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野菜・果物を多く摂取してもその後の乳癌リスクを低下させない:WHEL試験結果

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野菜・果物を多く摂取してもその後の乳癌リスクを低下させない:WHEL試験結果

Extra Fruits and Vegetables Don’t Cut Risk of Further Breast Cancer: Results of the WHEL Study
(Posted: 09/26/2007) Journal of the American Medical Association誌2007年7月18日号によると、WHEL試験の結果、多くの野菜・果物および繊維質に、脂肪を幾分減らした食事療法は、治療後の早期ステージ乳癌患者のその後の乳癌の進行を予防せず、生存を延長しなかった。


 

要約
Women’s Healthy Eating and Living(WHEL)の試験によると、豊富な野菜と果物、食物繊維とやや少量の脂肪を含む食事は初期乳癌患者で癌の進行を予防せず対照群の女性より長期生存する助けとなりませんでした。これらの知見は、少なくとも他にもう1件行われた食生活と乳癌リスクに関する大規模試験と矛盾するため、この問題を解決するためにさらに研究が必要です。

出典
Jouranal of the American Medical Association 2007年7月18日号(ジャーナル要約参照

背景
乳癌予防におけるダイエットの役割を明確にするためにいくつかの試験が試みられました。2005年に報告されたWomen’ Intervention Nutrition Study(WINS)、大規模ランダム化臨床試験の結果によると低脂肪ダイエットは閉経後の女性特にエストロゲン不応性(エストロゲン受容体陰性)の癌患者で乳癌の再発を予防する助けとなることを示唆しました。

しかし2006年に終了したWomen’s Health Initiative(WHI)では、研究者らは総脂肪摂取量を減少出来た50歳から79歳の女性で統計的に有意でないほんのわずかの乳癌リスクの減少しか発見できませんでした。
ここに述べられる試験はWHEL試験と呼ばれています。

試験
WHELは、18歳から70歳までの早期ステージの乳癌患者を対象に、食事に含まれる野菜や果物、食物繊維と脂肪の割合を変えることにより乳癌の再発や新たな原発性乳癌の発症、およびあらゆる原因による死亡を減少できるか調査するための大規模な第3相臨床試験でした。

研究者らは1995年から2000年に米国の7ヶ所で過去4年以内に初期(1期から3a期)乳癌の治療を受けた3,088人の女性(ほとんど白人)を組み入れました。

女性はランダムに2つの食事療法群に割り付けられました。約半数(1,551人)は全国的に推奨されている1日5皿の果物や野菜、少なくとも20グラムの食物繊維、そして脂肪を1日の食品消費の30%未満とする毎日の1日5皿(5-A-Day)食事療法を求められました。この「対照群」の女性らは隔月にニュースレターを受け取り時々料理教室に参加することができました。それらはすべて彼女らが5-A-Dayダイエットプランを遂行しやすくするためでした。

残りの半数(1,537人)はこの試験でもっと厳しいダイエットを受けいれる「集中介入」群に割り付けられました。それは果物を3皿、野菜を5皿、野菜ジュースを16オンス、食物繊維を30グラム、脂肪は15%~20%というものでした。より厳しいダイエットには強力な支援プログラムがつきました。この群の女性らはさらに頻繁にニュースレターを受け取りました。料理教室に参加できる回数ももっと多くー対照群と違ってー激励と指導のためにカウンセラーからの定期的な電話カウンセリングを受けました。

この試験の開始時はすべての女性が1日約7皿の果物や野菜を食べたと報告しました。また両群は平均体重や1日の消費カロリー平均値が類似していました。

食事療法のデータを集めるために研究者らは試験を通して参加者に24時間以内に食べたものを思い出すように電話で頼みました。フォローアップの評価は2006年6月1日に試験終了後ほぼ全員の女性によって完了しました。参加者の自己報告を点検する方法として試験の間、両群の女性らは果物と野菜の摂取量を測定するバイオマーカーを分析するための血液サンプルを提供しました。

試験の主著者はカリフォルニア-サンデイエゴ大学のJohn J. Pierce医学博士でした。WHELはWalton Family Foundationからの補助金で資金提供されパイロットスタデイとして創始されました。そしてNational Cancer Instituteの資金提供で継続されました。

結果
この試験の過程で食物摂取に関して両群の間で有意な相違がありました。4年目に集中介入群の女性らは対照群の女性らより野菜を65%多く、果物を25%多く、食物繊維を30%多くそして脂肪を13%少なく摂取していました。果物と野菜の摂取を示すバイオマーカーも集中介入群で43%高値でした。

