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アナストロゾール、タモキシフェンと骨密度低下の関連性を調べるATAC試験

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アナストロゾール、タモキシフェンと骨密度低下の関連性を調べるATAC試験

Anastrozole, Tamoxifen, and Bone Loss on the ATAC Trial
(Posted: 03/26/2008) Journal of Clinical Oncology誌3月1日号によると、乳癌の再発予防薬アナストロゾール(アリミデックス)は再発予防には有利である一方、アナストロゾール投与の閉経後女性ではタモキシフェン(ノルバデックス)服用女性に比べて骨密度低下が多くみられる。


要約
アナストロゾールとタモキシフェンを比較する主要臨床試験のサブスタディーによると、乳癌再発の防止のためにアナストロゾール(アリミデックス®)を服用している閉経後女性はタモキシフェン(ノルバデックス®)を服用している女性より骨量減少が多いということです。アナストロゾールは再発防止に良いとされているため、医師と患者は、ホルモン陽性早期乳癌に対する最適な補助的治療を決定する場合そのリスクとベネフィットを考慮する必要があります。

出典 Journal of Clinical Oncology2008年3月1日号(ジャーナル要旨参照) (J Clin Oncol. 2008 March 1; 26(7): 1051-58

背景
閉経後のホルモン陽性早期乳癌患者には初回治療後の再発リスクを軽減するための様々な選択肢があります。それらの選択肢の中にはタモキシフェンおよびアナストロゾール、レトロゾールまたはエキセメスタンといった様々なアロマスターゼ阻害剤(AI)などがあります。

こういった薬剤には利点があることに加えて、患者の全体的な健康状態に関連して考慮しなければならない副作用も存在します。例えば、女性の多くは閉経により骨密度が減少し始め、骨粗鬆症のリスクにさらされます。アナストロゾールといったAIは骨量減少を引き起こすことがわかりました。タモキシフェンは骨量減少を防ぎますが、子宮内膜癌や血栓障害といった様々なリスクを引き起こします。

アリミデックス、タモキシフェン単独または併用投与(ATAC)を用いた二重盲検の第3相臨床試験において、閉経後のホルモン陽性初期乳癌患者を3つの投与群のいずれかに無作為に割り付けました。ひとつはタモキシフェン、もうひとつはアナストロゾール(AIのひとつ)、そして3つめはタモキシフェンとアナストロゾールの併用投与を受けました。併用投与群は33ヶ月目でベネフィットが見られなかったため試験は中止になりました。その後併用投与群の患者は残り2群のいずれかに変更する機会が与えられました。

2005年にATACの研究者がアナストロゾールは乳癌再発の防止においてタモキシフェンより優れているということを報告しました。特に骨量減少を重点的に見たATAC試験の前向きサブスタディーから得たデータの概要を以下に記述します。

当初のATAC試験には9366例の閉経後女性が組み入れられ、そのうち108例がここで報告されているサブスタディーを完了しました。57例がアナストロゾール単独投与群、51例がタモキシフェン単独投与群に無作為化割付されました。サブスタディーの目標はアナストロゾールとタモキシフェンが股関節および腰椎(腰)の骨ミネラル濃度にどのような影響を及ぼすかという点について確認することでした。試験開始時および1、2、5年目に計測が行われました。

サブスタディの臨床試験責任医師は英国シェフィールド大学のRichard Eastell医師でした。

結果
5年目の時点で、サブスタディのタモキシフェン投与群の患者は、実際に骨ミネラル濃度が上昇(腰椎で2.77%、股関節で7.24%)していました。すべての上昇は最初の2年間に見られ、次の3年間には上昇しませんでした。

サブスタディでアナストロゾールを5年間投与された患者において、骨ミネラル濃度減少の中央値は腰椎で6.08%、股関節では0.74%でした。腰椎からの骨量減少は最初の2年間で早く、股関節からの減少は一定の速度で起こりました。

サブスタディが開始された時、各群の患者の半分以下に骨減少症(骨粗鬆症より軽い骨量減少)が見られました。これらの患者のうちアナストロゾール投与群では4例が5年間の試験期間中に骨粗鬆症に進行したのに対し、タモキシフェン投与群では1例でした。試験開始前は骨密度が正常であった患者のうち、アナストロゾール投与群では14例が骨減少症になったのに対し、タモキシフェン投与群では3例でした。

コメント
ATACおよびレトロゾールやエキセメスタンなどのその他のAIを用いた臨床試験に基づき、AIはこの集団における早期乳癌の再発防止に対する標準治療となりつつあります。しかし、これらの癌治療は骨量減少を加速させる、と国立癌研究所の癌治療・診断部門、乳癌治療責任者であるJo Anne Zujewski医師は述べています。「50歳以上の女性の半数が骨粗鬆症による骨折を経験するとされているため、この集団における骨の健康は非常に重要です。結果として4人に1人が体が不自由になり、股関節を骨折した人の5人に1人が1年以内に死亡しています。」

幸い骨量減少が元から見られた場合は「予防可能かつ治療可能の状態であることを意味します」とEastell医師は書いています。Zujewski医師もこれには同意で、「パミドロネートやゾレドロン酸といったビスフォスフォネート剤は骨密度を維持するのに効果的な治療法です」と述べています。

「ホルモン陽性早期乳癌の補助療法において全ての患者に有効な一治療法は存在しません」とZujewski医師は述べています。継続中の臨床試験が異なるグループの患者にとって最適な治療法を決定する一助となるでしょう。患者は勧められる治療法に関して起こりうるリスクとベネフィットを主治医と相談するべきです。

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エリザベス 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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