるほど長期に及んでいないと思われる」と警告する。心血管事象の増加はあったが、統計的有意差はなかった。

この試験は、臨床的有益性をもたらすであろうDFMOの有効な最低用量を同定するために行った2つの小規模な「漸減用量」試験の後に開始された。今回の予防試験に用いられた用量は、これまでの治療試験で用いられたものの1/50の用量である。

これまでの研究により、DFMO関連の毒性、つまり難聴に対する懸念がある。DFMOとスリンダク併用群では実際により多くの患者に、オーディオグラムによる計測で測定される僅かな聴力低下が認められた。聴力低下を認めた患者の多くは高齢者であり、通常はそれを自覚していなかった。

「全グループで、治療群とプラセボ群の聴力損失の違いはほぼ2デシベルであった」と彼は述べる。「これは指をすり合わせることで生じる程度の音である。」

Dr. Meysken氏のグループはNCIと共同でさらに大きな第3相試験の計画をしており、そのうちのひとつでは、低異型度の結腸直腸癌で治療を受けた後の患者を対象としている。現在、DFMOはどこの製薬会社でも製造されていないため、研究チームは更なる臨床試験を推し進め、さらに望むらくは当局の認可を受けられるように、業界のパートナーをも探している。

「私たちはこれらのデータが多くの関心を呼ぶことを希望している」とDr. Meyskens氏は述べる。

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Nogawa 訳
榎本 裕(泌尿器科)監修

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