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顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が、一般的な化学療法の合併症を防ぐ

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顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が、一般的な化学療法の合併症を防ぐ

Granulocyte Colony-Stimulating Factor (G-CSF) Prevents Common Chemotherapy Complication
(Posted: 08/15/2007) Journal of Clinical Oncology誌200年7月20日号によると、化学療法を受けている患者に白血球産生を刺激する薬剤を併用投与した場合、発熱性好中球減少になりにくいことが複数の解析で確認された。


キーワード 好中球減少症、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、filgrastim(Neuppogen), pegfilgrastim(Neulasta), lenograstim(Granoyte)

要約
発熱に加え、感染症と戦う白血球数の低下があると、化学療法において致命的合併症となり得ます。17の臨床試験の合同解析は、化学療法を受けている癌患者が、白血球の産生を刺激する薬剤を併用している時、この合併症(発熱性好中球減少症と呼ばれています)にかかる可能性が低いことを確認しました。しかし、追加的な治療が、患者の癌の再発を遅らせる、またはより長く生きることへの助けになるかどうかは、不明なままです。

出典 Journal of Clinical Oncology, 2007年7月20日号(ジャーナル要旨参照)

背景
癌細胞を殺すことに加えて、化学療法はしばしば白血球を生産する骨髄の機能に損傷を与えます。白血球数の低下(好中球減少症として知られている)は、患者が感染症になるリスクを増やします。発熱と低白血球数との組み合わせ、または、発熱性好中球減少症は化学療法の致命的な合併症になりえます。

顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、骨髄を刺激して、白血球をより多く産生させるようにする、体内で産生されるホルモンです。G-CSFは薬剤としても作られています。G-CSFの注射が、ある種の癌患者で、好中球減少の程度の緩和と持続期間を短くする、という研究結果が明らかになりました。しかし、G-CSFが特定の状況の中だけで役に立つのか、それとも多くの癌患者がそれから利益を受けるかどうかは不明でした。

G-CSF薬での治療は、生物学的治療のひとつです。3種類のG-CSFが市販されています:filgrastim(Neupogen), pegfilgrastim(Neulasta)とlenograstim(Granocyte)。

G-CSFにあると思われる有効性に関する知見をもっと得るために、研究者はメタアナリシス(他の様々な試験からのデータが組み合わされ、まとめられた研究の一種)を行いました。この方法は、個々の試験が明確な一致を示さなかった場合の疑問に答えようとするために用いられることがあります。

試験
研究者は、化学療法で治療されていた3493人の成人の癌患者が関係している、17の臨床試験から、データを組み合わせました。すべての試験で、患者は無作為にG-CSFの注射、プラセボの注射、または追加治療なし、のどれかを受けるよう割り当てられました。

メタアナリシスのための主任研究員は、ロチェスター(ニューヨーク)の、ロチェスター大学医療センターのNicole M. Kuderer医師でした。

結果
発熱性好中球減少症が1回またはそれ以上起こったのは、G-CSFで治療を受けた患者の22.4%に対して、プラセボまたは追加治療なし(対照群)の患者では39.5%でした。患者が患っていた癌の種類や、患者らが受けたG-CSFのタイプに関係なく、G-CSFは発熱性好中球減少症になるリスクを減らしました。

化学療法を受けている間に亡くなった患者はG-CSFで治療を受けていた人の方が少数でした(3.5%、対照群では5.7%)。さらに、G-CSFで治療を受けている患者の方が感染症で亡くなる人は少数でした(1.5%、対照群では2.8%)。

G-CSFで治療された患者の方が化学療法中に骨または筋肉の痛みに苦しむことが多かった(19.6%、対照群では10.4%)、と報告されました。

G-CSFは、患者が化学療法に耐えるのを助けました。平均して、G-CSFで治療された患者は、予定された量の90%以上の化学療法を受けました。それとは対照的に、対照群の患者の多くは、予定された量の90%未満の化学療法しか受けられませんでした。

制限事項
このメタアナリシスでは、対照群の患者よりもG-CSFで治療された患者が、より長く生存するか、長期間発癌のないままであるかどうか、統計的有意性をもって確定することはできませんでした。

コメント
このメタアナリシスの調査結果は、2006年にアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)によって公表されたガイドラインと一致しています。それは、患者が発熱性好中球減少症になる危険性が20%を超える時、G-CSFの使用を薦めている、と国立癌研究所・癌療法評価プログラムのRichard F. Little医師は言います。

「発熱性好中球減少症になる危険性が低い(20%未満)場合、G-CSFの日常的な投与は、効果を与えることなく副作用を増やすだけです」と彼は付け加えます。「この臨床試験は、現在のASCOガイドラインの確実性をさらに裏付けています。」

G-CSFが、患者が計画された化学療法を継続することを助ける、という事実は重要かもしれない、とLittle医師は言います。ある種の癌において、患者が予定された服用量により近い量を受けることができるなら、化学療法は病気を治癒できる可能性がより高くなる、と複数の臨床試験で示唆されている、と彼は説明します。

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Osawa 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)

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