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胃癌の治療薬S-1が日本の試験で有望であると示される

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胃癌の治療薬S-1が日本の試験で有望であると示される

Stomach Cancer Drug, S-1, Shows Promise in Japanese Trial
(Posted: 03/12/2008) 2008年3月発行のLancet Oncology誌によると、日本で行われた臨床試験でシスプラチンと治療薬S-1の併用療法を受けた手術不能の進行胃癌の患者は、S-1単独に比べて約2ヶ月延命した。


要約
この日本の臨床試験では、進行した手術不能の胃癌患者がS-1と呼ばれる薬+シスプラチンの併用療法とS-1単独での療法との比較が行われ、併用療法を受けた患者のほうがS-1単独で治療された患者よりおよそ2ヵ月生存期間が長くなりました。S-1は、現在米国での使用は承認されていません。S-1はヨーロッパ系の患者と日本人の患者の身体中での分解が異なるので、米国の患者の多くはこの試験で使われる用量に耐えられないかもしれません。

出典
2008年3月出版のLancet Oncology(ジャーナル要旨参照)
(Lancet Oncology誌2008年3月; 9(3):215-21。Epub2008年2月20日)

背景
胃癌は、米国と他の西洋諸国では比較的稀ですが、世界では癌による死亡の原因の第2位です。腫瘍が早期発見され、外科的に完全に切除された場合、胃癌は治癒できます。しかし、他の組織と器官に拡がってしまう(転移)まで、この病気は診断されないことがよくあります。外科的に切除できない、進行した胃癌患者の転帰は、非常に悪くなります。

S-1として知られている薬が、日本において胃癌のファーストラインの治療として使われます。まだ、S-1は米国では承認されていません。その代わりに、米国の医者は、フルオロウラシル(5-FU)と呼ばれている薬で進行した胃癌を治療します。S-1は、体内で5-FUに変わる物質、テガフールを含んでいます。

薬剤5-FUと比べS-1の利点となりうることは、5-FUは静注で投与されなければならないのに対しS-1は経口薬剤であるということです。日本人の進行した胃癌患者において、S-1と、よく用いられる抗癌剤であるシスプラチンという第2の薬剤との併用で治療を受けた第1相/2相での試験は有望な結果を示しました。

研究
この第3相試験において、298人の日本人の進行した胃癌患者は、「S-1単独」あるいは、「S-1とシスプラチン」での治療に無作為に割り当てられました。患者全員は、離れた組織や器官に転移した疾患を有していました。この試験の主任責任医師は、日本の相模原の北里大学医学部の小泉和三郎医師でした。研究の完全なタイトルは、「進行した胃癌に対するS-1+シスプラチン療法対S-1単独療法のランダム化比較対照試験」またはSPIRITSでした。

結果
SPIRITS試験の患者は、中央値でほぼ3年間追跡されました。S-1とシスプラチンの治療を受けた患者の生存中央値は13ヵ月でS-1単独の治療を受けた患者の生存中央値は11ヵ月でした。この併用療法は、S-1単独療法より病気の進行も遅らせました。(6ヵ月対4ヵ月)

治療による中程度から重度の貧血症、食欲不振、吐き気、白血球数の低下のような副作用は、S-1とシスプラチンで治療された患者でより多くみられました。

制限事項
今までの試験で、ヨーロッパ系の患者のほうが日本人患者よりも速く、S-1中のテガフールが5-FUに変わることが示されています。この理由から、米国の大部分の患者はSPIRITS試験で使われるS-1の用量に耐えられないかもしれないと、米国国立癌研究所の癌治療・診断部門 のJohn Jessup医師は述べています。

コメント
進行中の大規模国際第3相試験のFirst-Line Advanced Gastric Cancer Study (FLAGS)は、「S-1+シスプラチン」と「5-FU+シスプラチン」の効果を比較しています。FLAGSからの予備段階の結果は、2009年に出ると予定されています。米国で胃癌患者の治療のためにS-1を承認するための決定にはFLAGSの結果を待たなければならない様子だとNCIのJessup医師が述べています。
Jessup医師はまた、S-1と似た薬剤カペシタビン(Xeloda)が錠剤の形で利用できて、体内で5-FUに変わると注記しています。結腸癌と乳癌の治療のために米国で承認されているカペシタビンは、胃癌や他の癌の治療で、現在テストが行われています。

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HAJI 訳
林 正樹(血液腫瘍医) 監修

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