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バイスペシフィック抗体とNK細胞の複合療法がリンパ腫患者に高率で奏効

MDアンダーソン主導の本試験は、CD30陽性リンパ腫に対してAffimed社のAFM13とNK細胞を用いた初の臨床試験となる

再発および難治性のCD30陽性リンパ腫患者において、臍帯血由来のナチュラルキラー(NK)細胞と、AFM13として知られるCD16AおよびCD30を標的とする新しいバイスペシフィック抗体とを組み合わせた治療が奏効したことを、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが示した。本試験の結果は4月10日、2022年米国がん学会(AACR)年次総会で発表された。

19人の患者での奏効率(ORR)は89%であり、そのうち10人は完全奏効(CR)となった。追跡期間の中央値は11カ月、導入期間を含めて19カ月で、3つの投与量レベル全体での無増悪生存率と全生存率はそれぞれ52%と81%であった。NK細胞の増殖は注入後速やかに起こり、2週間持続した。

投与量レベル3(10⁸NK/Kg)が第2相試験での推奨用量(RP2D)として決定された。この投与量で治療を受けた13人の患者全員に治療効果が認められ(ORR100%)、うち8人がCR(62%)となった。

「再発したCD30陽性リンパ腫は、現行のレジメンで治療できる場合もありますが、それらの治療が失敗すると腫瘍は治療抵抗性を示し、患者には有効な治療オプションがほとんど残されていない状態になります」。本試験の責任医師であり研究の発表者でもある、幹細胞移植・細胞療法学教授のYago Nieto医学博士は述べている。「今回の中間結果は、前治療の多い患者において高い有効性と忍容性が期待できることを示しており、またこの手法をさらに研究する上での根拠となります」。

NK細胞は白血球の一種で、体内でウイルスに感染した細胞やがん細胞を監視している。臍帯血からNK細胞を分離・増殖する技術はMDアンダーソンで開発された。

Affimed社のAFM13は、NK細胞のCD16Aとリンパ腫細胞のCD30に結合するようにデザインされた同社独自のバイスペシフィック抗体であり、がん細胞をNK細胞によって排除させる働きがある。体内に注入する前に、NK細胞をサイトカインで活性化し、人工の抗原提示細胞の存在下で増殖させ、最後にAFM13と複合するという一連の手法は、幹細胞移植・細胞療法学教授のKaty Rezvani医学博士の研究室で開発されたものである。Affimed社とMDアンダーソンは戦略的共同研究契約を結び、AFM13の臨床開発を進めている。

この単一施設での第1/2相試験には、再発または難治性のCD30陽性リンパ腫患者22人が登録された。ほとんどの患者はホジキンリンパ腫と診断されており、事前に行われた治療ラインの中央値は7次だった。登録時点で全員に病勢の進行が認められ、ブリッジング療法は行われなかった。患者は3つの投与量レベルに登録され、19人の患者が予定の2サイクルを完了した。患者の人種内訳は、白人15人(68.2%)、ヒスパニック系3人(13.6%)、中東系3人(13.6%)、黒人1人(4.5%)で、年齢の中央値は40歳であった。

本治療の忍容性は良好だった。先行するリンパ球除去化学療法による骨髄抑制は予想されており、それ以外の副作用はきわめて少なかった。サイトカイン放出症候群、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群、移植片対宿主病は認められなかった。AFM13単独投与では110回のうち6回の投与時反応(インフュージョンリアクション)があったが、AFM13とNK細胞の複合投与では発症はなかった。

6人の患者はこの治療の奏効が認められた後で幹細胞移植を受けたため、奏効期間の評価には制限が生じた。

「幹細胞移植までのブリッジング療法として利用されるか、場合によっては治癒的治療法として利用されるかもしれませんが、いずれにしても、今回のデータはこの新しい治療法がCD30陽性リンパ腫患者にとって有効な治療選択肢となることを示唆しています」とNieto氏は述べている。「われわれは、今回得られた数々の知見と、これまで十分な選択肢のなかった患者にこの治療法を提供できる可能性に興奮しています」。

本試験では当初、短期間のフォローアップを行う計画だったが、2サイクル以降の治療継続性を評価するため、治療期間を2サイクルから4サイクルに延長する修正がFDA(米国食品医薬品局)により承認され、より長い期間のフォローアップが可能になった。

Affimed社は、研究支援と本試験で使用するAFM13を提供した。Nieto氏はAffimedの諮問委員会のメンバーであり、Affimed社、AstraZeneca社、Secura Bio社、Novartis社から研究資金を受け取っている。共同研究者の全リストとその開示情報は原文からご覧ください。

MDアンダーソンは、この研究に関連してAffimed社との間で組織的な金銭的利益相反があるため、「組織的利益相反マネジメントおよびモニタリング計画」を実施している。

翻訳岩佐薫子

監修北尾章人(腫瘍・血液内科/神戸大学大学院 医学研究科)

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