しかし中央値7.3年のフォローアップの後、試験の主要エンドポイントに関しては統計上有意な相違はありませんでした。各群の約17%に乳癌の再発または新たに原発性乳癌がみられました。そして各群の10%が死亡し、5人のうち4人以上が乳癌によるものでした。すべての女性が類似の臨床ケアを受けました。

制限事項
集中介入群は対照群より有意により多くの果物と野菜を食べましたが、毎日の脂肪摂取を15%~20%まで減少するダイエットはできませんでした。彼女らは21%以下には到達せず試験の終わり頃には平均で27%以上でした。(対照群と同様)

7年間のフォローアップ期間の終了時近くには、両群の女性は試験の開始時に報告した数値より高い摂取脂肪平均値を報告していました。

もう1つの問題(ダイエットの試験に通常みられる)は参加者が何を食べたか報告してもその正当性を立証するのが困難だったことです。定期的な血液検査は果物と野菜の摂取の自己報告を確認することができますが脂肪は不可能です。両群の女性らが1日の摂取カロリーを試験開始時に比べ試験終了時の方が少なく報告しましたが、全参加者が平均して体重が少し増加しており-この不可解な結果は女性たちのカロリー報告が十分正確とは言えなかったかもしれない-と研究者らは指摘しました。

コメント
WHELの著者らはこれらの結果は初期乳癌サバイバーが豊富な野菜、果物および食物繊維に、やや少量の脂肪を摂る食事を選択することによって乳癌の進行を予防することはできないことを適正に証明するものであると述べています。しかしNCIの栄養科学研究グループのJohn Milner博士はそのような結論を最終的なものにするべきではないと反論しています。研究者らは引き続き参加者をフォローし副次的な分析も行なっています。

「もし現在行なっている遺伝的な分析やその他の要素の分析によって、WHEL試験で有意なリスク低下が認められた女性の1つまたは複数のグループを特定することができなければ、驚くと思います」とMilner氏は述べています。

1例として、WHELにおけるNCIのプロジェクトディレクターであるSharon Ross博士は述べています。「ビタミンやミネラルのようなダイエット補助食品の[参加者の使用]情報に関する豊かなデータベースがあります。それは栄養全般のもっと包括的な実態に根ざすリスクの相違を解明するかもしれません」。

加えてMilner氏は指摘します。全体的効果に関して「野菜と果物のすべてがまったく同等というわけではありません。どの食物をどのくらい消費したかの正確な報告を得たとしても、食物供給そのものが食物要素の純度と強度の計り知れない多様な条件下にあります。加えて多様な要素が混合したときある種の相互作用が起こります」。

「WHEL試験とWINS試験の矛盾する結果は注意深い考察が必要です」とNorthwestern University in Chicago, Illの癌スペシャリストであるSusan M. Gatspur博士とSeema Khan医師は公表された結果に付随する論説に書いています。

WINの試験で低脂肪ダイエット(1日の総カロリーの15%)群の初期乳癌サバイバーは5年目の終わりに平均で対照群より約6ポンド体重が減少しました。WHELではもっと低脂肪のダイエット群は対照群と比較して体重減少がありませんでした。「これらのデータは[乳癌]診断後の重度の肥満や体重増加が女性らの病気の進行や死亡のリスクを増すことを示唆する観察研究の結果を裏づけています」とGatspur氏とKhan氏は述べています。「体重変化に反映されるエネルギーバランスの相違によって、WINSの低脂肪ダイエット参加者ではなぜ乳癌の再発と死亡のリスクを減少できてWHELではなぜ減少できなかったのかが一部説明できるかどうかは不明です」と彼らは述べています。

2つの試験でもう1つの可能性を秘めた有意な相違はWHELの女性らは18歳から70歳であったのに対しWINSは全員閉経後の女性らでした。
「食事療法効果の評価は複雑であることがますます明白になりつつあります。」とGatspur氏とKhan氏は書いています。「そして食事療法効果の評価は、介入目標に確実に執着した注意深いモニターリングが必要です。」

それにもかかわらずMilner氏は「野菜と果物が心臓病を減少させるたくさんの良いエビデンスがあります」と強調しています。さらにRoss氏は言います。「複雑で時々議論を巻き起こすデータであるにもかかわらず、体重の管理が癌サバイバーにとって再発のリスクを減少させるための戦略の一部となるべきであることが示唆される十分なエビデンスがあります。」

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内村美里人 訳
林 正樹 監修

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