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PETスキャンによってホジキンリンパ腫の早期再発が高率で予測可能

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PETスキャンによってホジキンリンパ腫の早期再発が高率で予測可能

PET Can Strongly Predict Likelihood of Early Relapse in Hodgkin Lymphoma
(Posted: 08/10/2007) Journal of Clinical Oncology誌2007年8月20日号オンライン早版の掲載記事によると、進行したホジキンリンパ腫患者において、標準化学療法2サイクル終了後のPET(放射断層撮影法)スキャンは、1コース化学療法終了後の効果を92%の正確さを持って予測することができる


要約
進行したホジキンリンパ腫患者が2サイクルの標準的な化学療法を受けた後、放射断層撮影法(PET)スキャンを行うことで、一連の化学療法を完遂によりどの程度効果があるのかを92%の精度で予測することができました。PETスキャンにより、長期にわたって病状が制御される患者と、治療期間中や治療直後に病状が進行したり、後に再発する患者とを識別することが可能でした。この方法によって、より強力な化学療法に切り替えることが有益なホジキンリンパ腫患者を特定することに用いることが可能です。

出典
Journal of Clinical Oncology、2007年7月23日オンライン版、2007年8月20日出版(ジャーナル要旨参照

背景
免疫系の癌であるホジキンリンパ腫(HL)は、現代の化学療法薬剤に対して高い感受性を示します。進行したホジキンリンパ腫患者は通常、多くの人に対して長期の病状の制御が可能なドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ダカルバジン(ABVD)による化学療法をうけます。さらに強い化学療法によってホジキンリンパ腫をより制御できるようになりますが、重篤な副作用や二次発癌のリスクが高くなります。

研究者たちは、どの患者の癌がもっともABVD療法に抵抗性がありそうかを、治療期間中に明らかにする方法を探してきました。これらの患者にとっては、より強い薬剤を用いる利点がリスクを上回ることが多いと考えられるからです。

1998年、ホジキンリンパ腫の専門家らは患者の病気の進行や再発のリスクを見積もる助けとなる、国際予後スコア(International Prognostic Score: IPS)を作成しました。IPSは患者の年齢・性別・病期・特定のたんぱく質の血中濃度、健康な血球細胞数に基づいています。しかしながら、IPSを用いてもっとも予後が悪いと推定された患者のほぼ半数が、ABVD療法だけで長期の病状制御が可能です。

最近になって、治療期間の早期に施行したPETスキャンの結果がABVD療法でのホジキンリンパ腫の反応が正確に予見できるかもしれないことがいくつかの小規模臨床試験によって示されてきました。

試験
この臨床試験はイタリアのIntergruppo Linfomi 、デンマークのLymphoma Group による2つの別個な臨床試験として2001年に開始され、2006年に1つの臨床試験として統合されました。この試験の目標は、ABVD療法に抵抗性の患者を、PETがIPSよりも正確に特定できるかどうかを究明することでした。

この臨床試験に登録されたのは、全員が進行したホジキンリンパ腫患者でした。参加者は治療開始前に最初のPETスキャン撮影を行い、6サイクルのABVD療法を受けるようスケジュールが組まれました。

最初の2サイクルの治療の後、2度目のPETスキャン撮影を行いました。少なくとも2名の医師がそれぞれ個々のPETスキャンを検討し、さらに両参加国から1名ずつの専門家2名が別に、その国で施行されたすべての陽性所見のスキャンを再検討しました。スキャンはPET陽性(癌細胞に活動性があることが示されたもの)と、PET陰性に分けられました。

患者は、医師らが癌の進行を示す臨床症状をみとめない限り、計画通りの治療を受け続けました。治療の完了後、すべての患者は最低6ヶ月の追跡調査がなされました。医師らは無憎悪生存期間(診断から癌の進行または再発、あるいは何らかの原因による死亡までの時間によって定義)と全生存率を測定しました。そして、2度目のPETスキャンとIPS、どちらが癌の進行や再発のリスクをより良く予測しているかを決定しました。

この試験の筆頭著者は、イタリアCuenoのAzienda Ospedaliera S. Croce e Carle血液科のAndrea Gallamini医師でした。

結果
2001年11月から2002年1月の間に、108名の患者がイタリアの、55名の患者がデンマークの臨床試験に登録されました。2006年に臨床試験が統合された後にさらに97名が登録され、合計260名になりました。化学療法の完了に続き、104名の患者が放射線療法も受けました。

経過観察期間の中央値がちょうど2年を超えたとき、205名の患者で完全寛解が維持され、2名が部分寛解、そして10名に再発が認められました。43名の患者で治療中や直後に進行がみられました。8名が癌により死亡しました。

2サイクルの化学療法の後、50名の患者でPET陽性が示され、うち43名(86%)に病状の進行や、再発を認めました。2サイクルの化学療法の後にPET陰性を示した210名の患者のうちでは、病気の進行や再発は10名のみ(5%未満)でしか見られませんでした。ホジキンリンパ腫で亡くなった8名の患者のうち、7名は2サイクルの化学療法の後にPET陽性を示していました。治療後2年間で進行がなく生存できたのは、PET陰性の患者では95%だったのに比べ、PET陽性の患者では12.8%のみでした。

2サイクルの化学療法の後のPETスキャンの予測力と、IPSに含まれる各要素を統計分析にかけたところ、(IPSによる)第Ⅳ期の病気とPETスキャンのみが、進行と再発のリスクを有意に予測できました。この臨床試験では、2サイクルの化学療法の後のPETスキャンの結果は、治療完了2年後の無憎悪生存率を92%の正確さで予測しました。

制限事項
Johns Hopkins University School of Medicineと、Sidney Kimmel Comprehensive Cancer Center準教授であるEric Seifter医師は、PET陽性とPET陰性を明確に定義する基準は現在のところ存在しないと説明しました。「この臨床試験は彼らがPETスキャンを中央で検討し、どのPETスキャンを陽性にするか陰性にするかのための診断基準を一致させていたからこそうまくいったのです。他のもっと一般的な癌のPETスキャンの読影をいつも誰かに頼っているあなたが、彼らがやったことをどうやって真似するのでしょう?PETスキャンをしている人たちはこれを理解し、誰でも同じ方法で出来るように標準化してほしいと望んでいるのは言うまでもありません。」

さらに、米国国立癌研究所Center for Cancer Researchのリンパ腫治療学セクションの長であるWyndham H. Wilson医学博士はこう述べました。「彼らは、どれだけの割合のPET陽性・PET陰性患者が放射線療法を受けたのかを報告していなかったので、無憎悪生存率に対する放射線療法の役割を評価できませんでした。さらに、PET陰性のスキャンが優れて見える一方で、この臨床試験ではフォローアップ期間が比較的短いため、その後の再発の正確な推定ができません。実際には、初期の積極的治療は、早くに再発する患者(PET陽性群)よりも、後々に再発する患者(PET陰性群)に対して、より利益をもたらします。」

コメント
これらの制限事項にもかかわらず、Seifter医師は「適切に解読すれば、どの患者が(初期に)再発しやすいか否かを、PETスキャンによって、現在ある他のどの方法よりも明らかにできることを、この臨床試験は示しています。」と述べました。

「早いうちに途中で撮影したPETスキャンは進行したホジキンリンパ腫にはもっとも有用な予後因子であると考えられます。この予後ツールは腫瘍の化学療法感受性に対する代用試験となり、異なった治療戦略のどちらが適切かに対して患者を2つの異なった群に分けるものになります。」と著者らは結論づけています。

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水向絢子 訳
平 栄(放射線腫瘍科)監修
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