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座りがちながんサバイバーは活動群より生存が短い

1日のうち座っている時間が8時間以上のがんサバイバーは、4時間だけのがんサバイバーよりも、数年以内に死亡する可能性が約2倍になるということが、新たな知見で示唆されている。

がんサバイバー1,500人以上から得たデータ解析により、活発な身体活動ががん特異的死亡リスクの大幅な低下と関連していることも研究者らはJAMA Oncology誌で報告している。

共著者のChao Cao氏およびLin Yang医師(カナダ、カルガリー州、Alberta Health Services)は、次のように語った。「米国のがんサバイバーは、座っている時間が長く運動不足であることが多く、体を動かさないこの生活様式は生存率悪化につながっています」。

ロイター ヘルスへの電子メールで、彼らは次のように述べている。「正確な生物学的機序は不明ですが、代謝ホルモンや性ホルモン、炎症、および免疫への悪影響が、主な仮説経路の一部です。実験的研究により、連続して長時間座っていることが糖代謝異常や全身性炎症増加と関連していること、そして長時間座り続けないようにすればこうした弊害を減らせることが示されています。」。

長時間の座位と運動不足の影響をさらに詳しく調べるため、彼らとその同僚1人は、米国の国立衛生統計センターが1999年以来隔年で実施している米国健康栄養調査(NHANES)から得た全国的な代表サンプルに目を向けた。

米国健康栄養調査は、がん種や診断時の年齢などがん情報を対面インタビューで収集した調査である。参加者は、「医師やその他の医療従事者から、がんまたは何らかの悪性腫瘍と言われたことはありますか?」との質問を受け、「はい」と回答した人ががんサバイバーとみなされた。がんサバイバーは、さらに「どの種類のがんですか?」、「このがんが最初に診断されたとき、何歳でしたか?」と質問された。

参加者らは、世界標準化身体活動質問票(GPAQ)を通じて、自身の1日合計座位時間および余暇身体活動を報告した。対面インタビューで、中強度~高強度の余暇身体活動に関しても質問された。

研究者らは、余暇身体活動の定義として、中強度の余暇身体活動を行った時間(単位:分)に高強度の余暇身体活動を行った時間(単位:分)の2倍を加えた時間とした。そして、参加者らの米国健康栄養調査データを国立衛生統計センターによる死亡率データに関連づけた。

本解析は、がんサバイバー1,535人から得たデータに基づいている。前週の余暇身体活動について、57%が0分(非活動群)と、16%が150分未満(活動不十分群)と、28%が150分以上(活動群)と報告していた。

1日合計座位時間は6~8時間が35%、8時間以上が25%であった。最長9年(中央値4.5年)の追跡期間中、がんサバイバー293人が死亡し、死因はがん114人、心臓病41人、その他138人であった。

多変量解析において、全死亡(ハザード比、0.34)とがん特異的死亡(HR、0.32)のリスクは、非活動群よりも活動群のほうが有意に低かった。

一方で、長時間の座位は、心身にきわめて有害であった。1日の座位時間8時間以上は、同4時間未満と比べて有意に高い全死亡(HR、1.81)およびがん特異的死亡(HR、2.27)リスクと関連していた。

研究者らが、座位時間と身体活動時間の複合的影響を調査すると、1日8時間以上座っている非活動群および活動不十分群のサバイバーは、全死亡(HR、5.38)およびがん特異的死亡(HR、4.71)リスクがきわめて高いことが明らかになった。

Cao氏およびYang医師はこう語る。「今回の研究結果から、米国国民に向けた身体活動に関するガイドライン(中強度~高強度の余暇の身体活動150分/週)を満たすことで、長時間座っていることの弊害が相殺される可能性が明らかになりました。ここで重要な問題は、米国人がんサバイバー4人のうち3人近くが本ガイドラインを満たしていなかったことです。これらデータから、ガイドラインおよび介入には身体活動の促進だけでなく、必要と思われるさまざまな行動変容手法による座位時間の短縮にも焦点を当てることが求められていると言えます」。

Carissa Low医師(ピッツバーグ大学およびUPMCヒルマンがんセンターの血液/腫瘍学、心理学および生物医学情報学の助教)は、「(今回の研究により、)余暇身体活動の増加と座位時間の短縮を目的とした行動介入を、包括的ながんサバイバーシップケアに組み込む重要性が明らかになりました」と述べた。

Low医師は、ロイター ヘルスの電子メールで次のように語っている。「(今回の研究は)1日8時間以上座っていることは、がんサバイバー、特に中強度~高強度の身体活動を行わないがんサバイバーにおいて死亡リスク上昇に関連するという有力な証拠となりました」。

Ashwani Rajput医師(メリーランド州ボルチモア、ジョンズホプキンス大学キンメルがんセンター首都圏の外科教授およびセンター長)は、次のように語った。「(本研究から、)健康的な生活様式を促進させ、がん再発の可能性を低下させるようにがん患者の行動を変える介入方法を見出す必要があると言えます」。

しかし、健康的な生活様式の重視は、人生のずっと早い段階で始めるべきである。「子供には、正しい選択、すなわち運動をして健康的な食生活を続けるよう教える必要があります。肥満関連のがんを予防できれば、再発を心配する必要はありません」と、Rajput医師は語った。

Rajput医師とLow医師は本研究に直接関与していない。

原典:https://bit.ly/3GbTXBo JAMA Oncology誌、オンライン版 2022年1月6日

翻訳平 千鶴

監修前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

原文掲載日

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