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ダサチニブとニロチニブともにイマチニブが有効でないCMLに有効

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ダサチニブとニロチニブともにイマチニブが有効でないCMLに有効

Dasatinib and Nilotinib Both Effective for CML When Imatinib Won’t Work
(Posted: 10/31/2007) -2007年Blood誌掲載の2件の報告によると、2つの新たな標的薬ダサチニブ (スプリセル®) とニロチニブ (Tasigna®)は、イマチニブ(グリベック)に奏効しなくなった、あるいは忍容できない慢性骨髄性白血病患者の大半に有効である。


要約
2つの別々の第2相臨床試験結果によると、2つの新たな標的薬であるダサチニブ(スプリセル®)とニロチニブ(Tasigna®〔タシグナ〕)は、イマニチブ(グリベック®)に奏効しなくなった、あるいは忍容できなくなった慢性骨髄性白血病(CML)患者の大半に有効である。

出典
Blood, 2007年8月22日号。出版前のオンライン発行(ジャーナル要旨参照)Blood. 2007 Aug 22; [Epub ahead of print])

Blood, 2007年3月15日号。(ジャーナル要旨参照
(Blood. 2007 Mar 15;209(6):2303-9. Epub 2006 Nov 30)

背景
慢性骨髄性白血病(CML)は、ゆっくりと進行する血液の癌です。2007年中に、4570名のアメリカ人がCMLと診断されるとみられています。この病気は主に60代の人が罹患します。

ほとんどすべてのCMLが、骨髄の造血細胞での染色体の異変に関係しています。フィラデルフィア(Ph)染色体と呼ばれるものが異常タンパクを生成し、それが未成熟で機能不全の白血球の過剰生成を促します。

イマチニブ(グリベック)という薬剤は、CMLの治療に革命をもたらしました。イマチニブは標的療法、つまり、フィラデルフィア染色体が生成する異常たんぱくに作用し、正常な細胞への影響は限られているのです。しかし、CMLはイマチニブに耐性を持つようになることもあり、またこの薬剤によって許容できない副作用を有する患者もいます。

ダサチニブ(スプリセル)とニロチニブ(タシグナ)は、イマチニブ耐性をもつCMLの治療のために開発された、新しい標的薬剤です。これらは、イマチニブが標的としたものと同じ異常タンパクに作用しますが、その機序は少し異なります。第1相試験では、イマチニブに耐性のあるCML患者は、ダサチニブあるいはニロチニブのどちらかによく反応しました。

ここに述べる2つの別々の第2相試験では、ダサチニブとニロニチブについて調べています。第2相臨床試験では、ある薬剤が特定の癌に対してどの程度有効かを評価し、またその薬剤を服用することで患者が経験しうる副作用を明らかにします。

CMLは、骨髄および血液中の異常白血球の数と、白血病が他の正常な血液成分に与える影響によって、いくつかの段階に区別されます。これらの臨床試験に参加した患者はみな、初期のステージである慢性期のCMLでした。つまり、異常白血球の数が通常より多いけれども、より進行したステージよりは少ない状態です。

試験1(ダサチニブ)
このダサチニブ第2相試験の患者は全員、以前にイマチニブによる治療を受けていましたが、疾患がイマチニブ耐性となったか、あるいは副作用のため服用できなくなりました。

この試験では186名の患者での初期成果について報告しています。彼らは全員、1日2回ダサチニブを服用していました。アメリカを含めた20カ国の患者は、2005年2月と5月の間に試験に参加してから、最低8ヶ月はフォローアップがなされました。試験責任者はドイツ、マンハイムのハイデルベルク大学のAndreas Hochhaus医師でした。

薬剤の効果を評価するため、患者の血液と骨髄標本が採取されました。効果を示すものとして調べられたのは、CMLに特徴的な異常白血球の消失あるいは減少(血液学的効果として知られています)と、骨髄中のPh染色体の消失または減少(細胞遺伝学、または細胞学的効果として知られています)です。

結果1(ダサチニブ)
CMLに特徴的な異常白血球が、90%の患者で消失、あるいは非常に低いレベルまで減少しました。Ph染色体は、52%の患者で消失、あるいは非常に低いレベルまで減少しました。8ヶ月以上のフォローアップの後、92%の患者は病気の進行がみられなくなりました。

イマチニブの効果がなくなってしまった患者、副作用のため服用を中止した患者ともに、ダサチニブに同じようによく効果が表れました。

ダサチニブ治療でみられる主な副作用は、白血球数の減少、頭痛、下痢、疲労、息切れ、皮膚発疹です。6名(3%)の患者で、肺に液体がたまるといった、深刻な副作用となりうる症状がみられました。

試験2(ニロチニブ)
この第2相試験の280名の患者も、以前イマチニブによる治療を受けており、薬剤の効果がなくなったか、あるいは副作用のため服用を中止しました。すべての患者がニロチニブを1日2回服用しました。

アメリカとその他14カ国の患者が2005年4月と2006年8月の間に試験に参加し、最低6ヶ月間のフォローアップを受けました。試験責任者はテキサス州ヒューストンのM.D.アンダーソンがんセンターのHagop M. Kantarian医師です。

結果2(ニロチニブ)
最低6ヶ月のフォローアップの後、患者の半数近くでニロチニブ治療の効果がみられました。31%でPh染色体が消失し、16%では低いレベルまで減少しました。イマチニブに耐性ができてしまった患者や、副作用のため服用を中止した患者ともに、ニロチニブ治療では同等に良好な効果がみとめられました。

ニロチニブ治療でみられた主な副作用は、軽い皮膚発疹、吐き気、疲労、頭痛などです。またおよそ30%の患者で、白血球および血小板(他の血液成分)の穏やかな、あるいは深刻な減少がみられました。

筋けいれんや体重増加など、イマチニブでの主な副作用は、ニロチニブでは一般的ではありませんでした。肺に胸水が溜まる、あるいは脚部やくるぶし、足がむくむなど、他の試験でイマチニブやダサチニブ治療で見られた副作用も、ニロチニブではほとんどみられませんした。

コメント
ある薬剤が他の治療法よりも効果的にはたらくことを立証するには、通常、ランダム化第3相臨床試験が必要になります(癌の治療法決定に最も役立つのはどの試験結果かを参照)。しかし、ダサチニブとニロチニブの場合、第3相試験(数百名の患者で、数年かけて行う必要がある)は非現実的ですと、米国国立癌研究所のJohn Janik医師は述べています。

「この第2相試験の結果は、第1相試験でみられた、これらの薬剤の高い奏効率をより多い患者数で裏付けた」と、彼は述べています。「イマチニブ耐性の慢性期CML患者のうち全員ではなくとも大多数に効果のある薬剤を、われわれは2種類手にしたことになる」。

ニロチニブの試験結果に基づき、2007年10月29日、米国食品医薬品局は、慢性期および加速期にある、フィラデルフィア染色体陽性のCML成人患者で、イマチニブを含めたこれまでの治療法が奏効しない、あるいは忍容できないという人に対し、ニロチニブを用いることを迅速承認しました。詳細は、ニロチニブのFDA承認(原文)(近日日本語訳掲載)を参照してください。

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水向 絢子訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修

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