アロマターゼ阻害剤が肺癌の増殖を抑制する可能性/ハワード・ヒューズ医療研究所 | 海外がん医療情報リファレンス

アロマターゼ阻害剤が肺癌の増殖を抑制する可能性/ハワード・ヒューズ医療研究所

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アロマターゼ阻害剤が肺癌の増殖を抑制する可能性/ハワード・ヒューズ医療研究所

原文

乳癌抑制剤に肺癌増殖を抑制する可能性
Howard Hughes Medical Institute(ハワード・ヒューズ医療研究所)
2005/12/15

数年前、乳癌と同様、エストロゲンによって成育する肺癌があることを研究者は発見した。現在、ハワード・ヒューズ医療研究所(HHMI)奨学金で研究を行っている医学生と仲間が、アロマターゼ阻害剤と呼ばれる乳癌抑制剤を用いて、マウスにおいてヒトの肺癌細胞増殖を止めた。

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この研究は、Cancer Research誌の2005年12月15日号で報告される。

 

「アロマターゼがなければ、エストロゲンは産生されません。エストロゲンと肺癌を関連付けたのは、既になされた研究による当然の進歩でした」

と、ヴァンダービルト大学医学部で4年次を延期してプロジェクトに参加したOlga Weinberg氏は語った。

 

研究結果は、肺癌死亡率が急増している女性グループにおける肺癌治療の新しい方法を示している。

 

「今や、乳癌よりも肺癌で死亡する女性のほうが多いのです」

 

と、Weinberg氏の研究指導者であり、主執筆者であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校のRichard Pietras氏は語った。

 

「乳癌よりも肺癌で死亡する理由に関して、その手がかりの一つ、つまり、エストロゲンが女性において一部の肺癌を増殖させることについて、我々は追跡したのです。」

 

肺癌細胞の増殖を妨げられるかを確かめるため、チームはアロマターゼ酵素から取り組み始めた。アロマターゼは、テストステロンをホルモン補充療法にも用いられる強力な形態のエストラジオールに変えるため、当然の標的であった。それに加えて、アロマターゼ阻害剤は、新しい乳癌治療法として既に市販されている。

 

「エストロゲンの産生にはいくつかの段階があり、アロマターゼはその過程の鍵となっています」

 

と、Weinberg氏は語った。

 

「アロマターゼがなければ、エストロゲンは産生されません。」

 

肺癌がアロマターゼを必要とすることを確認するため、チームは研究室で培養した肺癌細胞で酵素をまず捜した。酵素発見後、患者の非小細胞肺癌サンプル53個を調査した。アロマターゼ特異抗体と免疫組織化学法を用いたところ、女性検体の88%および男性検体の86%に高レベルの酵素が含まれることがわかった。

 

「そういうわけで、期待に胸を膨らませ始めました」

 

と、Weinberg氏は語った。
チームは次に放射性トレーサーで実際のアロマターゼ活性を浮き彫りにしたところ、酵素が研究室での培養細胞と凍結検体のいずれにおいても活性していたことがわかった。細胞からエストロゲンを除去し、それから、その細胞にテストステロンを与えることにより二重チェックを行った:

 

アロマターゼが作用しているならば、細胞はエストロゲンを産生するだろう。

 

細胞は、そのとおりエストロゲンを産生した。

 

「アロマターゼが活性しているのを見ると、乳癌に使用する同じ薬剤でアロマターゼを抑制できるか確認したくなりました」

 

と、Weinbergは語った。
チームはアナストロゾールで細胞を48時間処理したところ、実験でアナストロゾールが実際にアロマターゼ活性を遮断し、腫瘍の増殖を遅らせることがわかった。

 

「アロマターゼを持つ腫瘍は、高濃度および低濃度のいずれであってもアナストロゾールに感受性を示すことがわかりました」

 

と、Pietrasは語った。
最後に、チームはヒトの肺腫瘍をマウスに移植した。第一グループのマウスはアナストロゾールを21日間投与され、第二グループのマウスは投与されなかった。薬を摂取したマウスの腫瘍は、未治療のマウスの腫瘍よりも90パーセント増殖が遅くなった。

 

「当然の進歩です。以前は誰も肺癌でアロマターゼ阻害薬に注目しなかったのですが、誰かが注目するのは時間の問題でした」

 

と、その出版で病理学者として道を歩み始めることを望むWeinberg氏は語った。

 

「私は癌を扱う仕事をしたいといつも思っており、また、病理学も学びたかったのですが、HHMI奨学金により1年間でそのどちらもできました。」

 

HHMIは、医学生が医学トレーニング期間中、研究に一年間費やせるように研究奨学金を与えており、医学生に研究職への道を考えるように奨励している。

 

Weinbergは今年、ヴァンダービルト大学医学部で医学の学位を得て、UCLAのPietras氏らは他にいくつかの対肺癌アロマターゼ阻害剤テストを始めている。研究者はヒトを対象にした臨床試験に進むことを望んでおり、薬剤は既にFDAに承認されているため、迅速に進むと考えられる。

 

UCLAで当研究に貢献した者は他に、Diana Marquez、Michael Fishbein、Lee Goodlick、Hermes Garban、Steven Dubinettである。国立癌研究所の肺癌SPOREプログラムおよびUCLAの統合癌研究におけるStilesプログラムにより、前臨床研究および実験研究はそれぞれ主要な財政的支援を受けた。

 

(早川康道 訳・Oyoyo 校正)

 

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