遺伝子合成ヒト甲状腺刺激ホルモン(rhTSH)甲状腺癌治療の副作用減少/ジョンズ・ホプキンス大学 | 海外がん医療情報リファレンス

遺伝子合成ヒト甲状腺刺激ホルモン(rhTSH)甲状腺癌治療の副作用減少/ジョンズ・ホプキンス大学

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遺伝子合成ヒト甲状腺刺激ホルモン(rhTSH)甲状腺癌治療の副作用減少/ジョンズ・ホプキンス大学

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新薬により治療中の甲状腺癌患者が不快な副作用を回避できることをJOHN HOPKINS試験は示している
ジョンズホプキンス大Johns Hopkins Medicine

Johns Hopkinsなどの多施設国際試験によれば、甲状腺癌手術後、遺伝子工学的に合成されたヒト甲状腺刺激ホルモン(rhTSH)の後に放射性ヨウ素を投与すれば、甲状腺補助療法を従来のように中止する必要がなくなり、中止に伴うつらい副作用が回避される。

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The Johns Hopkins University School of Medicine(ジョンズホプキンス大学医学部)の内分泌科部長Paul Ladenson医学博士およびイタリアのUniversity of SienaのFurio Pacini氏が主導した本試験は、12月にオンライン版のJournal of Clinical Endocrinology and Metabolismで報告された。

一般に、甲状腺癌に対する放射性ヨウ素治療では、甲状腺補助療法を数週間、一時的に中止する必要があり、体重増加、便秘、疲労、緩慢な思考、抑うつ気分、筋痙攣、低温不耐性、およびその他の症状をまねく。「本試験では、組換え型TSHを使用している患者は甲状腺補助療法を継続し、癌治療期間中にこれまでより良好な生活の質を享受することができることが示された」と、Ladenson氏は述べている。

まず、甲状腺癌は頚部の甲状腺の外科的切除により治療し、その後放射性ヨウ素治療にて残存甲状腺組織を除去することが多い。

甲状腺が罹患するか切除されると、心拍、血圧、体温、および体重の調節に有用なホルモンT4(サイロキシン)およびT3(トリヨードチロニン)を産生しなくなる。このため、甲状腺ホルモンのL-サイロキシンを添加して身体機能を正常に保つことが必須である。

Ladenson氏によれば、逆説的であるが、放射性ヨウ素治療の効果を発揮させるため、甲状腺ホルモン治療はこれまで中断されていた。ホルモン治療の中止は下垂体を刺激して甲状腺刺激ホルモン(TSH)を産生する。TSHは残存甲状腺組織を刺激して放射性ヨウ素を濃縮するため、残存甲状腺組織が除去される。Ladenson氏によれば、細胞内に入ると、ヨウ素は甲状腺細胞のDNAを損傷するベータ粒子を放出するが、周囲組織に対して悪影響を及ぼさない。

Ladenson氏によれば、下垂体で産生されたTSHとrhTSHは同等の生物学的作用を発揮し、構造上の差異はごくわずかである。

「この多施設間試験では、残存甲状腺細胞を破壊する点で、rhTSHは体内で産生されるTSHと同等に有効であることが証明された」と、Ladensonは述べている。

本無作為対照試験では、欧州の4施設および北米の5施設の患者60例を対象とした。最初の患者を2001年12月17日に組み入れ、最終患者は2003年9月26日に最終来院を終了した。

甲状腺の外科的切除後14日以内に、患者32例を甲状腺ホルモン治療、L-サイロキシン群に割付け、ホルモン治療を中止せずにrhTSHを4-6週間投与し、その後放射性ヨウ素を投与した。28例はL-サイロキシンおよびrhTSH非投与群に割付け、甲状腺機能低下により下垂体のTSH産生を促進してから治療を行った。この期間中の生活の質について試験を実施し、Billewicz scaleを用いて症状を評価した。これは全身の甲状腺ホルモンが欠乏している患者が呈した14種類の症状および徴候を観察者が点数化する評価法である。

次に、患者に放射性ヨウ素療法を施行した。投与から8ヵ月後、医師はスキャンを施行し、残存甲状腺組織の有無について判定した。Billewicz scale氏によれば、放射性ヨウ素投与前は両群が同等であった。軽度の一過性症状が認められたのは各群の患者8例のみであった。放射性ヨウ素投与前であったため、甲状腺ホルモン非投与群の2および4週時の総スコアは有意に高かった。

甲状腺ホルモン非投与群の患者とホルモン療法およびrhTSH投与群の患者にもっともよくみられた主訴は、低温不耐性(50%と21%)、体重増加(60%と21%)、便秘(43%と3%)、嗜眠(50%と12%)、冷たい肌(47%と12%)、および眼周囲の顔面腫脹(50%と0%)であった。

放射性ヨウ素療法から8ヵ月後、検査により両群の患者全員において残存甲状腺細胞が首尾よく破壊されたことが示された。

これらの結果が明白に示すのは、rhTSHと放射線療法の併用は残存甲状腺組織を首尾よく破壊し、甲状腺ホルモンを中止する必要がなかったため、一般に本治療と関連のある不快な副作用が減少したとLadenson氏は述べている。

(Oyoyo 訳・平 栄(放射線腫瘍科) 監修)

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